04_11 タイトル


駆動ユニット


 右の写真は、駆動ユニットを艦体に入れてみたところ

 とりあえず駆動ユニットを艦体に入れてみた。ところが、艦体の全長が短いため、駆動ユニットは艦体の最後部に設置しなければ、RCメカや電池を格納するスペースを確保できないことが判った。
 最後部に設置すると、メインテナンスが全くできなくなる、そのまえに、水密状態にすることが不可能なのだ。ドライバーもレンチも入らない、防水構造の取り付け隔壁も取りつけられない。
 対応策として、スラスターみたいに、ユニット化して水密構造にすれば、なんとかなるが、メインテナンスが非常に困難になるという問題が発生する。
 原因は経験不足以外のなにものでも無い、設計ミスだ。

 いろいろ考えたが、減速機構を設計変更することにした。まず、後部の水密隔壁に駆動モータと一段目の減速ギアを取りつけて、駆動機構の一部を構成させる。
 このギアのシャフトとシャフトに取り付く二段目のギアはステンレスを使い、水中で回転させる。このシャフトの軸受けを防水構造にする。
 このピニオンギアと最終段の樹脂のギアから、ステンレスの軸を使い、スクリューを後端に取り付ける。出力軸には、ユニバーサルジョイントを組み込んで、取りつけ角度のずれを修正する。
 と、まあ、こんな構造にしてみることにした。

 ま、これも勉強、とりあえず経験値がプラス1ってとこか。



駆動ユニット & フレキシブルワイヤー


 左の写真は、駆動ユニットとフレキシブルワイヤー

 丸めてあるのが、お客さんの会社から、1本だけスクラップにでたフレキシブルワイヤー。長さを比較するため、駆動ユニットと並べて写真に撮ってみた。
 潜水艇は、モータの減速比を大きくしなければならないので減速機構が複雑になる。加えて、船底と出力軸の間の距離が長いので、モーターと出力軸を合わせるのが、なかなか難しいように感じる。

 そこで、フレキシブルワイヤーに注目した。減速機構を船底に設置し、フレキシブルワイヤーで結合し、ワイヤーの後端にスクリューを取り付ける。こうすると、駆動部分とスクリュー位置の自由度が高くなる。
 加えて、ユニバーサルジョイントを使うことなく、旋回に合わせてスクリューの方向を変えることも可能になる。

 ちょっと魅力的だ、もう少し検討しよう。



メカハッチ & フレキシブルワイヤー


 右の写真は、メカハッチとフレキシブルワイヤー

 メカハッチが変形して、少し開いてしまった、で、ガムテープで開口部を狭くして修正中。以前に一度修正したが、また、少し開いてきたので、再度修正をかけた。一週間も放置しておくとバッチリ修正される。
 ただ、暫らくすると、また少しずつ開いてくるのが悩みの種だが。

 横にあるのが、伸ばしたフレキシブルワイヤー。



駆動ユニット20


 左の写真は、新しく造った駆動ユニット

 前回考えた、二段目のギアにステンレスを使って水中で回転させるという案は採用を止めた。試験的にステンレスを旋盤で加工してみたが、アマチャーの手におえる材料ではなかった。もちろん、私の技術不足は言うまでもないが。

 そこで、全体を小型化することにした。最も大きな違いは、最終段の出力軸を、片持ちから両持ちに変更したこと。これで、出力軸の軸受けの長さを半分以下に減らすことができた。
 もう一つは、ジュラコンのギアを2枚重ねにして、歯幅を約5mmにしたこと。知人から、『RCカーでも使っているこのモータに、このサイズのスクリューの組み合わせでは、歯幅3mmの樹脂のギアでは保たないんじゃないか?』と指摘されたため。
 マイクロマウスに使っていたのは、モジュール0.3、歯幅2mmの真鍮ギア。これに比較して、1.5倍の厚さなので大丈夫と思っていたが、指摘されて不安になったので変更。

 出力軸には、ユニバーサルジョイントを組み込んで、取りつけ角のずれを修正するのは同じ。



駆動ユニット21
駆動ユニット22


 右の写真は、駆動ユニットの前後のプレート

 シャフトは5φのSUS304を使っているため、旋盤で切断するのは私の技術では無理と判断した。そこで、ドレメールの切断砥石を3φのチャックに付けて、シャフトをバイスに固定し、時間を懸けてフライス盤で切断。
 縦送りはデジタルスケールが取り付けてあるので、長さは、ほぼ満足のできる精度に切断できた。

 出力軸の軸受けのベアリングの取り付け穴がほんの少し大きい、力を入れてこじると若干動く。ベアリングにストレスが懸からないように、取り付け穴を少し大き目に空けて、接着剤で固定する予定。
 全てのボルトの取り付け穴は、3.2mmで空けてある。私の技術では、3.1mmの取り付け穴では組み立てられる自信が無かった。後で、丸ヤスリで穴位置を修正するのは嫌だ。フライス盤が泣くじゃねぇか。
 ってことで、取り付け穴は、3.2mmにしてある。

 アマチャーがボルトとナットで組み上げるのだから、どこかで誤差を吸収しなければならないのは判っている。特にベアリングの取り付けは、高さと角度の精度が大事なのは身に沁みているが、取り付け穴を大きくするのは、正直言って、なんか好みじゃない。
 ゴリゴリ音をだして廻るよりは良いけどね。

 出力軸に取り付ける最終段の樹脂のギアは、接着剤で2枚重ねにし、歯幅を約5mmにした。瞬間接着剤では接着不可能、合成ゴム系の接着剤では、はみでた余分な接着材の処理が面倒で没。
 結局、セメダインの弾性エポキシ接着剤、EP001で接着。2枚のギアをネジで固定するか否かは考慮中。接着剤の性能試験も兼ねて、このままで使ってみたい。

