第7話  合宿中

        私の高校時代の合宿中のお話でも...


        私の母校は少し古い建物で、おまけに随分いわくある土地に

      建てられているため、「そのて」の話に事欠かなかった

      そして高校時代に入部していたオーケストラ部の合宿中....


        まずは、1年生の時

      今の母校には合宿専用の建物が、私達の「寄付金」(笑)で建てられたが

      私達が現役の頃は、そんな物はなく

      校内の教室を借りて、机等を別の場所に運んで、寝る場所を確保していた


        そのての雑用はすべて1年生の仕事だった

                 
        我がオーケストラ部では、合宿中、卒業した先輩達を夕食に招くのが代々のしきたりとなっており

      その準備や夕食の調理、果ては、あと片づけまで、すべて1年生の仕事だった

      そして、無事に夕食会を終え、片づけ終わったのは夜の10時過ぎ

      さてお風呂...と思っても、先輩達全員が済んでないと

      1年生は使えないことになっており、仕方なく先輩達を待つこと1時間

      11時を過ぎてからようやく、お風呂を使えることになった

      それでも1年生だけで20人以上いたので順番待ち状態

      
      「誰だろうね」

        ふと..誰かが、お風呂と隣接している体育館の方から

      ステージを使っているような音が聞こえると言い出したのだ

      体育館への扉は閉まったままだったが、確かにステージで

      誰かがステップを踏んでいるような音が聞こえた


      とん..とん..とん..

 
      当時、私達の部の他に、演劇部が合宿に参加していたので

      演劇部が練習しているのだと思った

      誰かが

      「暇だから見物しようよ」

      と言いだし、体育館の扉を開けた

      
        だが、体育館はすでに消灯しており、真っ暗闇

      なのにステージの方からはステップを踏んでいるような音が聞こえるのだ


      とん..とん..とん..   


       「こんな時間に練習してるわけないじゃん!!」
 
      誰かの叫びで、私達は、やっと我に返った


      それでも真っ暗な体育館、ステージからは音が聞こえていた...


      とん..とん..とん..  


      「きゃーーっ」


        一人が逃げ出せばそれにつられて全員逃げ出す..

      結局、音の正体はわからずじまい

      余談だが、お風呂に入るのも怖くて、全員シャワーだけで済ませた..


        そして2年生の時

      寝泊まりに使う教室は旧校舎側2階だった

      1階のちょうど真下の教室は、合宿中、弓道部が食堂として使っていた

      
        合宿2日目の夜のこと

      同級生達と夏休みの宿題をやっていて、寝泊まりしていた教室へ帰ってきたのは

      夜の11時を過ぎたころだった

      さて寝ようと布団を敷いていると、真下の1階の教室から

      パイプ椅子を引きずるような音が聞こえてきた


      ガチャ...ズッ..ズッ..  


       音はいつまでたってもやみそうになかった

       「弓道部、まーだいるのかー」

      私達以上に上下関係の厳しい部だったので、1年生が掃除でもしているのかと思い

      私達は気にせずにそのまま眠りについた


      その音は毎日聞こえた

  
       後日、私の友人が弓道部のマネージャーをやっていたので

      合宿中、うるさかったと文句を言ったら...

       
      どんなに片づけても朝になると机やパイプ椅子が移動しており、

      床に引きずった跡がないなど、気味の悪いことがあったので合宿の2日目以降

      その教室を使っていなかったと言うのだ...

      
      それでは毎晩聞こえた音は...何だったのだろうか..


        余談ではあるが、3年生の時

      この時は怪奇現象はなかった

        そのかわり...

      
        私達の他にバレー部が合宿していた 

       合宿3日目くらいの頃

       夜の12時近くまで勉強していたら、学校正門に

       2台のパトカーがやってきた

       それとほぼ同時に、校内に残っていた男の先生たちが

       懐中電灯を持って警官達と一緒に、学校の周りを慌ただしく

       何か..探し始めた


       「何かあったのですか?」

       聞いて、私達も真っ青になった


       バレー部の女の子の隣に...

       どこからか進入してきた変質者が添い寝していたと言うのだ


       この時は、「お化けより怖い」と、心底思った...