それは、いつもと同じ日々に埋もれていた時...。
その日も、午前1時頃にはパソコンの電源を切って眠りについていた。
確かに眠りについたはずだった。
しかし、ふと気がつくと
風の音が聞こえて「目覚め」た。
いや、風の音に似ていたが、風の音ではないようにも聞こえた。
「うるさいなぁ」
そう思い、寝返ろうとしたが...動けなかった。
驚いた瞬間、私のロフトベッドが激しく揺れた。
まるで、激しい地震のように...。
寝ぼけたアタマは、瞬時に覚醒した。
なのに指先も目蓋も動かせなかったのだ。
そして...気がついた。
風の音は、外ではなく私の周囲、部屋の中から聞こえるのだ。
や...やばいっマジでやばいぞこれはっ...
焦りで混乱しつつ、耳を澄ませると
階下の居間から物音が聞こえ...妹が帰ってきた様子だった。
気がついてくれないかなぁ...と、指先に力を入れると
かすかに動けた。
金縛りになったとき、何処か動かせるようになればこっちのものだった。
満足に動けなかったものの、何とか唸り声だけが出せるようになった。
しかし、居間にいる妹に聞こえるはずもない。
無駄な足掻きかと思われた頃、唐突に金縛りがとけた。
文字通り、飛び起きた。
部屋は寝る前と同じように、薄闇に静かに佇んでいた。
安堵の溜息をつき、ふと時計を見ると
午前1時20分過ぎ。
眠ってから数分ほどしか経っていなかった。
疲れ、居間へ行く気力さえもなくなっていた。
そして、ふと思う。
金縛りは1度だけなのだろうか?
今夜も起こったら...?
今の私には知る由もない。
そう...なぜなら、金縛りは昨日の夜にあったばかりなのだから...。