私の妹の話です
E(妹)は、その高校へ入学まで霊感らしいものは、まったくなかった
ただ単に、当時の自宅から最も近い高校を選んだだけだった
その高校は、第3話に書いたM町にある...
高校へ入ってすぐに、吹奏楽部へ入部したE(妹)
個人練習にと、とある教室を使っていた時のこと...
その教室から、割と小さめの丘が見える場所だった
丘の頂上には、1本の松の木が生えている
E(妹)は、その教室で同じセクションの楽器担当の人達と練習していた
練習に飽きたE(妹)は、ぼんやりと窓の外の景色を眺めていた
...と、丘の松の木の側に、一人の男が立っていて、自分たちの方を
じー..っと見ていた
E(妹)は、何か違和感を感じて、ずっとその男を見ていた
すると男は、E(妹)に向かって「こっちへこい」と手招きをし始めた
E(妹)は「行かない」と、何度も首を横に振った
数度、繰り返した後...
E(妹)は窓の側に立ったまま、金縛りにかかった
やっと、この時点で、男が生きている人間ではないことに気がついた
なぜなら....
その男は松の木の側から飛んできて、金縛りにかかったE(妹)の腕にしがみついてきたのだ
男は、ものすごい形相だった...
男にしがみつかれ、動けずにいると、E(妹)の異変に気がついた同級生が
E(妹)の側に駆け寄り、お経のようなもの(E(妹)談:よくわからなかった)をつぶやいて
E(妹)の腕にしがみついていた男をひきはがした
男は、丘の木の側に戻ると、また教室をじーっと見ていた
男を祓った同級生は、その教室で練習するのは危険だと判断し、全員を連れて
違う教室へ移動した
その日の練習終了後、E(妹)は同級生に呼び止められ、お守りらしき物を手渡された
ただ一言
「これから大変だろうから、持っていた方がいいよ」
そう、言われた
それ以降....
E(妹)は、人よりも少し霊感が強い日々を送るハメになっている...