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フロッピーに関するあれこれ


 このページは、フロッピーに関する基本的な仕様と、NEC PC88/98系を
メインに、動作関係の説明を行います。

last up date:2005/03/03

===== 目次 =====

1.基本仕様
 1−1.5インチ/3.5インチ系(2DDまで)
 1−2.5インチ/3.5インチ2HD(NEC系旧2HD 1.25MB) = 8インチ2D
 1−3.3.5インチ2DD/2HD(DOS/V系2HD 1.44MB)
2.PC側からみた仕様
 2−1.PC-8001/8801シリーズ
 2−2.PC-9801シリーズ
 2−3.DOS/V系(含むPC-98NX)
3.ドライブ交換などの改造
 3−1.PC-8801シリーズ
 3−2.PC-9801シリーズ
4.備考・資料
 4−1.FDC
 4−2.VFO
 4−3.FDDのインターフェース信号
 4−4.使用経験ありドライブ


1.基本仕様

  下記の一覧表を開いて参照しながらご覧下さい。

  ※8インチは2D以外詳細わかりません。
   記憶が頼りなので誤記ありましたらごめんなさい。

 「R/W」はリード/ライトです。

一覧表

1−1.5インチ/3.5インチ系(2DDまで)

・種類:1D(片面倍密),2D(両面倍密),
    1DD(片面倍密倍トラック),2DD(両面倍密倍トラック)
     ただし1D/2Dは5インチのみ,1DDは3.5インチのみ。

・メディアの回転数:300rpm

・データ転送速度が250kbit/s
 (例外:PC-9801シリーズの2HD/2DD自動切換ドライブは
 2HDモードとの切換時の回転数切換を避ける為、
 回転数360rpm,転送速度300kbit/sとしてメディア互換を確保)

・トラック数
 1Dが1面あたり35トラック
 2D,1DD,2DDが1面あたり80トラック

・フォーマット方式
 N88-BASICでは16セクタ,256byte/1セクタ
 MS-DOSでは8セクタ(9セクタ),512byte/1セクタ

・フォーマット容量
 1Dが140KBYTE
 2Dが320KBYTE
 2DDが640KBYTE(720KB)

 (MS-DOSでの2DDには640KB/720KBの2種類あるが、
 フォーマット時のセクタ数の違いによる。)


1−2.5インチ/3.5インチ2HD(NEC系旧2HD 1.25MB) = 8インチ2D

・ 8インチFDとの方式(論理フォーマット)互換が基本
 (8インチ単密ドライブ以来の仕様を引きずっている)

・メディアの回転数:360rpm

・データ転送速度:500kbit/s

・トラック数:1面あたり77トラック
 トラック0は単密での書き込み(片面のみ)

・フォーマット方式とフォーマット容量
 N88-BASIC(86) DISK版)では26セクタ,256byte/1セクタで1MB
 MS-DOSでは16セクタ,512byte/1セクタで1.25MB

1−3.3.5インチ2DD/2HD(DOS/V系2HD 1.44MB)

・メディアの回転数:300rpm
・データ転送速度
   2DDモード:250kbit/s
   2HD(1.44)モード:500kbit/s

・トラック数:1面あたり80トラック

・備考
 NEC系1.25MBが8インチとの互換性を重視しているのに対し、
DOS/V系は容量重視と言える。
(回転数落としセクタ数を稼ぎ、また80トラックをフルに使用する。)


2.PC側からみた仕様

2−1.PC-8001/8801シリーズ

 PC-8801のFDの接続方法

1)1D〜2Dドライブ(PC-8031,8031-2W,PC-80S31)
 ドライブ側に専用のCPU(Z-80です)を持たせ、PIO(8255です)で
PC本体と通信する「インテリジェントドライブ」方式

 PC-8801MH等の2HD/2D自動切換タイプの仕様は不明ですが、
 1D/2DモードFDとの互換を取る関係上、おそらくインテリジェント
ドライブ方式と思われる。

 2HDモードは、PC-9801シリーズとの媒体互換性から
 PC-9801シリーズとの互換を考慮した仕様と思われる。
 つまり8インチドライブと同じ論理フォーマット。


