E351系特急型電車「スーパーあずさ」


1.はじめに

 出張で長野方面に出かけましたが、信越本線横川−軽井沢間が
間もなく廃止というこの時期なのに、ちょっとした方向の差で
「あさま」じゃなくて、「スーパーあずさ」に乗る事になりました。


('97年9月10日新宿駅6番線にて
 使用カメラ:FUJIFILM DS-7)

 実は「スーパーあずさ」はこれが3度めの利用(以前の出張時の
1往復と今回)です。今回は行きは「スーパーあずさ」でしたが、
帰りは普通の「あずさ」(正確には183系のデラックス車両・・・
狩人が歌っていた電気釜といわれるあのタイプの塗装色変更+内装改良
タイプです。・・・山形方面で言う「こまくさ」に似た車両・・・)
でした。


('97年9月11日岡谷駅1番線にて
 使用カメラ:FUJIFILM DS-7)

 車両の性能等は資料がないのですが、私が乗った感想 特に振子式車両
である事と、その運転速度に関して私の感想をページにしました。


2.E351系のフォルム

 「スーパーあずさ」として走っているE351系には
「振り子」と言われるカーブが来ると車両が内側に傾くような
仕掛けがついています。(車でいうアクティプサスのようなもの)

 車両が傾いた時に車両限界を超えないように、車両の断面形状
が上のほうが極端にすぼまった独特なフォルムをしています。
 また振子の動作原理上車体上部の軽量化する必要があり、車体
上部には空調設備を載せないような設計となっている為、
屋根上が非常にすっきりしています。

 車両前部にはE651系「スーパーひたち」でもおなじみの
LED式のパネルがついています。


3.振り子式車両と車酔い

  振子式車両は、カーブの多い国内路線で、平均運転速度を
あげる為に開発されたものです。
 普通の車両の場合遠心力によって車両の重心がカーブ外側に
引かれ運転速度をあげられないのに対し、振子式車両は車体を
遠心力に逆らって内側に傾けることで、重心がカーブの外側に
いかないようにし、運転速度をあげる事が出来る特徴を持って
います。

 ところが車体を内側に傾ける動作が、人によっては車酔いを
起こす事があるようで、日本で最初に開発された振り子式電車で
特急「しなの」として走っている「381系」と言われる車は、
「自然振り子式」といい遠心力によって車体が内側に傾くだけの
しくみで、カーブに入ってから車体が傾き出す動きをする為か、
車に酔う人が多発したとか。

 そんな背景からそれ以降に製造された振り子式車両(JR東日本
E351系電車,JR北海道281系DC,JR四国8000系
電車,JR九州883系電車等)は、全て「制御付き振子」と
いわれて、コンピュータ仕掛けでカーブに来る前に車体が内側に
傾きはじめるという仕掛けを積むようになっています。
 E351系もその流れを組み、制御付き振子式となっています。


 実は前回の出張の帰りにE351系「スーパーあずさ」に乗車
した時、車両の動きがつかめなかった事と、仕事がハードで体調が
思わしくなかった事があり、半分酔いかけました。
(私自身、車には弱いほうで・・・助手席,後部座席は苦手です。)
 というわけで、今回こそ車両の動きをつかむぞ と、頑張っ
て?きました。

 さて、最初のうちはなかなか動きがつかめませんでしたが、
コーナーに入ると腰が左右に振られているという動きが、
だんだんつかめてきました。(車両の構造考えれば、わかる
事だったんですねぇ。)

 で、結論としては、単純なカーブの場合はあまり問題ない
ですが、カーブが左右に連続して続くような時は背もたれに
背中を押し付けないようにして座り、車両が内側に傾いても
かまわず、遠心力で体が左右に勝手に振られている状態が
一番楽でした。


 それにしても、車両の傾く最大角度が5〜6度程度と聞いて
いますが、実際に乗ってカーブに入るとその傾き方はすごいです。
(実は前回乗車した時は行きも帰りも暗くなっていて、良く
わからなかった。)
 垂直に立っている電柱と車体の比べると良くわかります。
 線路自体がある程度内側に傾く形に作られている事もありますが、
外から、カーブを走っている所を一度見てみたいです。


