こて絵
旧吉野家旅館の【こて絵】
昭和初期,萩生の町界隈(かいわい)は大にぎわいであった。その中でも当時,旅館が2軒あり,吉野屋と八百八が隣同士で東から西に細長い構造で建っていた。その中で唯一,建物の一部が残るのは吉野屋であり,入り口のくぐり戸を抜けて旅館に入る面影が当時をしのばれる。こて絵もその一つで,通りに面した壁に施されている。
こて絵(こてえ、鏝絵)とは、日本で発展した漆喰(しっくい)を用いて作られるレリーフのことである。左官職人がこて(左官ごて)で仕上げていくことから名がついた。
題材は福を招く物語、花鳥風月が中心であり、着色された漆喰を用いて極彩色で表現される。これは財を成した豪商や網元が母屋(もや)や土蔵を改築する際、富の象徴として外壁の装飾に盛んに用いられたからである。 また,このこて絵は黒沢の高伝寺境内に建つお堂にも見られる。
