第14話 招かれざる者

今回の話も、私の母の話です     


   
     

      4〜5年ほど前のこと

     私は、私用でY市へ出かけた

     母は、暇だからついていくと言って私の車に便乗した

     そしてその帰り...

      思っていたよりも遅くなり、国道1*号線は夕方のラッシュで2車線とも

     混雑を極めていた

     Y市を抜け、T市へ差し掛かると
   
     それまでノロノロでも、なんとか順調に走っていた車の流れが止まった

     折しも外は雨
 
     イライラしながら流れを待っていると、片側の車線を

     救急車がものすごいスピードで走っていった

     「もしかして..先で事故ったかな」

     そんな話をしながら、ようやく動き始めた車の流れに合わせた

      行き先の片側車線がパトカーでふさがっていて、1車線のみ走行可能だった

     場所は大きな交差点

     そこへ差し掛かったとき....



      「あっ!!」

     その現場を見て、私は思わず声をあげた

     ようやく着いたのであろう救急車の側に、若い女性が倒れていた

     少し離れた場所には、自転車が転がっていた

     その女性は倒れたまま少しも動かず、顔色も白を通り越して青白かった

     「うわ..すごいの見ちゃったなぁ...」

     その事故現場を離れ、車は順調に走りはじめた

      母は黙ったままだった

     沈黙の後....


      「あっ...!来た」 

     母はそう言って、溜息をついた

      「イヤな予感はしたんだけど」 

     何のことかわからなかった...いや、知りたくなかったが...

      「ま..まさか?」

     私は恐る恐るたずねた

      「くっついてきた...たぶんさっきの人だ...あれ、死亡事故だったみたい」

     母や妹のように、多少霊感が強いと

     何かしらついてくることが多々あるらしい

     「早くどこかへ行ってくれるといいんだけど...」



      だが、「それ」は、なかなか離れなかったらしい

     2週間....母の所にいたと言う.....