「つばさ」新型車両とデザイン決定


  ===== 目 次 =====
1.新製される車両のタイプはE3系
2.塗装色は明るめのシルバーメタリックとグレーの2トーン
3.新しい「tsubasa」のロゴと「四季感動のやまがた」ロゴが描かれます
4.現行400系は車両整備の時期に合わせて順次塗装色が変更
5.E3系「つばさ」の車両に関する疑問
6.ローカル用に新製される車両に関する疑問

1.新製される車両のタイプはE3系

 
 現行「つばさ」は、400系(7両編成)12編成で運行されていましたが、新庄延伸に
伴う運行区間の延長により車両が不足する為、新たに2編成を新規に製造する事になって
いました。
 現行400系がやや設計が古くなりつつある事や、最高速度の違いや運行時の使用電力量,
車両製造コスト,メンテナンスコストの面から、新庄延伸に伴い新製される「つばさ」用車両
2編成は、秋田新幹線「こまち」と同型の「E3系」が導入される事になりました。


(参考)400系は試作車両の登場が平成2年(量産車は平成4年)であり、新庄延伸開業時点で
   約10年前の設計となります。
    400系の電装関係は200系がベースの「直流直巻モーター」を「サイリスタ位相制御」に
   より運転する方式ですが、最近の車両は小型軽量で高性能化が可能な「交流誘導モーター」を
   「インバータ」により制御・駆動する方式が主流となっています。

    「直流直巻モーター」には整流子という消耗の著しい部品が必要とされ、定期交換が必要
   ですが、「交流誘導モーター」は整流子が無い為にモーター自体のメンテナンスの手間が
   大幅に簡略化されます。また整流子が無い事から、整流子にまつわるトラブルが無く、
   構造が簡単なので小型化が可能となり、またこれらの相乗効果で高性能化が可能なのです。

    車体についても400系は鋼体でありますが、E3系はアルミ合金を使用しており軽量化が
   図られています。
    バンタグラフについても400系は従来ながらの形状ですが、E3系は風切音や対積雪性に
   優れている「くの字」型の「シングルアームタイプ」が使用されています。


2.塗装色は明るめのシルバーメタリックとグレーの2トーン

 塗装色は現行400系のシルバーメタリックでしたが、現行のイメージを継承しつつ
明るいイメージにする為に、上半分が明るめのシルバーメタリック,下半分がグレーの、
2トーンとなります。
 車両先頭の連結器カバーから窓下にかけて配される緑色の帯を境に、2色に塗分け
られるようです。

(バス代行運転のパンフからスキャンニングしたのですが、色合いが良く撮れませんでした。)

 現行のシルバーメタリックは、新幹線車両としては400系にしかなかった独特な
塗装色で、光を反射し自然に溶け込むような感じで山形という土地にマッチさせるべく
良く計算された色で定評がありましたが、東北新幹線に「こまち」用E3系等新しい
車両が増え、シルバーメタリックが逆に「暗い」イメージに映るとの意見が聞かれる
ようになった事から、今回変更がなされたものです。


3.新しい「tsubasa」のロゴと「四季感動のやまがた」ロゴが描かれます

 車体側面には、新しい「tsubasa」のロゴマークと、山形をPRする「四季感動のやまがた」の
ロゴマークが入ります。

 

車両に描かれる、新しい「tsubasa」ロゴ(左)と「四季感動の山形」ロゴ(右)

 「tsubasa」のロゴマークは水鳥等の大きな翼をイメージしたデザインで、先頭車両の側面に
描かれます。

 現行400系の車両側面には、車両型式である「400」の数字をデザインした
ロゴマークが描かれていまいしたが、新製される車両がE3系である事から
新たにデザインしたものと思われます。


 「四季感動のやまがた」のロゴマークは、山形県の観光キャンペーンのシンボルマークで
車両出入り口付近に描かれます。
 特定の県のキャンペーンマークが新幹線車両に描かれるのは初めてとの事です。

「四季感動の山形」ロゴ(オリジナル)


