私の好きなもの 第10話 陸奥A子 その3


 

 ヤングユーでの作品の文庫化が最終巻となったようなので

第3話目として書き連ねたいと思います。



『紙のお月さま』

ヤングユーからの文庫化3冊目。

フリートークとラスト2話以外は、いろんな世代の女性の生き方って感じのストーリー。

中でも表題作「紙のお月さま」の中の言葉で

すごく気に入った部分があります。

「大人」というのは

もしかしたら

子供にだけそう見える

幻なのかもしれないと−

子供達が

安心して育ってゆくために

必要な幻の人間像

なのかもしれないと・・・

まるで

パズルの1つが、ぱちりとはまったような感覚。

「大人」「子供」

確かに年齢もあるだろうけれど

それ以外にも、この2つの言葉があてはまることがあるはず。

生き方とか、考え方とか。

あんな風になりたい。大人になりたい。

そう願った先の目標。願う側から見た「大人」

そしてきっと、「大人」が目指すもっと先にいる誰か...先にある何かもあるはず。

永遠に巡る輪のように。

『紙のお月さま』では、夫婦のカタチ・親子のカタチを読ませてくれます。



『記憶のダリア』

ヤングユーからの文庫化4冊目。

表題作の女の子は好きになれませんでしたが(^^;)

後日談は、実にほのぼのしていて好きな作品です。

この文庫の中で特に好きになった作品は

「空の国のあなたへ」

陸奥作品としては、衝撃でした。少なくとも私には。

前回に書いた「朝顔の朝」よりも。

飛行機の墜落。全員死亡。

そんな展開から始まるストーリー。

3人の主人公達が思い願う。

それは日常であり、会うはずだった人であり、そして大切な人の幸せを願うこと。

ラストの言葉は、きっと

先に逝った人達の言葉でもあり

残り、生を全うする人達の思いでしょう。

空の国にあなたがいる

空の国でまた会える