以前に書いたM町。
私の妹Eが語ってくれた、いくつかの話を書き連ねます...。
まずは1つ...。
Eが学生の頃、冬期間を除いてのあとの日々は、自転車で通学していた。
部活動が最盛期になると、学校からの帰りが夜の8時頃になる日もあった。
そして...1年生のある日の夜、知ることとなるのだ。
その日も、帰りの時間が8時をまわろうとしていたと言う。
帰りはいつも5人くらいで帰っていた。
...と、田圃の真ん中を走る1本道を走っていた時、妙な気配を感じたという。
Eは、団体の一番後ろを自転車で走っていた。
自分の後ろには誰もいないはずなのに、気配を感じるのだ。
そのうちに、後ろに荷台が重くなり、誰かが乗ったみたいだったという。
怖くて声を出せず、それでも懸命に他の人達ついていくE。
ふいに、Eの自転車が、何者かに後ろへ引っ張られたという。
怖さ絶頂で思わず悲鳴を上げ、ふと、荷台を振り向いてみたら...。
自転車の荷台のかごを、ほの白い手が2本、かごをつかんでいるのが見えたという。
何とか自転車をこいでいるうちに、ふと、走るのが軽くなった。
全力で走り、明かりの多いところへ辿り着いてから、友人達へ話したところ...。
他の何人かも、同じような目にあっていたと言う。
その後...3年間、何度も同じ目にあったE。
私にこの話をしたときには、
「もう慣れたよ。来るのはいつも同じ場所でだから。」と言ってのけた...。