第19話 揺れる...

遙か昔のことなので、朧気にしか思い出せませんが...


それは高校へ入学したばかりの頃...

あの頃は帰り道に、友人と市内を散策するのが日課となっていた



ある初夏の土曜日の午後...だったと思う

その日も私と数人の友人達で、いつものように市内へと出かけた

さんざん歩き回り、たまたま近くにあった神社へ寄り道することにした

参道は強い日差しを遮り、心地よい風が吹いていた

その神社で御神籤を引いたり、景色を眺めたりして楽しみ

私達は、戻り始めた

夕方になり、参道は夕日に照らされてオレンジ色になっていた

私は数人の友人と先を歩き、鳥居の近くまでたどり着いた



その時、自分の後ろが「変」な雰囲気になった事を覚えている

うまく言葉にできないが...

たとえるなら...生ぬるい空気が押し寄せてきたかのような...

なのに、背筋が気持ち悪いくらい寒いような...

思わず「えっ?」と声が出て、後ろを振り向くと...


後方数メートルほど離れたところに、あと数人の友人達がいたが

その足下に、半透明のような手が見えたのだ

それはまるで風に揺れているようにユラユラと揺れていた

その光景は、振り向きざまのほんの一瞬だけだった

私は「きゃっ」と叫び、その場にうずくまった

何事かと走り寄ってきた友人達に、事の次第を話し...

直後に私達はその神社から逃げ出したのは...言うまでもない

ただ、その神社がいったいどこにあったのか

あの時見た手は...幻なのか...何なのか...

記憶から薄らぎつつある...