寝台特急「はやぶさ」乗車記


 これは、98年4月のこと。
 27日に会社に出たら突然の出張が決まり、28日発で熊本へ行き
30日に帰ってきました。

 このページはその時に利用した2つの交通機関の初体験のレポートです。


1.行きは飛行機

 緊急の出張である為、列車利用というわけにはいかず、
不本意?ながら、行きは「飛んで」行く事になりました。
 生まれて初の飛行機体験です。28日朝、山形空港9:00発の
羽田行ANA802便、そして羽田から熊本行ANA645便で
熊本空港着12:15でした。さすがに速い。


 山形空港で待ち合わせをしている人がいるので、朝一番の電車で
高畠から山形駅へ、そして神町駅まで行ってタクシーで空港へ向かう。
(朝一番の山形行きの電車に乗るのなら、朝一の「つばさ」で東京に
向かえば羽田でANA645便に十分間に合うのだが・・・)
空港に着いてしばらくしたら待ち合わせの人も到着した。

 チケットは会社で手配してもらっていたので、すぐ登場手続きや
荷物を預けて2階に向かい、ゲートをくぐって待合室へ。

 まだ私が乗る機体は見えなかったが、しばらくすると轟音と共に
ANAの飛行機が着陸するのが見えた。
 あれが自分の命を預ける機体なんだと、写真を撮った。

 そして、とうとう搭乗。シートに座り内部の観察。TV等で見てるとは
いえ、なんとも言えない感じ。
 備え付けの安全に関する冊子に目を通す。そして離陸の準備。

 機体が空港の建物から離れていく様子が前方のスクリーンに
映し出されている。後でわかったのは、この時はトレーラーが
引っ張っていた。

 トレーラーが離れ、作業員が機体から離れていくのが見えた。
エンジン音が高まり少しずつ機体が動いていく。滑走路に向かう
ようだ。さきほど機体を誘導していた作業員が手を振っているのが
見えた。

 滑走路の南端に着いた。そしてエンジン音が急に高まった。
とうとうその時が来たと覚悟を決めた。(大袈裟か?)
 すごいGがかかり速度がどんどん増していく。そしてふっという感じで
浮き上がった。そして機体前部が急に持ち上がっていく。まるで
ジェットコースターの加速を上昇しながら味わっている感じだ。

 山形を飛び立ったANA802便ですが、山形空港の地形的な制約と
いうか、急上昇するんですね。飛び立つ時の加速はさすがですが、
その加速状態でグイグイ上っていきます。
 Gの大きさは、加速の良い自動車程度かなと思います(そんなに急加速したら
普通の乗客は体持たないでしょ。)が、持続する時間はさすがに長いですね。
 浮き上がった状態からさらに加速は続いているわけですし、それに上昇に
伴うGもかかります。
 滑走路の長さがどの程度あるかわかりませんけど、浮き上がる速度は
せいぜい数百km/h位だと思います。
 機内でもらってきた機内誌にANAの飛行機の仕様?が書いてありましたが、
巡航速度はMach0.8程度。そして機内アナウンスでは高度7000m位
まで上昇(山形−羽田便)と言っていたと思います。

 離陸は北の方角に飛び出し、上昇しながら左に旋回していきます。
ふと窓の外を見ると雪が積もった月山系の山並みがとてもきれいに
見えました。



 ようやく上昇が収まると、これが安定しているんですね。もっと揺れるの
かと思いましたが、驚きました。

 天候が良かったのと、翼より前のほうの窓際の席だったので下のほうも
良く見えました。どの辺の上空かな?と思い窓から下を見ていましたが、
しばらくすると見覚えのあるような湖が見え、その後雪が点々と残る
山並み、その後また大きな湖が見えました。良くみれば桧原湖でした。
そしてその次に目に飛び込んできたのが丸い大きな猪苗代湖でした。

 という事は最初に見た湖は水窪ダム(米沢市)だったようです。
このルートは自宅付近の上空を通過するルートなんです。
そういえば自宅の上空のわずか東側を飛行機が通過するの
良く見かけましたっけ。

 空を飛んでいると速度感がないですね。下界の景色がゆっくり流れて
います。

 羽田に近づくにつれ、雲が多くなってきました。
 さきほどまではあんなに安定していたのに、時々すっ とか、グラグラッ
という具合に揺れがきます。気流のせいのようです。
 下界が雲で見えないので、新聞や機内にある小冊子を見ていました。

