第24話 優しき手

常連のDCTさんからの投稿です。感謝m(__)m


私の不思議な体験話には『手』がよく出てきました。

これは私が目で見える『手』以外の『手』の存在を初めて感じた時の話しです。



私が小学校2年生の夏のある日

この年の夏は、私の会った事のない12歳で亡くなった叔母の

13回忌を兼ねて、母方の祖父母の家に

私達の家族や4人の叔母たちの家族が全員集まっていました。

夜10時、久々に会った従兄弟達と遊び疲れて仏間の隣の部屋で

子供たち全員で床につきました。

夏とは言え、祖父母宅は山間部にあり、夜ともなると寒いくらい冷え込みます。

どのくらい眠っていたのか分かりませんが、

私は寒さで目が覚め、私達が寝ている部屋と仏間との間にある、

明かり取りと換気のための天窓が開いているのに気が付きました。

私は天窓を閉めるため、起き上がろうとした時、

仏間の方から白く細い女の人の『手』が伸びてきて、

開いている窓を閉めてくれました。

仏間では私の両親や叔母夫婦たちが寝ることになっていたので、

その時は「きっと誰かが閉めてくれたのだろう」と思い、

私は再び眠りにつきました。


翌朝、叔母達に窓を閉めてくれたお礼を言うと

私の両親、叔母達が皆、不思議そうな顔をしました。

昨夜は、仏間で寝る予定で、布団も引いていたのですが、

いろんな話しに花が咲き、結局全員、居間で雑魚寝をし、

私達が床についた後、子供達が寝ていた部屋や

仏間には誰一人として入ってないというのです。

確かに考えてみれば不思議なことです。

祖母、私の母、叔母たちは皆、背が低く、ふみ台無しでは

天窓まで手が届きませんが、その手は横から伸びてきたのです。

下からではなく、仏間の方から、真横から・・・

私が昨夜見た事を話すと

『・・・○○ちゃん(叔母の名前)かもしれないね。

 みんなに集まってもらって嬉しくて、
 
子供達が自分のように 風邪を引かないようにと思って、
 
閉めに来てくれたのかもしれないね・・・』と、祖母が言いました。

この叔母は夏風邪をこじらせて肺炎を起こし、それが元で亡くなったそうです。

あの白くて細い女性の手はやっぱり叔母だったのでしょうか・・・