学校付近の植物調べとプレゼンテーション
平成8年1月 西置賜現職教育研修会 視聴覚部 実践集掲載
小国町立白沼中学校 今 琢生
はじめに
中学3年選択理科(女子3名)において、約半年間学校の周りの植物観察をおこなった。8ミリビデオ持たせ、植物を記録撮影しながらの観察である。撮影したビデオから、植物の画像をパソコンに取り込み、名前や特徴をまとめ、画像データベースを作って整理していった。これらの素材をプレゼンテーションソフトでまとめ「電気植物図鑑」として文化祭で展示した。
さらに、個人研究として生徒の作品である「電気植物図鑑」をインターネットに移植し公開してみようと現在作成中である。以上の経過を紹介させていただく。
【使用ハード・ソフト】
8ミリビデオ(TR705)、パソコン(Macintosh)、VTR画像取り込みソフト(QT Joy)、画像データベース&プレゼンテーションソフト(GrandMusee)、画像処理ソフト(AdobePhotoshop)、WWWブラウザソフト(Netscape)植物観察とデータベース作り
校舎周辺が春らしくなったころから、生徒と野外観察を始めた。 今回は8ミリビデオカメラで撮影しながら記録させてみた。インナーホーカスのビデオカメラだとクローズアップレンズなしでもかなり接写できる。しかし、オートフォーカスであってもカメラのピントが迷うことがあり、ピントの合わせ方を身につけさせるのに手間取った。とりあえずどんどん撮影させ、理科室に戻ってから、きれいに写ったところを静止画としてパソコンに取り込ませてみた。なかなかきれいに撮れるものであった。 近頃はやりのデジタルカメラを利用できればもっと簡単なのかもしれない。
多少ピンボケでもフォトレタッチソフトでシャープフィルタをかけ修正してやると見れるようになる。空いている時間にこの方法で画像を修正してやったこともあった。文化祭で「電気植物図鑑」として発表することを目標とし、どれだけの植物を調べられるかやってみることにした。
やがて生徒は操作に慣れ植物の映像も増え、画像と一緒に表示する説明文の打ち込みも進んできた。生徒はVTRに記録したという安心感から、植物の観察がやや粗雑になる傾向があった。そのため、理科室に戻って、植物図鑑と照らし合わせながら植物名や説明を打ち込む段階になって、もう一度実物を観察して細部の確認をし直すことがあったが、それ以降は細かく観察しようとする態度が見られるようになった。パソコン上で扱う動画
静止画とテキストの表示に変化を付けるために、生徒の説明などをパソコン上に動画で入れてみることにした。観察地点の説明、取り組んだメンバーの紹介等をVTRに撮り、再生しながらパソコンに取り込みQT Movieファイルにした。Macでは簡単な作業であり、生徒でもすぐできるようになった。名刺大の動画が植物の画像の横に出てくるようにしてみたが、動きや音声が加わって「電気植物図鑑」も楽しい物になってきた。いわゆるマルチメディアとはこういうものなのだろうと考える。動画を取り込むためのビデオ撮影や編集は生徒の意欲が特に高く、後に実際に展示したものを見た生徒も動画に対する反応が大きかった。
生徒は機器の操作に慣れ、けっこう週一回の選択理科の時間を楽しみにするようになった。編集作業も生徒だけでやれるようになりMacOSの操作性の良さを再認識した。自習でまとめさせても全く問題なく進めていたのは驚きであった。文化祭での発表
植物調べよりも、提示映像の背景色の設定にこる時期があったが、気の済むようにさせた。また、ある程度調べてもわからなかった植物の映像には「この花の名前を教えてね」というようなコメントをつけてもよいことにしたが、気楽に楽しんでいた。調べを進めるうちに帰化植物がかなり多いこと等に気づき興味を持っていた。
最後に、こつこつ作ってきた「電気植物図鑑」を文化祭で展示した。展示コーナーの片隅においたパソコンで自動エンドレスで発表した。生徒たちは、がんばって取り組んだ制作の過程を誇らしげに説明していた。インターネットの利用
視覚的に楽しいものができたので、希少種はのぞいた上で、インターネットを利用して外部に公開してみようと考えた。自宅から新潟大学のサーバにPPP接続させていただけることになった。インターネットWWWではHTMLというファイル形式で書き直さないといけないが、ガイド本もたくさん出ており、思ったより簡単に作れそうである。すでに起ち上げてある「白沼小中学校ホームページ」の中で一部紹介する予定である。