2)8インチドライブ(1MB,5インチ/3.5インチ2HD相当)(PC-8801)
 FDCが内蔵された8インチFD I/Fボードを使用して接続。
 PC本体CPUのバス直結のFDC(μPD765)が接続され、R/W。

 このタイプはシリーズとしては8インチドライブのみの
ラインナップであったが、実際にはPC-9831MW,VWなどの
5インチ2HD,3.5インチ2HDドライブを接続が可能。(未確認)

 ※FDCのリキャリブレート(ヘッドをトラック0に戻す動作)が
77トラックまでであり、初期位置が77トラック以降にあると
ヘッドがトラック0まで戻らず誤作動の可能性があるので注意。
(PC-9801でも同じFDCが使用されているが、リキャリブレートを
2回実行して対応しているらしい)

2−2.PC-9801シリーズ

 当時の表記は、1D:140KB,2D:320KB,2DD:640KB,2HD:1MBです。

1)PC側のFDD I/F
 ・初代98,E/F/Mシリーズ用1D/2D FD I/F
  PC-8001/8801用1D/2D インテリジェントドライブ接続用
   PIO方式による接続で、I/F部にPIO(8255)が実装。
   (VM以降の機種に関し、本方式ドライブ接続は接続不可。
   ハードの削除のみでなくBIOSからもコードが削られて
   いるらしい。)

 ・初代/Mの1MBFD I/F
  8インチ2D及び5インチ(3.5インチ)2HD専用
  CPUバスに直結されたFDC(μPD765)によりR/W
   Mは5インチ2HDドライブ内蔵
   VFO:ドライブ側に必要

 ・F/U/VFシリーズ用640KB I/F
    5インチ/3.5インチ2DD用
  CPUバスに直結されたFDC(μPD765)によりR/W
   F/VFは5インチ2DDドライブ内蔵
   Uは3.5インチ2DDドライブ内蔵
   VFO:I/Fボードに内蔵され、ドライブ側には不要

 ・VM以降の2HD/2DD自動切換タイプ
  CPUバスに直結されたFDC(μPD765)によりR/W
   VM/VX,RA,RX等は5インチ2HD/2DDドライブ内蔵
   Uシリーズ,ラップトップ,ノート系は3.5インチ2HD/2DDドライブ内蔵
   VFO:ドライブ側に必要
   外部FD用コネクタは2HD専用
   2DDモードの転送速度は300bit/s,回転数360rpm

 ・A,Bシリーズ以降?の3モード対応(PC-9821含む)
  CPUバスに直結されたFDCによりR/W
  VM以降の2HD/2DD自動切換タイプに2hd(1.44MB)モードの
 制御を追加したものと思われるが、詳細不明。
   内蔵FDは3モード対応


2)動作
・2DDドライブでの2D媒体読み込み
 2DDドライブ(自動切換えタイプの2DDモード含む)での2D読み込み可。

 ※2Dでの書き込みは保証外
  (2DDドライブの磁気ヘッドのトラック幅は、2Dドライブと比べ
  半分程度であり、強引に書込みを行っても2Dドライブの半分の
  トラック幅での書き込みしか出来ず、残りの部分が書き換わらない
  まま古いデータが残ってしまうため。)


・VM以降の2HD/2DD自動切換タイプI/Fの動作
 DIPスイッチの設定により動作モードの切換が可。

 自動切換モード時:ブート時読み込み成功したモードにI/Fを切換
  2HDFDからブート時:2HD I/F互換で動作。
  (起動後は、2DD FDへのアクセスであっても、2HD I/FのI/Oアドレス,
  割込,DMAチャネルが使用)

  2DDFDからブート時:2DD I/F互換で動作。
  (起動後は、2HD FDへのアクセスであっても、2DD I/FのI/Oアドレス,
  割込,DMAチャネルが使用)

 固定モード時:DIPスイッチで設定したI/F互換で動作。

  〜直接FDCを制御するようなプログラムだと、適切なモードに
  設定しないと正常動作しない可能性があり、その為にI/Fの固定モードが
  用意されたようである。
  (2HD I/F互換モードでは、2DD専用システムはブートしないかも?)