 ところで、振子から離れますが、トンネルに入った時の「耳ツン」
が結構感じられました。これも速度が高い為でしょうか。


4.E351系のパンタグラフ

 ところで、車体が内側に傾くと車両に電気を取り込むパンタ
グラフが架線から大きく離れてしまう恐れがあります。
 その為E351系の場合、台車枠からアームが伸びていて、
その先にパンタグラフがついてあり、車体が傾いてもパンタ
グラフは傾かないという面白い仕掛けになっています。
(もちろんアームは車体内に隠れて、外から見えるわけでは
ないですが。)

 E351系以外の振子式車両ではパンタグラフの台が円弧状の
ベアリング式ガイドに乗って車体に取り付けられており、それが
台車とワイヤーで結んであり、車体が傾いてもパンタグラフの
位置が変わらないという仕掛けのものもあります。
(JR四国8000系電車)


 E351系のパンタグラフの形状ですが、普通パンタグラフと
いうとひし形というイメージが強いのですが、シングルアームと
いわれる「く」の字のタイプです。


(スチルカメラで撮った写真をデジカメで
落とした関係で画質が悪く申し訳ありません。)

 ちなみにE3系「こまち」にもこのタイプが積まれています。


5.「スーパーあずさ」の最高速度と平均速度

 さて「スーパーあずさ」の最高速度は、「つばさ」の在来区間の
最高速度と同じ130km/hなんです。

 でも、カーブがあっても振り子に物を言わせて速度をあまり
下げずに突っ込み!!ますので、平均速度は「スーパーあずさ」の
方が上じゃないかと思って調べてみたら、さぁ大変。
(以下の数字は、JTB版時刻表'97年7月号による調査結果です。)

 新宿−高尾間のように快速電車にひきずられながら走っている
「スーパーあずさ」ですが、最も早いものでは93.2km/hをたたき
出しています。しかも、新宿−八王子間を除いて計算すると
98.1km/hなどという山岳路線を抱えているという条件下でありながら
化け物のような数字が出てきました。
(計算が面倒なので松本までの営業距離と所要時間から割り
出しています。)

 それに対する「つばさ」の在来区間。こちらも板谷峠という
難所を抱えており、福島−山形間では最速でも87.1km/hに
とどまってます。
 比較的条件の良い山形−米沢間に限定しても最速でやっと
94km/h。(途中停車駅無しでです。)

 実際には列車によっても停車駅の数等の関係で所用時間に
ばらつきがありますので一概にはいえませんが、上記の
数値を見ただけでも、いかに「スーパーあずさ」が飛ばして
いるかが良くわかりますね。
 駅間が長いことと比較的直線の区間が多い事も影響して
いるとは思いますが、それにしてもすごい。


 ところで、「つばさ」に限らず、東北・上越(含む秋田)
新幹線の大宮−東京間の最高速度は110km/hです。なんと
「つばさ」等の在来区間の最高速度よりも遅い。!!!
 あの区間、最強じゃなかった埼京線の電車をやっとの
ことで追い越しながら、いかにも「のんびり」走ってます
よねぇ。笑ってやって下さい。


6.E351系のオーディオサービス

 E351系にはミニFMを経由したオーディオサービス
機器が搭載されています。
 前回利用した時、その周波数をメモるのを忘れていました
が、今回ようやくメモしてきましたので紹介します。

 76.0MHz・・・NHK FM
 76.6MHz・・・沿線の民放FM
 77.5MHz・・・NHK第一(AM)

 以上3波で、ラジオ放送の再送タイプです。
 なおオーディオサービスに関する詳細は、こちらを参照下さい。

 ところで前回利用した時はミニFMを経由て車内放送や
ジングルの録音に成功した(こちらを参照)のですが、
今回利用した編成(S-5)は、車内放送どころか、ラジオ放送の
再送すら動作していませんでした。
(上記周波数のキャリア・・・電波・・・そのものは出てました。)


7.最後に

 個人的な希望としてはせっかく長野方面に行くのだから
現行の「あさま」に乗って、今年('97年)10月で廃止されるという、
JRの最急勾配区間(66.7パーミルと言って1000mの
間に66.7m登る勾配。ちなみに「つばさ」が走る板谷峠の
最急勾配は38パーミル。これでも結構きついほうです。)で
ある横川−軽井沢間の乗車を体験をしたかったのですが、
ちょっと行先が違っていました。(岡谷から飯田線で南下しなくては
ならなかった。)それに、今回は時間的な制約が有りすぎて
(それがなかったら休暇を取ってでも通っていたかも)残念でした。


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'97/09/15新規作成