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財政再建のため行政機構のスリム化

 長井市は過去の社会資本整備の投資による借金返済が膨大になったことや、職員の大量採用などによって人件費の増大に加え、昨今の経済環境の悪化に伴う税収の落ち込みなどで財政難に陥っている。
平成12年度末で市民一人当たりの借金120万円、市全体で386臆円にも達する。
 特に公共下水道事業の借金だけですでに120臆円になっており、一般会計予算に匹敵する。
一方土地開発公社の借入金も約29臆円、何とかこれらに対して手を打たなければ赤字債権団体に転落で
あり、民間企業ならすなわち倒産である。
 市は、これらに対して行財政改革によって財政再建を果たすべく「行財政改革推進委員会」を設置、
水野委員長からの答申案に基づき、行財政改革大綱を作り、実施計画書を策定した。このたびのがもう光男
の提案は、実施計画に対しより実効の上がるものとなるよう議会で提案してきたものを要約したものである。


◆県内類似市の管理職人員や職員の定数について(普通会計)(平成12年度末) 
人口(人)
管理職数
職員
管理職1人当り
職員1人当り
村山市
3,0245
23
334
1,315
91
上山市
37,396
29
430
1,290
87
尾花沢市
22,620
24
331
943
68
天童市
62,543
33
464
1,895
135
南陽市
36,602
25
391
1,464
94
東根市
44,635
29
412
1,539
108
新庄市
42,092
28
365
1,503
115
長井市
32,449
26
325
1,248
100


※これらの比較から、寒河江市を参考にすれば長井市の管理職は15人、天童市を参考にすれば職員数は
 340人で良いことになる。管理職は11人、職員は85人削減できることになる。

※長井市の目指すべき、管理職1人あたりの市民数は寒河江市の2,094人に、職員1人あたりの市民数は
 天童市の135人を目標にすべきだ。

※管理職を削減すれば組織は必然的に削減できる。主要な組織に思い切って統合すべきである。

職員の人員適正化について

 病院派遣職員などを含めたし職員数は400人、その一割にあたる40人を退職者不補充によって削減すると
いうもの。定員適正化とは?長井市にあっては、類似都市との比較や、自治省モデルとの比較ではない、
県内天童市などとの比較で削減数を決めるべきである。また、その間全く職員の採用をゼロとする計画は
好ましくなく、新規採用もしながら職員数は減らしていく方法をとるべきである。
天童市、東根市、寒河江市などとの比較で定員適正化を決めるべきだ。
職員数の定数管理については、平成4年以降に増えており問題だ。自治省のモデルにこだわらず
管理職を頭にした職位別の構成は、ピラミット形にするのが望ましい。
職員適正化計画では40人削減するとしているが、全体で、5年間に50名程度の削減を図る目標を立てて
実施するべきだ。

(今後の職員定年退職見込み数)

H12/3
H13/3
H14/3
H15/3
H16/3
H17/3
合計
7人
5人
8人
7人
9人
12人
48人

 ▼役職者の退職勧奨について
  山形県は、部長は58歳、次長は59歳の個別退職干渉制度を採っている。
 山形県から支援をもらわなければならない本市にとっては、最低でも山形県並の退職勧奨を実施するべき
 である。実施計画の中で今年度中に具体策について検討するとしているが、早さが肝心であろう。

 ▼依願後任制度について
  制度としてスタートしたので評価したい。個人の事情や組織機構の見直し、その他の事情によって
 管理職から降任を希望した場合それに答え得る制度が必要である。

 ▼課の統合によるスリム化
  肥大化した組織を統合してスリム化に徹すべきだ。長井市の規模でいえば管理職は15人から20人程度
 で業務がこなせるようにするべきである。

 ▼民間委託による雇用の創出
  民間でできることは民間でやる、これが鉄則。この際民間委託が可能な業務のすべてについて
 洗い出しをして実施計画に盛り込むべきではないか。そうすることで新たな雇用の創出にも結びつく
 はずである。

 ▼多様な雇用形態を採用すべき
  組織機構のスリム化と欠かせないもうひとつの方策は職員の雇用形態の多様化である。
 正規の職員では人件費がかさむし、一日の仕事の流れを平準化して考えると不足する業務に応じて
 定時補助職員(臨時職員)やパートタイム、専門職では嘱託職員といったふうに多様化したほうがはるかに 
 無駄がなく効率がよいはずだ。さらに、雇用の創出にもつながる。一人の正規の職員と比較すれば
 人件費は多くても30%、臨時であれば15%程度で雇用しているのが現状である。
 市民化など、窓口業務はさらにフレックスタイム制度や、時差出勤などによる市民サービスに努めるべき
 だとかねて提案してきているが、残念ながら実施されないうち東根市では先行して実施された。

 ▼保育士の段階的身分転換による人件費の抑制
  昭和49年ごろ社会福祉協議会職員であった保母さんが市職員に身分が代わった。
 事情はさることながら、そのことによって現在人件費の増大の一因となっている。
 例えば社会福祉協議会の事業であるホームヘルプ事業の職員との人件費比較では60歳時では2倍以上と
 なる。民間給与に準拠した制度をつくりその組織に段階的に身分を転換する。
 現在臨時やパート職の保育士は24名、職員の保育士は50名である。これを次の手順によって
 身分転換する ことを提案している。

 1.臨時職員の給料は多くて13万円ぐらい、仕事は一緒で責任も一緒である。
  待遇は半分以下で、この不安定な身分を解消しなければならない。
  新しい組織で正規に雇用して多少待遇も改善する。