 羽田に着く頃には雲だらけで見えなくなってしまいました。
 旋回しながら下っていく様子がわかります。すっと下ったり、
斜めになったり。あくまり気持ちのいい感覚じゃないですね。
 下が暗いので、積乱雲かな?と思っているとその後に見えたのは
海面でした。

 モニタには前方の様子が写っています。滑走路が見えてきました。
だんだん近づいていって、ふとフライトシミュレータを思い出しました。
 そして着陸、無事降りたとおもったら逆噴射に伴う大きな噴射音と
急減速。初めての事だけに驚く事ばかり。


 羽田ではタラップを降りてバスで移動です。そして熊本行きの手続き後
再びバスに乗って移動です。
 そしてたて続けの飛行機搭乗。残念ながらシートは丁度翼の辺り。
先ほどと違って下の景色は望めそうにない。

 さすがら羽田は混んでいる。滑走路に当機が向かう間、前方には
滑走路に向かう他機が3機ほど見える。
 順番がきて、こちらも離陸。山形程の急上昇はない。
 飛び立ってしばらくすると、左前方に富士山の頂上付近が雲の上に
浮かんで?いるのが見えた。

 瀬戸大橋が見えるという機内アナウンスがあったが、見えなかった。

 さて熊本に着くようである。大きく何度も何度も旋回している。
 その間、機体は大きく傾き、また高度が下がる為ジェットコースター
気分。あまりいい感じじゃないな。

 というわけで、無事着陸。でも飛行機はやっぱりあと乗らなくていいや。


2.そして帰りに念願の?寝台特急に初乗車

 熊本に到着後、仕事を片づけ1泊。そして次の日、2泊予定で
出かけたのですが、予定より早く帰れる事になったので、仕事が
終わってから駅に行って寝台特急「はやぶさ」号の空席を確認。
(当日なのに、170席も空いているってどういう事?)

 空きを確認した後、2泊予定で取っていたホテルを一日分キャンセル。
 そして、切符を購入し(さすがに、B1・・・ソロ・・・は空きがありません
でしたので、普通のB寝台でした。)とうとう「はやぶさ」の乗客となって
しまいました。(寝台利用も初体験だったりで、今回は2つの「初体験」
を味わって?きました。)

・・・「はやぶさ」の乗車時間までの待ち時間は、熊本駅に隣接(同居?)
しているゲーセンで「電車でGo!!」してました。


 「はやぶさ」号は、熊本と東京を結ぶ24系25形客車による寝台特急列車で
A個室,Bソロが各1両、「ロビーカー」1両、他は全てB寝台です。

 ゴールデンウィークが始まったとは言え、29日熊本発の「はやぶさ」の
車内はガラガラで、B寝台もほとんど「個室」状態で結構のんびり出来
ました。
 「ロビーカー」も誰もいない時が多く、私一人で2時間近く占有していた
というのもありました。

 ロビーカーに乗っている時、広島を出た辺りで車掌が回ってきたので、
どの位お客さんがいるか聞いてみると、「これから回る所」という事でしたが、
おおよそ50名との事。Bソロには家族連れ等が利用していたようでしたが、
他の車両は私が見た範囲でもガラガラでしたから、こんなもんでしょう。
でも本当に利用者少ないんですねぇ。
(結構若い女性が利用していたのには驚きました。)


 で、例に漏れず録音機材持参(仕事で行っているはずなのに・・・)
でしたので、車内放送の録音を可能な限り行ってきました。(眠って
しまったり、丁度テープが無くなってしまっい録り損ねたのが若干
ありますが・・・)

 チャイムの音楽ですが、電子音チャイムで、客車用の音楽でした。
客車用の電子音タイプを「生」?で聞いたのは初めて(WWW上で
公開されているチャイムでは良く聞いているのですが。)で、なんか
不思議な感じでした。

 それと、電子音でないのが一度だけ流れました。朝7時の車掌からの
車内放送再開の放送のあとに車内販売の方が流した放送ですが、
 なんと機械オルゴール式から始まったのです。残念ながら録り損ねて
しまいました。

 車掌は編成中央の「オハネフ」(オハネフ25−24かオハネフ25−206)に
いましたので、電子音のチャイムはこのどちらかの車両からのものだとは
思いますが、車内販売の方がどの車両から放送したかは不明です。

 機械式が残っていたのがうれしいけど、録り損なったのがちょっと悔しい
です。


 門司、そして下関で機関車が交換されました。
(九州地内は交流電化の為、交流用機関車,門司〜下関間は関門
トンネル専用の機関車,そして下関〜東京間は直流用機関車)
 その際には、思わずホームに降りて確認に行きましたが、カメラを持って
降りてこられた方がもう一人おりました。・・・あの方もきっと「鉄」な方
だったのでしょうけど、特に声を掛けたりしませんでした。