4.現行400系は車両整備の時期に合わせて順次塗装色が変更

 現行400系車両も、新製されるE3系と並行して運転されるが、車両の検査時期に合わせて
新しいデザインに変更される予定。


5.E3系「つばさ」の車両に関する疑問

 「つばさ」がE3系で導入されるわけですが、疑問点が2つほどあります。
 ちょっと専門的になりますが・・・

 それは、MT比がどうなるかと、編成番号がどうなるかです。

<用語説明>
※MT比・・・電車の車両には、走行用のモーターのある車両とモーターのない車両が
 あります。1編成当たりのモーターのある車両(M車といいます)とモーターのない
 車両(T車)の比率をMT比と呼びます。
  6M1Tとある場合は、1編成中にモーターの有る車両6両とモーターのない
 車両が1両ある事を示します。
  同じ形式の車両であっても、編成にした時のMT比が変わると、走行性能が
 違ってきます。パワーを出すのがM車なのでM車の割合が多いと性能が高く
 なりますし、M車から引っ張られて(押されて)動くT車の割合が多いと、
 性能が下がります。


※編成番号・・・車両の整備や運行を管理する為に、編成毎に番号がふられて
 います。その番号を編成番号といいアルファベット1桁と数字で表わされます。
  アルファベットが車両形式や編成のタイプ毎に付けられ、数字が同じタイプ
 での通し番号になっているようです。
  JR東日本の新幹線は、営業用車両に関してはAから順番につけられており、
 現在、200系新幹線は「F」「G」「H」「K」,400系が「L」,
 E1系MAXが「M」,東北新幹線用E2系が「J」,長野用E2系が「N」,
 「こまち」用E3系が「R」,E4系MAXが「P」,試験用車両が「S」
 等となっています。

5−1.編成番号はどうなるの?

 現在の400系つばさは「L」が割り当てわりれており、L1からL12までの
12編成あります。

 さて、投入が決まった「つばさ」E3系電車ですが、400系とは別形式だし、
E3系とは言え400系と同じ7両編成になるはず。
 そうなると、編成番号はどうなるの? という疑問が生じます。

 考えられるケースとして、いくつかあります。

(1)「つばさ」用なので「あくまで「L」にこだわりその連番(L13,L14)
  どうせ、今後400系を新製するつもりはないと思うし・・・
  車両運用が「つばさ」が主(一部「なすの」が入るかわかりませんが・・・)
 ですし、車両形式が違うと言ってもわずか2編成しか(当面?)新製されません。
 そうなると新しいアルファベットを割り当てるまでもなさそう・・・
  また6両編成の「こまち」と同じ「R」の連番も適当じゃない・・・

(2)「L」にするが、400系とは別形式なので、番号を飛ばす。
  たとえば・・・
  ・「L」の20番台(L12の後ですこし飛ばした数字)
  ・「L」の80番台or90番台(200系F編成の改造車・・・
   高速対応車,長野乗入対応車・・・の例に倣って)

(3)E3系なので「こまち」用E3系と同じ「R」の連番
  ただ、編成の内容が違ってきますからねぇ・・・

(4)「こまち」の「R」から飛ばす
  編成が違うので、単純に「R」の番号飛ばしを行う。
   「こまち」用「R」が現在14編成だったと思いますが、
  今後「こまち」用編成を増やす事を考えて少し飛ばして
  30番台とか・・・

(5)新しい編成番号を割り当てる。
   ABC順で次が「T」らしいのですが、つばさの頭文字も「T」なので
  最適だとか?

   さぁて、どうなるんでしょうね。

5−2.MT比はどうなるの?

 400系「つばさ」は当初6M(6両編成)でしたが、7両編成化に際し6M1Tに
なりました。
 また「こまち」用E3系は当初4M1T(5両)でしたが、6両編成化で4M2Tに
なりました。

 はたして「つばさ」用E3系は、400系にサービスを合わせる為に7両編成に
なるはずですが・・・MT比をいくらにするのでしょうか?


 4M3Tの場合、最高速度は400系に合わせた240km/h運転なら間に合い
そうですが・・・峠がきつそうです。特に冬場は空転・滑走が多発しそうだし・・・
(現在の400系6M1Tでも空転・滑走が結構あるらしいのです。)

 6M1Tでは元々出力大きいモーターを積んでいるE3系だけに、パワー
もてあましそうだし・・・
(400系のモーターは1台で210kW,E3系のモーターは1台で300kW)


 E3系はVVVFインバータ制御車なのですが、この場合1両でのM車も容易に
製作出来る(電車のモーターのある車両は、大抵、2両で1組の回路が出来るように
なっているので、モーターのある車両を増結する時は2両単位でしか出来ない。)
という情報もあり、そうなると5M2T説が浮上します。

