長手観音(萩生観音)


長手拾壱面観音堂(ながてじゅういちめんかんのんどう:長手観音)の創建は建保3年(1215),実義僧都(じつぎそうず)により開かれたのが始まりとされる。
当初は長手山の山頂にあったが正徳2年(1712),現在地に移された。
現在の観音堂は文政年間(1818~1830)に改築されたもので,寄棟,銅板葺,平入,桁行2間,梁間2間,四方に1間分の縁廂(ふちひさし),正面1間向拝付,外壁は真壁造り,素木板張り。
内部には絵馬が,向拝には「長手拾壱面観音堂」の扁額が掲げられている。境内には湯殿山塔や飯豊山塔(置賜地方では飯豊山を霊山として信仰する人が多かった),大宮供養塔(置賜地方では大宮講と呼ばれ講が盛んで,特に大宮神社が安産に御利益があることから女性からの信仰が篤かったとされる)など多くの石碑が建立され信仰の篤さがうかがえる。
本尊の十一面観音座像は像高70cm。
毎年7月10日の縁日が御開帳で,特に災難除けに御利益があるとして戦前戦中は弾除け,近年は交通安全の祈願で参拝されている。

置賜三十三観音霊場第11番札所
 札所本尊:十一面観世音菩薩
 御詠歌:ちちははの めくみもふかき なかてなる
     ほとけのちかひ たのむなりけり
 宗派:真言宗醍醐派
 別当寺院:大行院瑞雲寺
(代行寺院:甲子大黒天本山宝珠寺-米沢小野川-)