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立場と感情


突然、守護聖が「飛空都市」に招集をかけられ、女王試験の実施が宣言された。二人の女王候補が召し出されたが、全く対照的といってもいい少女達だった。
一人はロザリア。幼い時からその素養を認められ、英才教育を受けた容姿、家柄共に非のうちようの無い少女。磨き上げられてあとは宝飾品に加工するばかりの貴石のようだと例えたのは夢の守護聖。
もう一人はアンジェリーク。ごく平凡な娘。しかし未知数の才能が感じられる。地の守護聖の言葉を借りれば「未知の鉱石のようですね。大きな宝玉が入っているか、それとも普通の石か。わくわくしますねー。」とのこと。
この対照的な二人を相手にするのは個性派揃いの9人の守護聖。
彼らを取りまとめる首座の守護聖ジュリアスの苦労はいかばかりか・・・

試験が始まって数日。ロザリアはごく論理的に大陸の育成を進めていた。アンジェリークはまだ戸惑いが先に立ち、育成も思わしくなかった。だが、外に出る元気は残っているようで公園などを散歩する姿が見られた。

・・・あの者は全く女王候補らしくない。王冠や礼服よりも日の光が似合う。未来の女王としてはいま一人の候補ロザリアの方がずっとふさわしく見える。だが、何故にあの者から目が離せないのか・・・

それから聖地の時間で数ヶ月の月日が流れた。ロザリアは相変わらず論理的な育成を続けており、育成の開始した時期と同様のペースで大陸を発展させていた。アンジェリークは出だしこそロザリアに後れをとったものの、その後は順調に進み、大陸は右肩上がりの発展を続けていた。
また、数字にこそ表れないが「生命力」というべきものもアンジェリークの大陸の方が勝っていた。
首座の守護聖としての職務からいえば、力に満ちた新たな女王の世紀の始まりは喜ばしいことであるはずだった。

・・・アンジェリークは素晴らしい女王となるだろう。だが、私は彼女を謁見の間の帳の奥に閉じ込める事を良しとしない。世界の為には必要な事柄だが、私の気持ちは、そう私は彼女を我が側に置きたい。私の腕の中に閉じ込めてしまいたい。
・・・このような感情は捨てるべきだろうか?何故このような気持ちになったのだ?しっかりするのだ、ジュリアス。そなたは女王に忠誠を誓い、首座の守護聖としての勤めをまっとうすべきではないのか。だが・・・

ジュリアスは悩み、苦悩した。
その決心はジュリアスにとっては正にこれまでの価値観を破壊してしまうに十分なものであった。「忠誠の指輪」を捨て、アンジェリークと対になった指輪を用意した。

「私の生きてきたこれまでの時は、本当は守護聖の職務を全うする為ではなく、そなたと巡り合うために用意されたものだったのであろう。アンジェリーク、私と共に生きて欲しい。」
微笑みで答えた少女の身体を自らの腕の中に抱き取った時、ジュリアスはこれまでにない幸福感を味わった。首座の守護聖としての生だけでなく、一人の青年として、愛しいものと共に暮らす。新しい世界への出発の時であった。

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