デジタルカメラの活用

平成9年1月 西置賜現職教育研修会 視聴覚部 実践集掲載

小国町立白沼中学校 今 琢生


1.デジタルカメラの特徴(CASIO QV10A)
 ○TFTカラー液晶画面付で撮影した画像がすぐに見られる。マルチ画面機能で4分割、9分割表示可能。
 ○レンズ部が回転し自由なアングルで撮影できる。
 ○マクロ撮影では15センチまで接写可能、固定焦点で撮影が簡単。
 ○内蔵フラッシュメモリに96枚までの画像が保存される。
 ○小型で軽量、児童生徒がポケットに入れて持ち運べる重さ。
 ○テレビパソコンへの接続可能、スライド代わりに表示でき、画像処理に活用できる。

2.活用事例

小学校理科「流れる水のはたらき」
 雨のやんだ日の校庭において、雨水の流れで地面が削られたり、側溝に土砂が積もっている場所の観察を行った。児童にビデオカメラやデジタルカメラを持たせ自由に撮影させながらの観察であった。教室に帰り、撮影した画像をテレビモニタに表示しながら、それぞれの児童の発見を発表させた。デジタルカメラの場合は撮影と表示の手順が簡単なため、多くの発見を発表していた。ビデオカメラは操作の手順がやや多いために発表事例が少なくなっていたが、画像が鮮明で音声もメモされる点で優れていた。いずれも一長一短であり、目的によって使い分けさせると効果的であると感じた。

中学理科「大地の変化」
 学校付近の地層観察に出かけた際にデジタルカメラを持たせ、メモ感覚で岩石や地層の様子を撮影させた。教室に戻ってからすぐに、観察した地点の様子を表示しながら補足説明ができ効果的であった。軽量でポケットに入るため、移動するときの負担にならず便利であった。
 学校付近で採集した火成岩調べを行い、疑問点をホームページに表示して専門家の鑑定を依頼した際、生徒は自分の考えを伝えようと、観察した岩石をデジタルカメラで撮影し添付した。生徒は、固定焦点であるため鮮明な接写画像を得るのにやや苦労していたが、レンズ部分にルーペを近づけて撮影するなどの工夫を行っていた。
 岩石薄片の顕微鏡写真を撮影する際にもデジタルカメラを活用してみた。レンズ部分が小さいためスタンドに固定することで鮮明な拡大画像を撮影できた。理科での活用の範囲が広がる。

「雪国の暮らし」についての交流
 本校ホームページに「白沼の冬」と題して、冬の暮らしの様子を紹介したところ、暖かい地方の小学校からいくつかの質問や交流学習の依頼が届いた。質問に答える活動においてビデオカメラや光学カメラと併用してデジタルカメラも活用した。撮影画像をすぐパソコンに取り込みホームページ上に表示できるため、短期間で内容の濃い情報伝達が可能であった。

3.考察
 デジタルカメラは、現像する手間なく撮影した画像を表示できる、撮影時の操作が単純、小型軽量で持ち運びに負担がかからない、デジタル情報であるためパソコンでの加工が簡単に行えるなどの点で優れていると感じた。画像を使って説明する体験を手軽にさせることができるなど、児童生徒の表現力、プレゼンテーション能力の育成にも効果が高いと言える。ただし、今回使用した機種は解像度が低いため、きめ細かい画像を得る必要がある場合は、光学カメラやビデオカメラを使う必要があった。それぞれの機器の特性を踏まえ使用目的に合わせて使い分けできる様、教師がアドバイスできることが好ましいと考える。