 2.市の職員は定年退職した時点で、新規採用は新しい組織で採用する。
  発足当初は、社会福祉協議会の新しい組織で雇用された保育士と、従来からの職員の保育士の
  2本立てとなるが、いずれ数年でこれらは解消する。
 上記の方法以外としては、

 3.児童数の減少も考え、可能な限り民間保育園・幼稚園施設に移管するなど民間委託の方法で行う。
  も考えられる。

18歳
25歳
30歳
40歳
50歳
60歳
ホームヘルパー給与 134,800
175,000
182,100
190,800
196,600
202,800
職員給与
141,900
188,000
227,600
325,500
408,700
437,100

正職員保育士の年齢構成表
30歳以下
40歳以下
41-44歳
45-50歳
51-54歳
55-60歳
3人
3人
3人
15人
20人
7人




先進事例について
 
 次に紹介する事例は、山形新聞やほかのメディアから紹介のあったものなどを記載しています。

 1.一般職員にフレックスタイム制 

 福井県小浜市は2001年1月10日、今年4月1日より一般職員を対象に出退勤時間を原則自由とする
 フレックスタイム制を導入すると発表した。残業が避けられない職員の健康を守る狙いからで、
 全国自治体では初めてである。

 2.年功序列止め能力給へ

  人事院は国家公務員給与改革案を基本給3分割するなどの給与制度改革が示された。
 個人の能力や実績を重視した給与体系に改めるため、年齢など年功要素が大きい現行の俸給表制度を
 廃止、一般職員は基本給の月額を新たに、職務、勤続、実績の3要素に再編、本省課長級は年功要素を
 廃止して職務、実績だけを重視、などが柱になっている。
  これは、組織の活性化実現に危機感が現れている証拠であり、行政需要の複雑化や多様化が進む中で
 公務員組織の活性化、効率化を達成するためには、職員の勤務に応じて適切な評価に基づいた給与上の
 処遇をしていかなければならないとの危機感が伺える。

 3.活性化へ課制を廃止

  全国で始めて教育長を一般公募するなどユニークな行政で知られる福島県三春町は4月から16ある課を
 廃止した。組織のスリム化と活性化が狙い。教育委員会などを除いた業務は総務、町民生活、
 事業の3部門と企業局に割り振る。課長や課長補佐、係長も廃止、部門ごとに参事と補佐役の総括主管を
 置くだけにした。地方分権や行財政改革に意欲的に取り組む伊藤町長は「上司の命令でやるのではなく
 各職員が個人責任を基本に仕事するフラットな構造になれば組織は活性化する。
 特に若い職員の意欲が高まれば」と機構改革の狙いを語る。

 4.立候補し12人部課長に

 群馬県大泉町は町人口の13%は外国人、1998年4月職員が立候補して管理職になれる公募型昇任制度
 を導入した。さまざまな国籍の住民に対応するためには今までの体質を改め、自由な考え方を取り入れる
 必要があったと、高野町長。年齢、役職に関係なく全職員が対象で、希望者は動機などを書いたリポートを
 町長に提出、実績などを勘案して選ぶ。これまで42人が立候補して12人の部長や課長が誕生した。

 5.枚方市などで自分の意思で課長を降りられる制度

 98年度から管理職が希望すれば降格できる制度を設けた。これまでに9人の課長が課長補佐に降格した。
 長井市も今年度から実施、2人の管理職が希望した。

 6.役所仕事に民間企業人公募採用

 福岡県産業企画課に採用された渡辺さんは日興證券出身。24年間の海外勤務や企画・開発などの
 経験を買われ情報技術関連などベンチャー企業の育成などを手がける。

 ○民間企業経験者の公募採用
   
  北海道 96年度より行政職
  宮城県 98年度より金融専門職
  埼玉県 99年度より行政職
  新潟県 98年度より行政職
  静岡県 98年度より行政職
  福岡県 99年度より行政職
  長崎県 00年度より行政職
  北海道洞爺村 99年度より行政職、など。

 ○管理職の降任  昇任希望制をしている自治体

 茨城県下妻町 課長職登用に申し出制 95年度 
 埼玉県羽生市 課長職登用に立候補制 99年度
 埼玉県幸手市 管理職対象に昇任・降任希望制 98年度
 神奈川県愛川町 課長職登用に立候補制 98年度 
 石川県羽咋市 課長職以上の昇任・降任希望制 99年度
 石川県小牧市 降任希望制 00年度
 福井市鯖江市 昇任・降任希望制 00年度
 岐阜県多治見市 係長以上の昇任・降任希望制 00年度
 愛知県知多市  係長以上の昇任・降任希望制 00年度
 大阪府枚方市  管理職対処に降任希望制 99年度
 大分県別府市  課長職公募性 99年度 降任希望制 01年度
 北海道美幌町  係長以上の降任希望制 01年度
 秋田県鷹巣町  係長以上の昇格希望制・全職員のポスト希望制 00年度
 群馬県大泉町  管理職以上の昇任希望制 98年度
 岡山県勝山町  課長職登用に立候補制  01年度

 7.意欲、能力を人事に反映

 石川県羽咋市(はくいし)は4月1日、職員の能力や異様区を反映させる勤務評定に基づいた
 新人事制度を導入した。職員の能力をアップさせ、組織強化を図るのが狙いで、降任降格もあり得る。
 評定では、職種別に勤務成績など8〜15項目を5段階で評価。2年続けて基準に満たない評価を受けると
 役職を降ろされ、さらに翌年も低い評価だと、降格され、管理職手当てや本給が減るというもの。
 これまで、勤務年数などにしたがって運用していた係長への昇格には、試験を導入。
 評定で低い評価だと、試験に挑戦できなくなり「意欲や能力ある職員に昇格の道を開く」としている。