TS-830 トランシーバをPSNにて受信してみる

PSNによる変調(復調)はと言っても、色々な方式があります。
これらのPSNの方式を簡単に紹介しましょう。

PSNで一番問題になる所はAF PSNの回路でしょう。つまり音声帯域である300〜3000Hz間を90度の位相差で一定に出力させる必要があるからです。
AF PSN回路としましては、以下が一般的です
(1)ナガード型AF PSN
  昔は(Xtalフィルタが高価で手に入らなかった時代)、PSNと言うとこの方式がほとんどでした。代表的な製品としてB&W社のModel 350 Type 2Q4や、自作ではSSBハンドブックに載っているJA7LK高橋氏の記事があります。
この回路は簡単ですが300〜3000Hz間の位相差を90度一定とするのは不可能であり、SSBのサイドバンドサプレッションが良くありま
せんので今ではほとんど使用されなくなりました。
(2)AF PPSN(ポリフェーズPSN)
  ナガード型PSNの限界を感じていた頃、HA5WHの設計(CQ誌1985年12月技術展望)を初めとし、HAM Journal(#45)P108の記事以降、各諸兄の実験によりこの回路が一般的になったように思えます。
CとRの組み合わせの回路ですが、CまたはRの高精度を要求され(自作では、CやRは袋単位(200個入り)で購入し、デジタルテスタで同じ数値を表示するものを選別して使用する)選別時間と金額がかかります。また段数を多くするにつれ音声帯域の位相特性は良くなっていきますが減衰量が多くなりある程度の妥協が必要です。うまく調整すれば、SSBのサイドバンドサプレッションは-60dB以上とれると思います。
(3)オールパスフィルタによる方法
  現在最も多く使用されている回路だと思います?。
PPSNと同時期にHAM Jounal(#62)P85の記事以降、HAM Jounal(#91)にて一般的になったように思えます。
PPSN回路のデメリットであるCとRの選別をする必要がないので部品を多く買う必要がありません。その代わりRをトリマ(VR)にして調整するので、オシロ等の測定機が必須です。
オペアンプやトランジスタを用いて回路が構成されるので、段数を増やしても減衰することなくFBです。短所は回路が大きくなることです。SSBのサイドバンドサプレッションは-70dB以上とれると思います。


RF PSN回路は単一の周波数の位相を90度にするのみなので比較的簡単です。
(1)CとLの位相特性を利用した回路
  発振回路の出力に、CとLを接続して取り出す。短所はLとCの選択がカット&トライである。
(2)トランジスタのコレクタとエミッタの位相差を利用した回路
  発振回路の出力に、このトランジスタを接続しコレクタとエミッタから取り出す。
精度の良い位相差が取り出せます。
(3)IC(74HC74、74AC74等)のフリップフロップの応用にてロジック的(方形波)に位相差を設ける回路
  発振回路(アナログで良い)の出力をロジックレベルに変換しフリップフロップの正転Q、または反転Qから取り出す。
長所は、0、90度のみの位相差だけでなく簡単に多くの位相差を作ることが出来る、回路が簡単。
短所は、発振には期待値の4倍の周波数が必要なこと(回路構成によっても違いは有りますが・・)。
ICの動作周波数が低いために周波数に限界がある。などです。

AF PSN回路とRF PSN回路を混合させてSSBを作る回路(BM:バランスドモジュレータ)。
BMとして以下が一般的のようです。

(1)DBMによるBM
    R&KのDBM(M5等)が一般的ですが、FB801-43のフェライトビーズとダイオードを用いて自作する方も多い様です。
(2)平衡変調IC利用によるBM
    ポピュラーなものとしてMC1496、AN612、uPC1037H等があります。
(3)マルチプレクスICによる変調(メリゴ方式)
    JA2KAI野沢氏による新方式(メリゴ方式)として広く知れ渡った方式です。
Ham Jounal(#86)P20に詳しい解説がされています。

以上のことを考慮に入れて、AF PSNにはAF PPSN方式、RF PSNにはロジック方式、BMにはメリゴ方式を使って実験してみることにしました。
いずれAF PSNにはオールパスフィルタによる回路も実験してみたいと思っています。
尚、今回の実験では、手っ取り早くPSNの体験が出来ると思い、TS-830SからIF信号を取りだし、自作のPSNにて復調を行なって聞いてみる事としました。
聴感上ではTS-830S自身の音(フィルタ)より低い音が出てきていて自然に聞こえます。7MHzの混信の多いBANDで聞いてもサイドバンドサプレッションが結構とれている様で、フィルタタイプとそんなに差はないようですが、長時間聞いていると疲れます。やはり混信が多いBANDや弱い信号を聞く時はフィルタがFBです。しかし信号の強い局やBANDが比較的すいている場合はPSNで聞いたほうがFBです。(Filter部の周波数通過帯域を狭くすることにより疲れはなくなると思うのですが・・・・Audio Filterで4.8KHz位の通過帯域になった為)




PSNブロック図




実験写真




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