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TV受信用コンバータ
last up date:2005/10/17
目次
1.製作目的
2.回路構成
3.結果
4.スタンドアロン化改造
5.さいごに
1.製作目的
車の中でTVの音声を受信したいと思い、車載ラジオのアンテナ
端子に、TVの電波の周波数をFMラジオの周波数に変換するコンバータを
入れて受信することにした。
ジャンクのTV用電子チューナの手持ちがあった事から、それを使用
してコンバータを製作した。
2.回路構成
図1に本機の全体の構成を示す。
2−1.TV用電子チューナを使用
手持ちのジャンクのTV用電子チューナを使用した。
本来TV内蔵用のチューナのIF周波数は50MHz台で設計されているが、
出力のフィルタ特性がブロードな為、FMラジオ帯でも十分使用可である。
(本来のIF周波数の場合と、若干周波数の上限・下限に差が出てくるが、
その程度の差は問題ないようであっる。)
2−2.アンテナ切替えリレー回路
図4に外部機器との接続状態を示す。
本機の電源をOFFした時にアンテナ端子とIF出力間とスルーとするリレー回路を
搭載した。
VHF帯は車載アンテナ使用するようにしているが、本機を使用しない場合は、
ラジオに車載アンテナが直結される。
なお、UHF帯は車載アンテナ転用では特性が望めないので独立したアンテナを
使用することにした。(実際のところチューナの入力がV,Uの2系統なので
それをそのまま利用しただけであるが。)
使用したチューナのUHF入力が200Ω平衡入力であったので、バランを内蔵し
同軸入力とした。
2−3.電源
車載用の為DC12V動作とする。
なお最大30Vのチューニング電圧を得る為TL-497AによるDC-DCコンバータを
搭載した。TL-497Aの動作電圧が車の電圧の範囲をカバーしない(最大16V程度を
見込んだ設計が必要)ので、三端子レギュレータ7808により8Vに電圧を下げてから
DC-DCコンバータで昇圧する構成とした。
電源回路はICB88タイプ基板(サンハヤト製)に実装。
2−4.無駄な?回路
使用部品の関係で若干余計な?回路が必要となった。
図2にその回路を示す。
1)バンド選択用ロジック回路
ロータリスイッチが手元になかった事から、トグルSW2個で3バンドを
切替える事とした。
その為、下記の動作を行わせるC-MOSのロジック回路を入れた。
SW1 SW2 動作
OFF OFF OFF
ON OFF VHF_L
OFF ON VHF_H
ON ON UHF
ロータリSW(1回路4接点)を使用すれば本来不要な回路である。
2)TU電圧発生用OPAMP
手持ちの都合で1kΩのポテンショを使用したが、30Vをポテンショに
印加するとポテンショに流れる電流が大きすぎる為、ポテンショの
電圧は8Vとし、ポテンショの出力をOPAMPで増幅(約4倍)して使用
する事とした。
10kΩ以上のポテンショならOPAMPは不要である。
(TL-497AによるDC-DCも、もっと小容量の回路で十分)
2−5.シャシ
タカチ電機製YM-150(W150mm×H40mm×D100mm)を使用した。
内部の部品配置は図3参照。
3.結果
DC-DCによるノイズの問題はあったが、何とか本来の目的を
得る事が出来た。
4.スタンドアロン化改造
4−1.改造のきっかけ
車内でTV受信可能な環境が複数揃った事から、車載用としての用途が
不要となった。
そこで、今度は室内用としてスタンドアロン動作を可能とする為、
受信回路を搭載する事とした。
結果的に、本機をきっかけに製作したTV音声受信機と同様な構成と
なったが、この受信機が電池式であった事から、電池寿命を気にせず
使用できるものを別に1台作りたかったというのも改造動機の一つである。
4−2.改造内容
図5に改造後の回路を示す。
受信部は前例のごとくTDA7000を使用した。(たまたまTDA7000を2個
買っていたという理由もあるが。)
