スプートニク


そして、スプートニク2号は打ち上げられた。
ロケットのてっぺんに据え付けられて、秒速8kmの猛スピードで。
周回軌道に乗ったスプートニクが通過しているであろう空の下
ひとりの技師がぼんやり立っていた。
そして足元に巻き毛のちいさな犬が一匹。
「ねえ、クドリャフカ。巻き毛ちゃん。
 ほんとのほんとは宇宙に行きたかったかい?
 僕は君の望みを奪ってしまったのかな?
 君から空を奪ってしまったのも人間のエゴなのかな?
 君が話してくれたら、僕の悩みはなくなるのにな。」
技師はかがんで子犬の頭をくしゃくしゃとなでた。
けろんとした黒い目の毛玉は一声吠えると、草っぱらを駆け回った。

ソ連はクドの後にもたくさんの犬たちをロケットに乗せた。
帰ってきたのも居るし、帰れなかったのも居る。
クドリャフカはほんとは宇宙に行ってしまった。行ったきり帰ってこなかった。
名前も犬種もほんとはわからない小さな巻き毛。
ねえ、クドリャフカ。巻き毛ちゃん。宇宙から見る地球はきれいだったかい?






スプートニク 冒頭部分のアップがいつだったのか最早おぼえておりません。
たぶん王立科学博物館の第一集が出た後で、改めてスプートニクに乗ったわんこのことを考えたあたり。
「クドリャフカ」で検索してたどり着くサイトさんの中にクドのFlashを公開してるところがありました。 クドリャフカFlash/作者・凡さん
ああ。久しぶりだね。久しぶりに君の事を思い出したよ。と、そんな気持ちで書き始めました。
いろいろ語り始めると長くなるのでやめます(^^;
ただ、ね。私はいまでもクドリャフカのことはうらやましいと思うんだ。
'05.01.15.暫定アップ '05.01.19.最終アップ(最終段落表示及びあとがき修正)