 ブート後の容量切換動作:あるモードで読み込み動作を行い、失敗したら
  容量を切換えて再読み込み。
  (3.5インチの媒体容量用の「穴」は無関係に動作。したがって
  2HD媒体の2DDフォーマットや2DD媒体の2HDフォーマットが出来てしまう。)

・I/F固定モードを利用した応用
  〜FD I/Fボード増設時、アドレスが重ならないようにする事で
  以下のような組み合わせが可。
  (本体の増設コネクタを併用すればMAX8台接続のドライブの接続が可)

 例1)本体:2HD/2DD自動切換(2HD I/Fモード固定),外付け:2DD I/F+2DDドライブ
 例2)本体:2HD/2DD自動切換(2DD I/Fモード固定),外付け:2HD I/F+2HDドライブ
  ただし、スロット用のI/Fボード自身が、10MHzクロックのマシンには
 対応していない(チップの動作速度の関係?)らしく8MHzモードにするよう
 マニュアルの記述あり。(10MHzでも一応動くようだが)

2−3.DOS/V系(含むPC-98NX)

 (事情、あまり詳しくありませんので、違ってましたら失礼。)

・5インチ
 CPUバスに直結されたFDCによりR/W
 2D,2HD(1.25MB)がある?(詳細不明)
 MS-DOSフォーマットの場合、確かPC-9801でもR/W可能だったと
記憶してます。

・3.5インチ
 CPUバスに直結されたFDCによりR/W
 5インチドライブを接続していたFDCをそのまま使用
 (5インチFDと混在可)

 2モード:2HD(1.44)/2DD
 3モード:2HD(1.44)/2DDに加え、2HD(1.25)にも対応。

 基本的には
 メディアの回転数が300rpm
 データ転送速度
   2DDモード:250kbit/s
   2HD(1.44)モード:500kbit/s
 トラック数が1面あたり80トラック


 ※1.25MBモードの対応については詳細不明
  5インチの1.25MBとはフォーマット別と思われる。
  (回転数そのままの300rpmで、転送速度を600KB/Sに
  すればつじつまが合うのかな?)

 容量切換動作
  5インチは不明
  3.5インチは媒体容量「穴」をドライブのスイッチで切換、
 その結果による。
 (PC-9801で出来た、媒体容量と異なる容量でのフォーマットは
 不可。)

・DOS/V系の3.5インチ2HDについて。
 同じ2HDとは言え、PC-9801方式の2HDはメディアの
 回転数が早い分、DOS/Vよりアクセスが若干速いんです。
 PC-9801では比較的軽快だったFDのR/W速度が
 がっくり落ちてます。もったいない・・・


3.ドライブ交換などの改造

 私自身が実験済みのものです。

3−1.PC-8801シリーズ

1)8インチI/Fボード接続での5インチ/3.5インチドライブ接続

  もろ8インチの仕様そのまま引きずります。
 (N88-BASICで使用する分にはPC-9801の2HDと完全互換)

 メディアの回転数が360rpm
 データ転送速度が500KB/S
 トラック数が1面あたり77トラック
 トラック0は単密での書き込み

 VFOがドライブ側に必要です。

 ※ボードの回路は解析済です。(ページは準備中)

2)2Dドライブを2DDドライブに交換
 交換しただけでは前半40トラック分しか使用されません。
 当然PC-9801の2DDとは非互換(2Dも2DDも)

 完全に対応するには、PC本体(O/S)とFD内のBIOS(ROM)書き換えが必要
 (2DD完全対応とするか、2Dモード互換とするかで改造内容も
だいぶ変わると思います。2Dモード互換ならFD内BIOS改造のみで
済むかも・・・トラックを1本おきに進めるなど)

 VFOはドライブ側には不要
 (F2やU2から外したドライブを接続した事あり)
 互換性無視すればそのまま動作します。
(もちろん、2D媒体からは2Dのドライブを使用して2DDドライブへ
コンバート必要)

3−2.PC-9801シリーズ

1)PC-9801F,U,VFの2HD/2DD自動切換対応
  F及びVFの改造はTr技の記事による。
  Uに関してはやっている内容は同じだが、回路は私のオリジナル

 ・改造の概要
   切換用のI/Oポート追加,I/O・割込・DMAチャネルの切換回路追加,
   FDドライブ交換,BIOS対応(FはROMの内容書換,U,VFはI/Oポートの
  入力のパターン変更によりVMと同じ動作モードにする。)