LM-386によるアンプと、9V電池で動作可能なよう5Vの三端子レギュレータ
を一緒に実装した基板を過去に製作済みであり、それをそのまま使用する
事とした。(ICB88タイプ基板に実装)
室内使用のためAC電源使用が前提であるが、チューナの電源電圧の
関係から12V動作とし、外部に電源アダプタを接続して使用する事にした。
(元々本コンバータは12V動作だったが。)
またこれに関連し、以下の変更を行う
(元から残っているのはシャシとDC-DCコンバータ基板だけ?になって
しまった・・・)
・チューナユニットのトレード
簡易スペアナで使用していたUHF専用のものと交換する。
(簡易スペアナの機能を充実したいのと、受信用の場合、当地ではUHFが
受信できればこと足りるので)
・ポテンショの変更
25kΩのポテンショを入手したので、OPAMP回路を削除。
上記の結果、バンド切替え用ロジック回路及びリレー回路,TU電圧発生用
OPAMP回路は不要となり、その空きスペースに受信回路を搭載。
(チューナユニットのAGC電圧用VRは受信基板に移設)
・受信基板のディエンファシス定数の変更
TV対応の75μSに近づけるよう、定数変更(TDA7000のアプリケーションは
約40μS)
4−3.部品の配置
図6に改造後の部品配置を示す。
1)RF入力
チューナ入力がRCAジャックだったので、そのジャックをそのままシャシ
後側に出すよう穴あけを行った。
2)基板の位置関係
受信回路を後付けした関係でICB88タイプ基板(47mm×72mm)2枚と
なっている。最初から製作するのであればICB93Sタイプ基板
(72mm×95mm)1枚にまとめたほうが良い。
DC-DC基板のコイルの関係と、前パネルへのジャック取り付けの関係で
DC-DC基板が正面側,FMRX基板が後面側という位置関係にしているが、
本当は逆に配置したほうが電源及び信号の流れに沿うのですっきりする。
4−4.落とし穴にはまる。
1)チューナのAGC電圧
交換したチューナがフォワードAGC仕様で9V程度入力しないとフルゲインに
ならないのに、勘違いで5Vまでの可変範囲としたため受信できず。
トレード元の「簡易スペアナ」の基板のVRを再確認し、ようやく原因判明。
AGC電圧はチューナにより異なるので注意。
2)TU電圧のノイズ飛び込みの影響でノイズだらけ?で受信不可
セオリー通りTUラインにRCフィルタを入れてノイズを押さえた。
しかし、それでもS/N比に不満があった。
その後、ポテンショの−側端子とチューナのケース間を直接接続したら
ノイズを低減する事が出来た。
RCフィルタをポテンショ周辺に組んでいたが、ノイズから見た場合、
GND側がチューナのシャシから「遠かった」為、ノイズが混入していた
ものと考えられる。
3)VT電圧可変範囲
60ch台が13V程度で受信可能な事から、DC-DCコンバータの効率を上げるため
DC-DCコンバータの出力電圧が20V程度になるよう、抵抗を変更。
(チューナのAGC電圧ではまっていた関係で混乱を招いていた事から、
抵抗を何度も交換するはめに・・・)
4−5.結果
ようやく目的を達成。
消費電流は12Vで約60mA程度であった。
4−6.その他
・AF AMPはLM386より出力の大きなLM380に変更したほうが良さそう。
(7805で電圧を下げた上でAF_AMPに供給する無駄もなくなる?
・・・LM-380内での損失に変わるだけなので、総合効率としては
大差ないはずだが。)
5.さいごに
当初は外部に親受信機を接続するコンバータ方式としたが、今考えると
最初から受信回路を内蔵させたほうが良かったようである。
(もっとも製作時期とTDA7000を入手した時期が、時系列的にどうだったかは
定かではない。)
さて、2012年、全面デジタル放送になったら・・・
その時はまた考えなくては。
(OFDMの復調は重そうだな。でもその頃には外部接続用チューナも
ジャンクが出回るだろうから楽観視)
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