 カウンターシャフトの軸受けの所から水が入らないように塞ぐ作業が残っているが、これは簡単にできる。残りは防水隔壁への取り付け穴を空けて完成となる。
 取り付けには、ちょっとしたアイデアが有る。



ギア


 左の写真は、3種類のギア

 左が、マイクロマウス用のモジュール0.3のギア、中央は今回使用したモジュール0.5のギア、右側が試験的に購入したモジュール0.8のギア。
 モジュール0.8のギアは確かに頑丈だが、模型に使うには大き過ぎる。
 歯のサイズに違和感を感じてしまうのだ、バランスがとれないという感じ。

 アマチャーならではの試みではあるが、樹脂ギアの2枚重ねが成功すれば、モジュール0.5で、歯幅が5mmというギアを造ることが可能になる。成功して欲しいわねぇ。
 潜水艦に使うギアのモジュールは、0.5に決定する。

 協育の本社営業部から、特注ギアの価格の見積もりがきた。

S50D70B-0304 歯幅5mm
 *数量1〜5個にて見積致しました
  5個以上の場合は再見積いたします

平歯車m0.5×70T(B) 樹脂
 *歯幅以外の寸法は規格品S50D70B-0304に準ずる 
 1個 @7,500 (単価に消費税は含まれておりません)
納期:受注後25〜30日間
送料:3万円以下800円掛かります 
 貧乏モデラーには使えない価格だ、諦めようっと。

 これから、後部防水隔壁の再加工を始める。5mm厚のABS樹脂で造る。



スプリュー


 右の写真は、秘密兵器、スプリュー

 5mm厚のABS樹脂で造った後部防水隔壁に駆動ユニットを取り付けるための秘密兵器スプリュー、ヘリサートとも呼ぶらしい。メーカーは日本スプリュー

 コイル状のステンレスを特殊なピッチのタップを使って切った雌ネジに挿入して、ネジ山を新たに造るという、特殊ネジ。ネジ山が壊れたときの修理や、樹脂、アルミなど柔らかい部材にネジ止めしたいときに使う。

 アマチャーモデラーには非常に有り難いパーツだが問題が一つある、挿入工具が3000円と、そこそこ高価なのだ。おまけに、ネジのピッチに合わせて挿入工具を購入しなければならない、ビットの交換で対応できないのかと思うのだが。
 特殊なピッチのタップはそれほど高価でもないのが助かる。

 挿入工具がもう少し廉価なら、お奨めの一品に加えたい。



防水隔壁・正面
防水隔壁・裏面


 左の写真は、スプリューを挿入した防水隔壁

 左側の画像は、正面から見たスプリューを挿入した防水隔壁。こちらの面が防水区画側になる、駆動ユニットはこの面に取り付ける。

 スプリューは隔壁の面よりも少し内側まで挿入しないと、ボルトがスムースに入らない。0.5mmくらい奥まで挿入してある。
 スプリューの挿入は確実に垂直に。ただ、挿入し過ぎると逆回転させて抜くことはできないので注意。

 右側の画像は防水隔壁を裏側から見たもの。防水隔壁の厚さが5mmなので、M4、1.5DSNのスプリューを使っている。従ってスプリューは少し長い。挿入用のタングは、ボルトがあたらないように折って外してある。
 切れ目が入っているので、先細のラジオペンチで簡単に折れる。

 ボルトを締め込んだり緩めたりして試験してみたが、スプリューが緩んでくるような気配は無かった。あとは、スプリューの部分から水が入らなければ最高。

 なんか取り外しが面倒な構造になり、防水処理も複雑になりそうな予感がする。



挿入工具2
挿入工具


 右の写真は、自作したスプリューの挿入工具

 貧乏モデラーなので、3日懸かりで造ったスプリューの挿入工具。材質はスクリューシャフトの残材のSUS304、直径5mmの丸棒。
 シャフトの先端をスプリューの内径よりも細く削って、タングが入る溝を切ってある。
 溝はドレメールの厚さ0.6mmの切断砥石をフライス盤に取り付けて、少しづつ切り込んで造った。
 外径6mm、内径5mmの真鍮パイプをシャフトの軸受けとして使うので、これも旋盤で切断しておいた。
 ステンレスのシャフトを細く削る作業はなかなか難しい。

 使い方は、フライス盤に真鍮のパイプを咥えさせ、このパイプにシャフトを入れる。拠って、挿入用のシャフトは、真鍮のパイプを軸受けとして、自由に回転し、しかも上下にも動くことができるようになる。
 スプリューを入れるまえに、ワークの位置を調整して、シャフトの先端を穴の位置に合わせる。後は、手でゆっくりとシャフトを回転させ、0.5mmくらい奥までスプリューを挿入してゆく。入れ過ぎないように注意。
 入れ過ぎたスプリューを逆回転させて抜くことはできないので、慎重に作業すること。逆回転させるとスプリングが広がって抵抗が増大する、無理に逆回転させるとネジ山が壊れるので注意。
 入れ過ぎたスプリューを抜く工具も有るが、恐ろしいので価格は聞かなかった。

 スプリューを挿入する穴は面取りをしないこと。スプリューが斜めに入ってしまう可能性が高い、せいぜい糸面取りでバリを取るくらいにしておくこと。
 初めての作業にしては、そこそこ上手くできた。


 私のデジカメは接写ができないので、挿入シャフトの先端部の画像が無いのは許してください。
 自作を試みる方は、ネットで調べることをお奨めします。



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