第12話 ドライブ


      

実のところ、この話は書こうか迷っていました。なぜなら...
もしかしたら..また関わってしまうかもしれないからです
でも数年経つし、以降何もなく、この1度きりだけの事件だったので
書いてみます

      私がこのての話に事欠かなかったのは、思春期から23歳位までの間だった

     今は何もわからなくなってしまった

     今回の話は、私が20歳そこそこの頃の体験談...


      昔からドライブが好きで、免許を取得と同時に友人達と長距離ドライブばかりしていた

     ある時、私の車でY市の友人宅へ行くことになり、だが、こちらの友人達の都合がつかず

     結局S市から3人で出かけた

     私、後輩Y、そして何度か登場している霊感の強い後輩M

     行き方は、時間がかかるものの、ドライブインの多い国道4*号線と1*号線を使うことにした

     この二つの国道を使うと、ただ1カ所にだけトンネルがあった...

     
      その日のうちにY市へ到着し、次の日はY市と隣の県のS市で遊び

     そのままY市の友人を連れて、S市へ戻る時のこと...

      
      夜、来たときと同じ道路を走り、例のトンネルに来たとき、後輩Mの様子が変わった

     それまで賑やかなくらい話をしていたのだが、急に静かになったのだ

      そして一言

     「ごめん...拾っちゃったみたい」    

      霊感の強い彼女は、時々「何か」を拾ってくる

     だが、この時はとてもやっかいだった

     Mが上記の言葉を言ったとたん、車内の空気が冷たくなった

     私は、ふ..と、ルームミラーでMを見た

     Mの側に...男の顔があった 

      「うわ...いるわ..勘弁してよぉ」

     Mの側に、顔だけが浮いているのだ

      なぜか、男の「目」のあたりが、見づらかった

     なんとか追い払おうと、Mは神経を集中させていた

     怖かったが、私は、車の運転を続けながら、時々ミラーでMと男の顔をうかがった

     そのうち、男はMの側から違う人の側へと移動し始めた


      今でもあの感覚を忘れられない

     男が近づくと、全身に鳥肌が立った...耳鳴りも...
 
     とくに髪の毛が逆立つような...寒さと静電気が混ざったような感覚 

      数十分が過ぎても、男は車から離れなかった

     その間、男は何度も近づいてきては離れていく

      MとY市の友人は

     「ぼーっとしないようにね!こいつ、入るタイミングをさがしてるんだ!」

     と、私とYに何度も言った


      車はそのままS市郊外へ近づいていった

     そして、最上川に架かっている橋をわたる直前、

      「あっ!!!」

     Y以外の3人同時に声をあげた

     それまで誰かの側にぴたりとくっついていた男が

     河の直前に来たとたん、ぽーんと弾むように車から離れたのだ

     Yにはわからなかったそうだ(^^;)

     車内の空気が変わったのが、はっきりとわかった

      「たぶん、もう来ないですよ...元の所に戻ったようです」

     Mが言った

      「でも...離れただけで、またいつか..あの場所を通過したときに来るかもしれません」

      私はウンザリした

     プライベートで何度も通うであろう道だったので...


      あれから数年が経ち、何十回もその場を通ったが

     今のところ、何事もなく無事に通過している

      ただ、妹と母に「このあたり、変じゃない?」と、

     私達の体験を一言も話さないで、たずねてみた

      ...二人とも揃って「気持ち悪い場所...とくにトンネルが」と言った... 

     今も考えることがある

      Mがいたから、このような体験があったのか...と