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VHF/UHF帯TV音声受信機

last up date:2005/10/16

目次

1.はじめに
2.回路構成と使用部品について
 2−1.回路構成
 2−2.使用部品
3.製作後判明した問題点と対策
 3−1.DC−DCのノイズ
 3−2.TDA-7000のFLL発振の高調波
 3−3.出力不足
 3−4.ディエンファシス定数
4.結果
5.その他

1.はじめに

 前に、車内でTVを聞く為に、ジャンクのTV用電子チューナを使用した
車載ラジオ用のコンバータを製作したことがあった。チューナの仕様外の
使い方(IF周波数が大きく違う)にもかかわらず、うまく動作した。
(詳しくは別ページで紹介予定)

 それに気を良くし?枕元に置く受信機が欲しくなり、たまたま入手していた
ポケットテレビ用のチューナと、TDA7000によるFMラジオを組み合わせれば
スタンドアロンの受信機が出来る事に気が付き、本機を製作することになった。

 うまい具合に、チューナもTDA7000も5Vで動作可能なことから、Ni-Cd電池
4本で動作可能な携帯形として製作する事とした。


2.回路構成と使用部品について

2−1.回路構成

  本機の回路構成を図1
  TDA7000周辺回路を図2に示す。
  TVチューナによりVHF,UHFの電波を50MHz帯のIF周波数に変換し、TDA7000による
 FM受信回路によりIF周波数を受信・復調する。その出力をLM-386により増幅し
 スピーカを鳴らす。

  チューナのチューニング電圧は最大で30V程度必要である為、DC-DCコンバータ
 用のTL497Aで昇圧。ポテンショにより電圧を調整しチューナに入力する。

2−2.使用部品

  チューナ:ポケットTV用電子チューナ(秋月電子にて入手)

  IF〜 検波:TDA7000
      (Phlips社(Signetics社)製FLL(Frequency-Locked-Loop)方式
       ワンチップFMラジオ用IC)
  L:FCZ研究所製の10Kタイプ50MHzタイプを使用し50MHz帯を受信するように
    した。

  低周波電力増幅:LM386(National Semiconductor社製アンプIC)

  電源:700mAh単三Ni-Cd電池4本

  チューニング電圧電源:TL497(Texas Insturments社製スイッチング電源IC)

  ロータリSWによりバンド切替えを行うこととし、電源スイッチも兼ねた。
  OFF位置で充電回路に切換わり、外部に接続した充電器により充電。
  電流制限抵抗を内蔵し充電時に赤LEDが点灯するようにした。
  (充電器は、秋月の「急速充電器キット」を使用している。)

  基板:ICB93S(サンハヤト) 72mm×95mm

  シャシ:タカチ電機製YM-150(W150mm×H40mm×D100mm)を使用
      内部に基板,パネルにVR,SW等を取り付け、
      カバーに放射状に穴を開け、SPを接着した。
      (SPとチューナに近いと、音量上げた時にチューナのローカル発振部を
      振動させ、ハウリングを起こす可能性があり注意)

  シャシ内の部品配置を図3に示す。
 ※よくよく見ると、RF入力端子とDC_IN端子の位置は逆のほうが良さそう。


3.製作後判明した問題点と対策

3−1.DC−DCのノイズ

   チューナのTUラインにノイズ飛び込むとVCOがFM変調され、音声に悪影響を
  与える。
   TUラインにRCによるLPFを組みノイズを抑える。

  DC-DCもコンパクトに組むことと、パルス電流が流れる場所に
  パスコン入れたり、ループを小さくすることを考えて組立てる。

3−2.TDA-7000のFLL発振の高調波

  FLL回路の性質上、受信周波数でローカル発振しているが、
  その高調波がVHF帯へ飛び込みやすい。
   対策は難しいが、高調波と各チャンネルの周波数関係を
   計算したところ、発振周波数が56MHz付近になるよう狙う事で、
   2次が112MHz,3次が168MHz,4次が224MHzとなり、高調波が
   VHF帯に入るのを避ける事が可能である。

    ただし、UHF帯は周波数範囲が広い為、避けられそうにない。
    56MHzでは、13次波が54chに近いが・・・要確認
    UHF帯の目的の放送に飛び込む場合は、若干ズラしたほうが
   良いであろう。

3−3.出力不足

  電源電圧低いせいか、若干出力不足気味。

  対策案
   LM386のゲイン高めたほうが良い?
   4ΩのSPを使用する。

   NJM2073のようなBTL出力のICが良いかも?
   (LM386のほうが若干消費電流少ない)

3−4.ディエンファシス定数

  TDA7000のデータシートの回路では約40μS(22kΩ×1.8nF)で、
  このままでは高域が強調され過ぎるのでCを3.3nFに増やし75μSに近づける。
  (計算上72.6μS)
   (図2を参照)


4.結果

 消費電流 65mA強で、700mAh電池で10h程度動作は確保した。
 周波数安定性もまずまずであったが、これは使用するチューナでも
違ってくると思われる。


5.その他

5−1.本機製作までの経緯

 TV音声受信は、元々TVの音を録音する事が第一目的だった。

 最初はTVの音をMICで拾っていたが、周囲の雑音を拾う事から
ケーブルで接続して録音するようになる。
 しかし雑音(同期信号に起因するバズノイズ)を拾う事と
TVを占有してしまう事から、別の方法が必要だった。

 次の方法はUHFコンバータの出力をFMラジオで受信する
方法。これは良好だった。
 しかしコンバータが借り物だったので別のチューナが必要と
なり、ジャンクUHFチューナ(バリコン式)を入手。
 しかしあまり良くなかった。(RF増幅がないものだった)

 そんな過去を引きずりつつ、時間が経過。(この間20年?)

 そしてジャンクのTV用電子チューナを入手し、本機の製作に至っている。


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