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デジタルスリットカメラ構想


目次

1.はじめに
2.基本構造
3.デジタル化のメリット
4.気になる事
5.デジタルスリットカメラの応用


1.はじめに

 スリットカメラの原理を見ていたら、デジタル化したスリットカメラが
作れるのではと思って、構想が浮かびました。
 もしかすると、同じ事を考えておられる方がいらっしゃるかも知れませんが、
構想をまとめてみました。


2.基本構造


 デジタルスリットカメラのハードの基になるのは、通常のデジタルスチルカメラです。

 縦(または横)一列分のCCD素子(もしくはMOS撮像素子)のデータに
注目しそのデータのみを一定周期でメモリしていけば、スリットカメラと同等な
撮影が可能ではないかと考えました。

 スリットカメラ専用の用途なら、ラインセンサ(1次元)でも構わないのですが、
通常のCCD(2次元)が使えれば、デジカメの機能の1つとして「スリットカメラ」
機能を持たせられそうです。
(1次元のものは、スキャナやフィルムスキャナそのものの構造と変わりないかも?)

 メモリする周期(サンプリング周期というか・・・)が、フィルム方式での
フィルムの送り速度に相当すると思います。
(当然、撮影対象の移動速度に合わせて調整が出来る必要がありそうです。)

 フィルムの長さ方向に相当するのが、データを記録するメモリ容量でしょうか。
 ただし、メモリする場合のデータ圧縮方式には制約があるかも
知れませんね。(もしかするとRAWデータしか出来ないのかな?)

 取り込んだ画像を順次FIFOメモリ(First In-First Outメモリ)に取り込むようにすれば、
シャッターを押す直前とか、前後を含んだ画像データも残せそうです。


3.スリットカメラ デジタル化のメリット

 デジタル化によるメリットは、撮影後カメラのLCDで確認ができる
というような、スチルカメラのデジタル化でのメリットがそのまま当てはまり
そうです。

 それ以外にも撮影したデータがデジタルデータなので、横方向の走査時間の
設定に多少失敗があっても後処理である程度補正が出来ると思います。

 またこの方法、デジカメの基本構造をそのまま、特別なハードを設けずに
実現できそうに思われます(ただしCCDの場合、内部のデータの
転送方式に制約があるかもしれないので、もしかすると専用のものが
必要になるかも知れませんが。)ので、(自作は非常に難しいと思いますが、)
デジタルスチルカメラのメーカーであれば、内部処理の変更で機能の一つとして
スリットカメラ機能を設ける事が出来そうなので、そんなに価格を変えずに
市販する事も夢ではないのかと思います。

 もし実現すればスリットカメラの敷居をものすごく下げる事ができるのでは
ないかと期待しているのですが・・・


 さて、アマチュアが自作するとすると・・・
 市販のビデオカメラを使用し、ビデオキャプチャボードとの組み合わせで、
横一列の画素に注目してデータを抽出(当然カメラは縦横変えて設置)という
処理方法なら、ソフトの処理だけで済みそうですのでなんとか可能でしょうか。
 ただこの方法では、どうしても偏向周波数による制約から、サンプリング
周期を任意に設定出来ないので、ちょっと厳いかも知れません。


4.実現出来たとして、気になる事

 ひとつ気になっているのは、スリット写真の横または縦に長いデータを
現在一般的な画像形式で扱えるかどうか・・・です。
 画像形式として問題なくても、ソフト側の制約で読めない,処理出来ない
という制約もあるかも知れません。
 専用に処理ソフト起こせばいいのでしょうけど・・・
 そんな技術力、残念ながら持ち合わせていません。


5.デジタルスリットカメラの応用

 スリットカメラを雲台に取り付けて回転させながら撮影すれば、360度の
パノラマ写真が出来るという事は、スチル式のスリットカメラでも行われており
今更私から説明するまでもありませんが、デジタルならではの応用方法を
考えています。

5−1.列車の編成番号の読み取り

 デジタルスリットカメラを応用できそうだなと1つ考えているのが・・・
列車の編成番号の読み取りだったりします。
 地元の何人かで「つばさ」の編成を追っかけておりまして・・・中には
編成を確認する為にビデオカメラの画像をパソコンに自動記録する仕掛けまで
準備された方までいます。
 沿線で「目視」で読み取る事も出来ないわけではありませんが、
常時沿線に張付いているわけにもいきませんし、結構大変です。
 デジタルスチルカメラで狙うのも手ですが、タイミング逃すと当然写りません。

 そこで登場するのがデジタルスリットカメラ。
 「つばさ」の場合乗務員室ドアの窓に編成番号が貼ってありますが、
沿線(もちろん、敷地外ですよ)にその周辺を狙ったスリットカメラが
設置できれば、走行中の編成の編成番号付近をうまく読み取る事が出来るの
では?なんて事を考えています。
(赤外線投光器付ければ夜間でもOK?)

 編成番号を確実に撮る為、赤外線のセンサを設けスタートのタイミングを
自動で検出するという方法も考えられます。
(画像から判断する事も出来るかな?)

5−2.工業用のアプリケーション

 このカメラ、スリット写真撮影以外にも、工業用のアプリケーションが
十分考えられると思います。

 実は私自身、自動機械の開発に携わった経験があるのですが・・・
自動生産機械用の画像認識用のカメラとして使えれば、機械構造の発想の転換が
出来そう などと考えた事があります。
 詳細は、諸事情でここで述べるわけにいかないので割愛させて頂きますが・・・
(ここまで書けば、わかる方にはわかってしまうそうです。)


 話が変わりますが・・・鉄道の線路等を点検する「検測車」あたりに、
このような構造のカメラを積んでいたりするのでしょうか。

 ふと眺めていた鉄道誌に掲載されていたJR東海のキヤ95という検測車ですが、
枕木のボルトの締結状態を認識したり、スリット光を当てて道床形状を撮影する
カメラがあるそうです。
 意外にラインセンサを使用したスリットカメラだったり・・・

 という訳で、工業関係で思わぬ用途がありそうで、応用が出来れば面白そうです。


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