99_7 タイトル


 東北大会も終ったし、全国大会も終った。結局、99年型マウスは迷路を抜けることができなかった。艱難辛苦の末、致命的なバグを 一個所、UPPの使い方を間違えていたところ一個所を発見、修正できた。
 この修正で、迷路の中を走れるようになった。迷路を抜ける日も近い(と思うのだ)。

 ソフトの開発は遅々として進まない。来年の全国大会の日程がどうなるのかは判らないが、予選の日が出勤日になる可能性は否定できない。 東北大会、優勝を目標に努力しよう。
 それで駄目なら諦める。『老兵は死なず。ただ消えゆくのみ』なんちゃってネ



円弧

 右の写真は、旋回中の角速度制御を考えるための図。

 ソフトの構築はなかなか難しい作業だが、少しずつ進んでいる。現在は、走行部分の最終段階で、 旋回中に角速度を制御するソフトを考えている
 現在までは、ポテンションの値に追随するようにステアリングを制御して旋回していた。つまり、オープンループで 旋回していたわけだ。

 これでは、スリップによる誤差の修正はできない。旋回半径と角速度を制御しなかったら、ジャイロを 取り付けた意味が無い。
 バランスウエイトにするには高価すぎるじゃないか。

 ということで、おじさんは、角速度と速度、旋回半径について、深く考察してみたのだ

  上の図のように  円周方向の速度 −−> V       
              旋回半径     −−> R       
              円弧の長さ    −−> L       
              角度       −−> Φ       
              角速度      −−> ω       
              時間       −−> t  とすると 

 角度Φ=円弧の長さL/半径R                        式 1) 
 速度V=円弧の長さL/時間t よって 円弧の長さL=速度V*時間t  式 2) 
 角速度ω=角度Φ/時間t   よって、角度Φ=角速度ω*時間t    式 3) 

 式 1)、3)より 円弧の長さL/半径R=角速度ω*時間t 
 ここで、式2)の、円弧の長さLを代入すると 
       (速度V*時間t)/半径R=角速度ω*時間t  となる
 で、両辺を時間tで除算すると  速度V/半径R=角速度ω  となる(たぶん)
 ここから半径Rを求めると  
        半径R=速度V/角速度ω となる・・・と思う。

 前述の式が正しいならば、マウスの走行速度と角速度の比率が一定になるようにステアリングの角度を制御すれば、いつ、 いかなる速度でマウスが旋回しても、旋回半径は一定になるということである。
 昨年の東北大会にゲストとして出席いだたいた井谷さんは、『NORIKO93は、角速度と速度の比率が一定になるように ステアリングを制御している。』とおっしゃっていました。
 ってことは、この式は正しいとおもうのだ。

 ってことで、ここからは「走行速度と角速度の比率が一定になるようにステアリングの角度を制御する」具体的な 方法を考えることにする。
 マウスの走行速度はspeedという広域変数に、角速度はanalog[GYRO]という、これも広域変数に格納してあり、 いずれも1000分の1秒毎の割り込みルーチンで更新されている。
 角速度と速度の比率をpとして
    p= speed/analog[GYRO] ; 
    if (p>0) {       left_steer_pos= ++left_steer_pos ; 
                right_steer_pos= ++right_steer_pos ; } 
    else if(p<0) {   left_steer_pos= --left_steer_pos ; 
                right_steer_pos= --right_steer_pos ; } 

 ん、こりゃ駄目だな。これでは旋回半径は一定になるが、90度旋回なのか、45度旋回なのかが設定できていない。 つまり、現在の速度と角速度の比率pと基準になる比率Pを比較してステアリングを制御しないと 希望の半径で旋回できないわけだ。





 99年型マウスの総括

 98年型マウスは4WS、99年型は4WDSと進化させてきた「でんでん虫」シリーズのマウスだった。 しかし、技術的な飛躍というか、変化が急激だったため、動きはしたが、迷路を抜けることはできなかった。
 Z80CPUからV55CPUへ、アセンブラからC言語へ、ステッピングモータからDCモータへ、操舵方式もパワーホイール・ステアリング (って勝手に呼んで良いのだろうか)から、ステアリングへという変身を一度に、しかも1台で進めるというのは 無理な計画であった。
 あの井谷さんですら、究極のマウスNORIKO93に至るまでの進化は、緩やかな変化であったと記憶している。 進化を急ぎ過ぎたと反省している。
 眼は見えない、脳細胞は死にかけている。道半ばにして、夕暮れ近し。

 新型マウスでんでん虫No17・ミレニアムの制作は始まっているが、一時休止して、 98年型マウスに使った、V55CPUを搭載したボードを転用して、ステッパーのマウスを1台制作することにした。
 手元に有るZ80のマウスのソースをCでコーディングしてみたが、なかなか上手く走ってくれなかったので、 ステアリング無しの標準的なステッパーのマウスを造って、Cのソフトを仕上げることにしたわけだ。
 「急がば廻れ」という諺は正しいのかもしれない。



 99年型マウス制作日記は、本日をもって終了します。
                                 2000/08/02   



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