FF車での冬道対策(冬道運転術その2)


 前輪駆動車(FF)での冬道運転術を紹介します。私なりの経験+解釈なんで間違いが
ないとも限りませんが、おかしな所はご指摘下さい。

 なおABS付き車に関しては乗車経験がないので異なってくる部分があると思います。


1.タイヤ編

 その昔、FF車は雪に強いので特に冬の始めは、前輪だけ冬タイヤを履いて
いけばいいという話が聞かれましたが、とんでもない事です。

 ブレーキは4輪に効きます。後輪がスリップすると車の方向安定性が失われて
しまいますから、後輪が夏タイヤだと簡単にスピンします。
 車の方向性は後輪が路面をつかんでいる事が条件です。

 従って交換する時は前輪も後輪も同じか、むしろ後輪に制動能力の高い
タイヤを履かせるのが得策と言えます。
(もちろん、前輪が路面をつかまないようなタイヤでは加速はしないし、ステアを
切っても車が直進 なんて話も出てきますのでご注意を。)

 スパイクタイヤが使えた頃だと、前輪がスパイクで後輪がスパイク無しなんて
選択もはやったようですが・・・ これもスピンの原因ですね。
(最も、現在ではスパイクタイヤは事実上使用できませんので関係ありませんけどね。)


 なお以下のレポートは、「スタッドレスタイヤ」が前提です。「スパイクタイヤ」の
場合やチェーン着用時は勝手が違ってくる所があります。

2.加速編

 FF車は前輪で車を引っ張ります。従って加速に関してはタイヤがスリップ
しない程度にアクセルを踏み込んでいればあまり問題はないです。
(ホンダにその昔FF車を普及させようとしていた頃、「箱を後ろから押すと不安定だが
前で引っ張ると安定している」という意味の事を広告でアピールしていましたが、
その通り。)

 なお、むやみにアクセル踏んでおもいっきりホイールスピンさせて発進させて
いる車を見かけますが、加速しないだけでなく、ミラーバーン(積雪路面の雪が
固まって鏡のようにつるつるした路面になった状態)を作る原因になりかねません。
 あくまでもタイヤがスリップする直前でアクセルを踏むのを止めておき、ちょっと
でもスリップしたと思ったらアクセルをちょっと戻す事が必要です。

 基本的に路面とタイヤの接地面の速度差が0の時以外はタイヤが滑っている
事を意味しますから、その範囲で最大の力を加える事が重要です。
 路面との摩擦を最大に維持する事で、最大の加速力を得る事が出来るのです。

 これを私は「インピーダンスマッチング」と呼んでます。
 エンジンが「電源」,タイヤの回転数が「電圧」,トルクが「電流」,馬力が
「電力」,タイヤと路面との摩擦が「抵抗」(正確には「抵抗率」)に相当し、
「抵抗」に対して「電源」の最大の「電力」をいかに効率良く伝えるか、が
インピーダンスマッチングの考え方であり、その考え方と非常に似通っている
からです。
 もっとも電気の高周波(電磁波)の世界を知らない人にはこのイメージは
伝わりませんね。(失礼しました。)


 摩擦が最大となるポイントがタイヤが滑る直前です。滑ってしまうと一気に摩擦が
減ってしまいます。いかに路面とタイヤの接地面の速度差0を維持するかです。


 スリップする感覚がわからない場合はアクセルを踏んだり緩めたりを短時間に
繰り返す方法がありますが・・・燃費が落ちそうです。
(私はこれをスキャンニングと呼んでいます。受信機で電波のある周波数を探す
操作に似ているからです。)


 またギヤの選択ですが、高いギヤのほうが路面をつかみやすいと思います。
(高いギヤはトルクが弱い分、滑りにくい。)低いギヤでエンジンだけブン回しても
大きなトルクでタイヤが空転するだけで無駄ですから、早めに高いギヤにシフトした
ほうがいいようです。

2.減速編

 減速時は非常に問題です。加速は前で引っ張るのでいいのですが、減速しようと
アクセルを緩めると、前輪だけが減速しようとする為に車両後部が不安定に
なりがちです。
(これはホンダの広告は加速時の事だけの説明であって、減速時には正反対の特性に
なる事が忘れられているって事です。)

 アクセルを急に緩めてはいけない事の他、これを防ぐには、やはりフットブレーキ
です。フットブレーキは4輪に効きますので軽く踏む分には後部が不安定になる事は
ありません。

 ただしフットブレーキ強くかけてしまうと、駆動力のない後輪は簡単にロックして
しまいます。後輪がロックすると車の方向は定まらなくなりますので、ブレーキの
強さは十分な注意を払う必要があります。
(大抵のFF車はパーキングブレーキが後輪に効くようになっていますが、
パーキングブレーキを使って車の向きを変えるなんていう技は常識です。)


 冬道はエンジンブレーキを使って と言われるのですがそれはFR車の話であって
FF車は絶対そうじゃない と私は思っています。

 また減速時にやっかいなのが右と左で路面状況が大きく異なる場合です。
 この場合はブレーキの強さは滑りやすいほうに合わせるしかありません。
 それ以上強く踏めば滑りにくい側に向かってスピンします。

3.直線定速度走行

 基本的には加速しない程度にアクセルを踏み続ける それだけですが、路面の
凹凸等で後輪が左右どちらかに振られると、簡単にスピンします。(速度が高い時は
ことさらです。)
 したがって直進中であっても後輪が振られないか全神経を集中しなければ
なりませんし、後輪が振られたらすぐにカウンターをあてなければならないのは
言うまでもありません。

 なお、FF車の特徴である「加速時は安定」より、アクセルをONすれば
立ち直ってくれます。もちろん前輪が滑っていない事が前提ですし、前輪が
どちらを向いているかには十分に気をつけないといけません。
(前輪はいかなる時も進行方向が原則です。後輪が滑った時にカウンターを
当てますが、これは前輪を進行方向に向けさせる事なんです。)

 アクセルをONするのが恐い方は、クラッチを切ったほうが安全です。
(おっとATはどうすればいいかな?)

 いずれも腕に覚えのない方は怪我の元ですので、十分にご注意を。
 回りに車がいない場合で、回りが雪の壁になっている時は、車をスピンさせて
しまったほうが安全な場合もあります。

4.対向車すれ違い

 なんでこんな項目を入れたかというと、減速しながら対向車とすれ違う車が
非常に多いからです。先にも書きましたがFF車は減速時が一番不安定なんです。
 恐いといってアクセルを急に緩めるのは非常に危険です。
 対向車の直前でスピンする事は絶対避けなければなりません。

 したがって同じ速度で通過するか、すれ違う前までに十分に減速しその後
加速気味で対向車とすれ違う事が必要です。

5.コーナー



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