 そこで、編成での合計出力(モータ出力×M車のモータ数×M車数)と、T車を
含めた1両当たりの出力を計算してみました。

現行車両
400系7連「つばさ」6M1T:: 210kW×4台×6両 = 5040kW(1両当たり720kW)
(鉄道ジャーナル'98年1月号に掲載された比較表の数字と違うのは何故?
・・・記事の数字のほうが計算ミスだと思いますけど・・・)
E3系6連「こまち」4M2T:300kW×4台×4両 = 4800kW(1両当たり800kW)
E2系8連「あさま」等6M2T:300kW×4台×6両 = 7200kW(1両当たり900kW)


「つばさ」用E3系を想定し・・・
E3系7連4M3T:300kW×4台×4両 = 4800kW(1両当たり685kWでちょっと少ない)
E3系7連5M2T:300kW×4台×5両 = 6000kW(1両当たり857kWでこんなもの?)
E3系7連6M1T:300kW×4台×6両 = 7200kW(1両当たり1028kWであまりにも多い)


 編成出力的には、5M2Tが有力ですが・・・1両で完結するM車を新しく
設計する必要がありますね。

 さらに、これに編成重量を考えると・・・(これ以上の所は資料がなく不明。)


6.ローカル用に新製される車両に関する疑問

 ローカル用電車も新製されるようで、701系5500番台電車になるとの
情報があります。
(JR東日本の土崎工場・・・秋田・・・でギ装を行うそうです。)

 さて701系電車には、今まで以下のようなタイプがありました。

・狭軌仕様(全てオールロングシート仕様)
 初期形(0番台):秋田・山形地区の輸送改善の為に50系客車からの
          置き換えの為に投入された車両。
 100番台:秋田・山形用だが、一部マイナーチェンジ。
 1000番台:仙台地区の輸送改善用に投入。
 1500番台:仙台地区用で回生ブレーキを搭載(他形式は発電ブレーキのみ)

・標準軌仕様
 5000番台:田沢湖線用に投入された形式で、シングルアームパンタを積み
        ロングシートとクロスシートを千鳥配置されてある。


 今回登場するのが、標準軌仕様で5500番台です。
 田沢湖線仕様は、標準軌仕様という事で5000番飛ばしましたが、今回
そこからさらに500番飛ばす訳です。
(5000番台の増備の可能性も考えているようですが、それはおいといて。)
 番号を飛ばすからには田沢湖線仕様から、何かが変わるのでしょうけど、
何が変わるかが疑問なのです。


変更が想定される内容
・仙台用の1000番台→1500番台の変更内容(インバータの制御方式の変更・・・
 ブレーキ方式の変更:発電ブレーキから回生ブレーキへ)を盛り込む
・インバータのスイッチング方式の変更
 (高出力トランジスタ→IGBT)

 なにせ板谷峠の事を考えると、発電ブレーキにするとブレーキ抵抗の
容量アップが必要でしょうから、そういう意味では回生ブレーキ化は
十分に考えられます。
(ちなみに719系5000番台も回生ブレーキ付きです。400系は
発電ブレーキのようですが・・・)

・砂撒き装置の取り付け
 峠区間の空転・滑走を押さえる為に、砂撒き装置が必要になりそうです。
 (今までの701系にはあったのかな?)

・719系5000番台との併結及び総括運転の対応
 719系5000番台も一緒に運用するようになりますが、併結する場合を
考えて総括運転に対応しないといけないのかも・・・

・シートの変更
 5000番台はロングとクロスの千鳥でしたが、違うとすると・・・
今までの701系にならって、地方路線としては悪評高きオールロングシートですか?
(おお、恐!)
 でも、山形までの上り列車の実態からすると、そんなもんかも知れません。
(現在、701系の10連で運行しているスジがある位ですから・・・結構
混雑するのかも・・・)

ただ、シートに関しては、正直何とも言えません。


ところで、土崎工場でギ装するとなると、山形までの回送ルートが気になります。
2つのルートが思いつきます。

 土崎工場→(狭軌台車にて機関車牽引)→秋田→(奥羽本線)→新庄(台車履き替え
自走またはクモヤ743牽引)→山形
 この場合、改軌工事が完了しないと動かせません。

 土崎工場→(狭軌台車にて)→秋田(台車履き替え)→(奥羽本線,田沢湖線)→
盛岡→(東北新幹線,クモヤ743牽引)→福島→(奥羽本線)→山形
 ええーーっ、701系がとうとう東北新幹線に進出するんですか?


関係(参考)新聞記事(山形新聞'99年1月30日付朝刊より)
 関連山形新幹線新庄延伸に向けての車両の増備について(JR東日本のページへ)

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Copyright (C) by Y.Wagatsuma
'99/02/15新規制作
'99/02/19更新(車両に関する疑問追加)