  注)この改造はFDCのクロック切換を行わない為、2HDと2DDは
   ドライブの回転数切換で対応している。
   従って2DDモードは2DD本来の回転数300rpm,転送速度250kbit/s
   となる。
    〜下記項の外部ドライブの自動切換対応まで行うと、
     外部に2DD専用ドライブの接続が可能となる。

 ・改造実績:
   F:1台,U:2台,VF:1台(FDCボードのみ入手し確認)

  〜VM完全互換を狙いFDCのI/O等のアドレスの切換動作まで対応
  させると改造内容が多いが、自動切換の動作からすると
  アドレス切換動作を省略することが可能で、その分改造内容を
  簡略化する事も可能。
  (VFのボード改造で実験済み)


2)本体の増設コネクタに接続したドライブを自動切換対応にする方法
 ・本体から増設ドライブに対しモード切替信号を出力
 ・BIOSに対し外付けドライブも自動切換対応である事を知らせる
   (I/Oポートの信号のレベルを変更〜パターン改造)


4.備考・資料

4−1.FDC

 「フロッピーディスクコントローラ」の略

 PC-8031シリーズ,PC-8801シリーズ,PC-9801シリーズでは
NEC製のμPD765が使用されている。

 クロック周波数
  2HDモードでは8MHz 転送速度500kbit/s
  2DD以下では4MHz 転送速度250kbit/s
   (ただし360rpmドライブでは4.8MHz
    転送速度300kbit/s)

4−2.VFO

 回転むらに起因するジッタが含まれたデータから
最適なタイミングでデータをサンプリングする為の
クロック成分を抽出する。

主なVFOチップ
・SED-9420,9421
 諏訪精工製(当時)
  SED-9420はPC-9801シリーズ内部にも使用されていた。
  (PC-9801U2及びVF2のFDD I/Fボード内)

・μPD71065,71066
 NEC製
  ドライブに実装されている事がある

4−3.FDDのインターフェース信号

・5インチ,3.5インチ系:下表を参照
FDDピンアサイン
 なお、PC-8001/8801の増設ドライブ,PC-9801F2/U2/VF2,
PC-9801-09等の2DD I/FでDDKの57-40360コネクタを使用した
ものは、下表のように対応されている。
(増設用ドライブのコネクタ場合、DS1-DS3,DS2-DS4のように
内部で接続されているかも?)

FDD コネクタ
 1p −  1p
 2p − 19p
 3p −  2p
 4p − 20p
 5p −  3p
 6p − 21p 
 7p −  5p
 8p − 22p
 <中略>
33p − 18p
34p − 35p
NC  − 19p
NC  − 36p


・8インチ系:準備中


4−4.使用経験ありドライブ

バルクドライブ

3.5インチ系
・FD1135D(NEC) 2HD/2DD(VFO付)
 PC-9801U2 内蔵ドライブの2HD/2DD自動切換
 改造で使用

・FD1136C(NEC) 2HD/2DD(VFO無)
 PC-9801VXの外部ドライブとして使用
 (2HD/2DD自動切換対応,VFO無しなのでボード製作)

・FD1035C(NEC) 2DD専用
 PC-9801U2内蔵

5インチ系
・FD1157D(NEC) 2HD/2DD(VFO付)
 PC-9801U2の外部ドライブとして使用
 (2HD/2DD自動切換対応)

・FD1155D(NEC) 2HD/2DD(VFO付)
 PC-9801F2 内蔵ドライブの2HD/2DD自動切換
 改造で使用

・FD55F-03-U(TEAC) 2DD専用
 PC-9801F2 内蔵ドライブ

・FD55B-06-U(TEAC) 2D専用
 PC-8801mkII 内蔵ドライブ

8インチ系
・FD1165-A(NEC)
 PC-8801/9801の外部ドライブとして


製品ドライブ(正確に覚えていません。)
・5インチ1D,2D
 PC-8031,-1W,-2W
 PC-80S31

・5インチ 2HD/2DD
 PC-9831-MW

・8インチ
 PC-8881
 PC-9881

・3.5インチ 2HD/2DD
 PC-9831-VW

・I/Fボード
 PC-9801-09(2DD)
 PC-9801-15(2HD)
 VF2内蔵ボード(2DD)
 F2内蔵ボード(2DD)

 他にもあったはず・・・


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