海亀湾図書館
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what's new 03/04 書評 一時閉館
 
2017/1/4  BEST OF 2016そして新春
 昨年は病院に縁のある年だった。

年末の最後の数日も、
いつになく慌ただしかった。

自分の人生は明らかに折り返しており、
終着地点はわからないが、しかし、確実に
そこに向かっていることを意識せざるを得ない。

新年になってしまったが、昨年、印象に残った
文学や文化や芸術を淡々と記していく。


【小説部門】
「BB/PP」 松浦寿輝
「その姿の消し方」 堀江敏幸
2016年はかつて読んだ本を読み返してばかりで
新作にはあまり触れられなかった。
この2冊はどれも読み掛けだが印象は良好。

【漫画部門】
「アイアムアヒーロー」 花沢健吾
主人公がイケメンでないところが肝であり、
だからこそ、読んでいるとウエルベックの
「素粒子」が思い浮かんできて好きになる。

【映画部門】
「君の名は。」 監督・新海誠
実写の「シン・ゴジラ」より、こちらに軍配。
涙腺が三回緩んだ。
確かに何度も繰り返し観たくなる。

【音楽部門】
「METAL RESISTANCE」 BABYMETAL
今年もっとも多く聴いたのがこれ。
Blu-rayも購入したのは振り付けが魅力だから。
次点は宇多田ヒカルの新譜「ファントム」。


新年を迎え、2017年の読み初めは
中島敦の「名人伝」を選んだ。
この作品は嘘が上手だなと思う。


■■■■■

・「ヨハネスブルグの天使たち」 宮内悠介 ハヤカワ文庫
・「盤上の夜」 宮内悠介 創元SF文庫
・「道化師の蝶」 円城塔 講談社文庫

・「ルビコン・ビーチ」 スティーヴ・エリクソン ちくま文庫
・「ゴッド・ガン」 バリントン・J・ベイリー ハヤカワ文庫

・「雨のことば辞典」 倉嶋厚・原田稔 編 講談社学術文庫

・「最強の服選び」 大山旬 大和書房

・「アイアムアヒーロー」21巻 花沢健吾 小学館

・「文學界」十二月号 文藝春秋
・「群像」十二月号 講談社
・「新潮」十二月号 新潮社
・「文學界」一月号 文藝春秋
・「群像」一月号 講談社
・「新潮」一月号 新潮社


■2016topic

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2016/10/11   両陛下
 生前のご譲位を希望するお言葉を表明してから、
初めて我が地元に天皇皇后両陛下がご訪問下さった。
ちょうど一ヶ月前のことである。

薬局で買い物をしていると、日の丸を持った人々と
多くの警官で沿道が溢れているのを私は見掛け、
ああ、もうすぐこの道を両陛下のご乗車された車が
お通りになるのだろうと思った。

こんな機会に遭遇するのはもうないかも知れない。

私はいてもたってもいられなくなり、
沿道の群衆にすぐさま交じると、他県から警護の
応援に来ていた警官の話に耳を傾けた。
三十分後にこの前を通るとのことだった。

私はこれまで、
天皇陛下にお目にかかったことはなかった。

最も身近で、最も遠く、最も畏れ多い存在が
日本国民にとっての天皇陛下であろう。
その一方で、天皇陛下はどこに行っても
歓迎を受ける人気者なのだ。

私たちは知っている。
天皇陛下ほど常に日本国民のことを
心から思っている方はいらっしゃらない。
東日本大震災の被災地をご訪問し、
被災者の前にひざまずいて慰労して回った
あのお姿を、私たちは忘れない……。

この日、私は一眼レフは持っていなかったから、
そのお姿を肉眼に焼き付けようと決めた。

沿道の群衆がざわつき始めた。
そのときが近付いてきたのだ。
1、2、3と番号が振られた三台の先導する車が通過する。
次に目の前を通るのが陛下がご乗車するお車だ。
私は目を凝らして待った。

それはあっという間の出来事だった。
黒塗りの車がゆっくりと通過していく中、
後部座席には手を振る両陛下のお姿があった。
テレビの報道でお馴染みの、あのいつもの笑顔。
控えめに手を振る美しい皇后陛下の隣で、
シートから身を乗り出すように、
こちらに向かって手を振る笑顔の今上陛下。

私は普段、誰かに向かって手を振るような
ことはあまりしないのだが、
気付いたら私は夢中で手を振っていた。
振らずにはいられなかった。
すごくすごく振りたかったのだ。
何故なら、とても感動していたから。

お目にかかっただけで
感動してしまったのは、後にも先にも
両陛下のときだけである。


・「旅愁」上巻・下巻 横光利一 岩波文庫
・「臣女」 吉村萬壱 徳間文庫
・「石の血脈」 半村良 祥伝社ノン・ポシェット
・「吸血鬼ドラキュラ」 ブラム・ストーカー 創元推理文庫

・「文學界」九月号 文藝春秋
・「群像」九月号 講談社
・「新潮」九月号 新潮社
・「文學界」十月号 文藝春秋
・「群像」十月号 講談社
・「新潮」十月号 新潮社
・「文學界」十一月号 文藝春秋
・「群像」十一月号 講談社
・「新潮」十一月号 新潮社


■結晶化する時間

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