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誘導無線


このページでは、誘導無線の概要の説明と、使用例を説明します。
last up date:2005/03/01

===== 目次 =====

1.誘導無線とは?
2.地下鉄での使用例
3.誘導無線の給電方法
4.誘導無線受信機について


1.誘導無線とは?

 誘導無線とは、電線に流した高周波電流により、電線周辺に
発生する高周波磁界の電磁誘導(inductive)による伝送方式である。
 正確には「電磁誘導無線」というべきものかも?

(単に「誘導無線」というと航空機や船舶,車両などの進む方向を
「誘導」(guidance)する無線(航法誘導無線)という意味も含まれて
しまうが、ここで説明するのは電磁誘導方式の無線を指す。)

 地下鉄や炭坑,展示場などの案内放送で使用される無線伝送方式
である。

 周波数帯は主に長波帯が使用される。

 ケーブルの周囲に発生した磁界を受信することから、ループアンテナなどの
「磁界アンテナ」での受信が効率がよさそうである。

 図1に、誘導無線方式の伝送方法を示す。

 なお一部で、LCXを使用した伝送方式を「誘導無線」と混同
されている節があるようだが、LCXによる伝送は「電磁波」を
飛ばして伝送するものであり誘導無線とは言わない。

 LCXは、同軸ケーブルの外皮に切ってある長孔がアンテナ・・・
スロットアンテナ・・・になり、そこから電磁波が放射される事を
利用するものである。
当然長孔の長さと波長が関係するため、V・UHF帯での利用が多い。)

 LCXを使用した伝送方式を図2に示す。


2.地下鉄での使用例

 地下鉄はトンネル内を主に走行するが、トンネル内での電磁波での
伝送は損失が多く扱いにくい。(特にトンネル自体が導波管として
機能する為、ある周波数(カットオフ周波数)以下では極端に
伝送ロスが増加する。またトンネル表面が鉄筋コンクリート構造の為、
鉄筋の間から電磁波が漏れ、また反射効率が悪い事から伝送ロスが
大きくなる。)

 そこで、線路が直線に延びているという理由から、トンネルに
沿って電線を張り巡らせる事で伝送が可能となる、誘導方式の無線が
利用される。

 地下鉄の誘導無線では、変調方式はFM方式が使用されている。
 FM変調はAM変調よりノイズ耐性が強い為、ノイズの多い鉄道での
伝送品位を確保する為と考えられる。


 なお、鉄道分野においては、ATS−Pの地上子と車上子,新幹線の
ATC信号の送受も誘導無線方式に含まれると考えて良い。


3.誘導無線の給電方法

 誘導方式の無線における誘導線へ高周波信号を給電方法は、
誘導線に直接送信機を接続する直接方式と、コイルにより誘導給電する
間接式がある。

 図3に直接式の例、図4に間接式の例を示す。

 誘導線は専用の配線を用いる場合のほか、他の通信線路(LCXを
含む同軸ケーブルの外皮の流用も可能)や電力線路(架線や第三軌条)を
利用するケースが考えられる。
 LCX等のケーブルを利用する場合は直接式での給電も可能であるが、
電力線路を利用する場合は間接式での給電となる。
 なお間接式の場合は電源側に高周波電流が流れないようなフィルタが
必要となるであろう。

 また、誘導線の帰線は接地で代用する場合がある。


4.誘導無線受信機について

 受信機は専用の受信機があればそれに越したことは
ありませんが、数100kHz台の処理なので多少の経験が
ある方なら自作も十分可能と思います。

 受信機を自作する場合は
ナショナルセミコンダクター社
http://www.national.com/
http://www.national.com/JPN/index.html

のLM565というICのアプリケーションノート
AN-146「FM Remote Speaker System」が参考になりそうです。

 このアプリケーションは、LM565というPLLICを使用したFM復調回路を
ベースした、電力線搬送方式のリモートスピーカーの送信回路と
受信回路について記述してあります。
 この回路のうち、受信回路の電力線への結合回路を切り離し、
変わりに検出用のコイル(必要によりオペアンブによる増幅回路を挿入)
を入力に接続し、目的の周波数をあわせてあげれば受信可能なはずです。

 以下の図が「AN-146 FM Remote Speaker System」をベースに
誘導無線受信用に改造する例です。(実験していませんがあしからず。)

図5.誘導無線受信回路
 なお、入力の同調用のコイルの入手が難しいと思います。
 このコイルの代わりに検出用のコイルを目的の周波数に同調させて
接続するというのが現実的かも知れません。
(ノイズの問題が無ければ非同調でもいいかも?)


 受信周波数はPLLICのVCOの発振周波数で調整しますが、入力に
同調回路を持たせてある場合は、その周波数も合わせないと
感度が低下します。

 この回路にはキャリア検出型のスケルチ回路がついています。
 調整時には回路をスケルチ回路の動作を止めたほうが良いかも
知れません。


 もし携帯型にしたい場合は、電源は9V程度で動作すると思います。
三端子レギュレータを含む電源回路を外し、変わりに006p電池を
接続すれば良いと思います。
ただAFAMPのICはLM386などもっとパワーの小さいものを使用した
ほうが電池の持ちが良いと思います。


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2005/03/01更新(「受信機について」追加)
2005/02/18新規作成