第20話 M町にて その2

以前に書いたM町。

私の妹Eが語ってくれた、いくつかの話を書き連ねます...。

まずは1つ...。


Eが学生の頃、冬期間を除いてのあとの日々は、自転車で通学していた。

部活動が最盛期になると、学校からの帰りが夜の8時頃になる日もあった。

そして...1年生のある日の夜、知ることとなるのだ。

その日も、帰りの時間が8時をまわろうとしていたと言う。

帰りはいつも5人くらいで帰っていた。

...と、田圃の真ん中を走る1本道を走っていた時、妙な気配を感じたという。

Eは、団体の一番後ろを自転車で走っていた。

自分の後ろには誰もいないはずなのに、気配を感じるのだ。

そのうちに、後ろに荷台が重くなり、誰かが乗ったみたいだったという。

怖くて声を出せず、それでも懸命に他の人達ついていくE。

ふいに、Eの自転車が、何者かに後ろへ引っ張られたという。

怖さ絶頂で思わず悲鳴を上げ、ふと、荷台を振り向いてみたら...。

自転車の荷台のかごを、ほの白い手が2本、かごをつかんでいるのが見えたという。

何とか自転車をこいでいるうちに、ふと、走るのが軽くなった。

全力で走り、明かりの多いところへ辿り着いてから、友人達へ話したところ...。

他の何人かも、同じような目にあっていたと言う。


その後...3年間、何度も同じ目にあったE。

私にこの話をしたときには、

「もう慣れたよ。来るのはいつも同じ場所でだから。」と言ってのけた...。