 ついでに受信機持参でしたので、発車時の車掌と機関士の通話も確認
しましたが、客車列車ということでCタイプと言われる無線が使用
されており、区間によってチャンネルが使い分けされていました。
(「上り」チャンネルと「入換え」チャンネルの2つ使用されていた。)


 ビールは売っていましたが、寝てしまっては面白くない(何の為の寝台車か
という話はおいといて・・・)ので、飲みませんでした。
 そして広島(2240|2244)を出て、かみさんにTELするまで
(この日、遅番勤務で、帰宅が22:50頃)しばらく起きていました。
(ロビーカーにて)

 その後自分の席に戻り横になって寝ましたが、岡山(0051|0053)、
大阪(0300|0303)、京都(0335|0337)、米原
(0427|0428)等で運転停車した事はしっかり覚えてます。
(時刻は手元の時計にて)

 止まると不思議と目が覚めますよね。止まる度に時計を確認してそれを
メモし、また無線の発車合図をチェックしたりして、動き出すとまた寝て
いました。

 そんな事をしていたのでさすがに朝最初に停車する岐阜(0504|0505)
では起きられず、浜松(0634|0640)でようやくうとうと・・・そして
浜松を出て7時丁度の車内放送で起きたって感じでしょうか


 結構な長旅(熊本16:28発 東京着10:13 しかもその後「つばさ」で
こちらまで戻る2時間30分の旅が続く・・・)でしたが「寝台特急」の旅
悪くないなぁ。しかも「のぞみ」の特急料金より安いんだよ。(時間短縮
優先の「のぞみ」と比較してしまう、自分が恐い・・・)

 もっと寝台列車乗りましょうね。


 でも、窓の汚れどうにかならないんですかねぇ。せっかくの長旅なのに、
窓が汚れていたのはがっかりです。我慢ならなくて大牟田到着時に
ぬらしたティッシュを持って車外に出て外から拭いてみましたが・・・
あまり効果なかったな。鉄分を含んだ汚れのようです。
濡れ新聞のほうが効果あったかな?

 それから、若干車輪にフラットが起こっていたようで、走っている時に
「カタカタカタカタ」と言っていました。でも他も車両にはもっとうるさいのが
いたので、まだ良かったですが・・・長距離を走る列車なので、メンテナンス
するのも大変なのでしょうね。

 またある速度域でコーナーを曲がると独特な左右の揺れが起こる
ようで、寝ている時にこれが起こるとちょっときつかったなぁ。


 それと、食事関係のサービスがさびしいですね。
 「はやぶさ」の車内設備は質素そのもので・・・シャワーカーはもちろん、
食堂車も番店もない。あるのはジュース/ビールの自動販売機だけ。
 車内販売も朝7時にならないと入らない。途中の停車も機関車の付け
替えを伴う門司と下関に5分停車する以外は短時間の停車しかなく、
停車中に駅の売店には行けないし、5分停車の門司・下関も、ホームに
売店があるのはどちらかだけなんです。

 予想はしていたので乗車前にある程度の食料は仕入れて乗車しましたが・・・ 
 シャワーは別として、食料の入手性だけでももう少しどうにかできない
のかな?って思いました。だって熊本で乗車して車販が入るまでって
就寝している8時間(単純計算で)を除いても7時間もあるんですよ。


 まぁ食料難?という問題がありましたが、この雰囲気、やっぱりいいですね。
 機会があれば、また乗ってみたいですね。

 以上とりとめもないレポートでした。それでは。


3.データ編

 1998年4月29日熊本発の「はやぶさ」編成

・牽引機
 ED76−87(熊{→門司間)
 EF81−410(門司→下関間)
 EF66−47(下関→東京間)

・編成(東京方より) 特記無しはB寝台
12 オハネフ25−27
11 オロネ25−5(A個室)
10 オハネ25−1004(Bソロ)
 9 オハネ25−130(私が乗った車両)
 8 オハネ25−106
 7 オハネフ25−206
 6 オハネフ25−24
 5 オハ24−704(ロビーカー)
 4 オハネ25−132
 3 オハネ25−136
 2 オハネ25−119
 1 オハネフ25−155
   カニ24−9(電源車)


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2005/09/01更新(車両形式訂正)
2002/10/15新規作成(暫定版)