眠れる鉄道パーツ復活作戦! (その2)

車内放送用ハンドセットの回路解析編


1.はじめに

 2002年度の郡山工祭で車内放送用のアンプを入手し、
解析を行い動作を確認したが、ハンドセット部分に関し
ある程度の予想はついたものの、やはりわからない点が
あり、現物調査の必要を感じていた。
 2003年度の郡山工祭にて、ハンドセットを入手する事が
出来た事から、回路の調査を行った。

(写真準備未了の為、仮公開です。)


2.調査結果

2−1.外観より

 受話器,送話器のほか、放送用のボタンや、音量調整用の
ボリュームがついている。
 コネクタは5pのメスで、アンプに直接接続できるようである。

 また意外に重い。実際工場で出ていたハンドセットの中には
筐体が破損しているものが結構あったのは、この重さに起因する
ところがありそうである。

 銘板には「HC制御増幅器」と明記されている。
 ハンドセットなのに、なぜ「増幅器」なのかは外観を見ただけでは
わからなかったが、内部を見て納得。
 なおメーカーはアンプ本体と同様、八幡電気産業(株)で、昭和56年
7月製のものであった。


2−2.蓋を開けて

 基板が4枚あり、送話器側,受話器側にそれぞれ2枚づつ付いて
いる。トランジスタによるアンプが組まれているようであり、
予想以上の回路が入っている。

 放送用ボタンにより4回路のスイッチが動作するように
なっている。
 トランスが2台付いている。
 送話器にはスポンジが詰められており、振動により電線等が
筐体に当って発生するであろう雑音を防止する為のようである。

2−3.回路解析

 配線を追い、読み取った回路が以下のものである。
HC制御増幅器 回路図
 注)図面、配線1本抜けてます。(4)〜(13)間は接続されて
います。


 まずは既知であるコネクタ側より配線を追っていく。
 コネクタからカールコードを介し、送話器側より筐体に入り
内部の端子台に入っている事を確認した。

 その後送話器側より回路を追っていく。
 送話器側1枚目の基板にはトランジスタ1石による基本的なアンプが
構成されて、この基板の後に音量調整用のVRが入る。

 VRのあと、送話器側2枚目の基板に入る。こちらもトランジスタ
1石による基本的なアンプが構成されており、その出力は変圧器
による結合となっている。

 変圧器の出力は、放送用ボタンによる切換スイッチを経て送話器側の
基板に入り、さらにもう1段増幅され、スイッチを経て、本器の出力
となり、アンプ本体に入力される。

 送話器側基板のアンプは、受話器用のアンプを兼ねており、放送ボタンが
放された状態では受話器用のアンプとして動作する。
 コネクタから入力された信号がスイッチを介し受話器側基板のアンプに
入力され、その出力はスイッチを経た後に2枚目の基板に入り、変圧器
に接続された後、受話器(スピーカー)に出力される。

2−4.回路を解析して感じた点

 使用されているトランジスタがPNP型であった。
 互換性の関係で、過去の回路をそのまま引きづって
いるのではないだろうか。
 回路を一工夫すれば一般的なNPN型への置換えも可能だとは
思う。


3.実際に動かす

3−1.ハンドセット単独での動作確認

 回路を読んだので、それに基づき実際に動かしてみる事にした。
 まずは単独での動作確認である。

 電源をコネクタの1pと4p間に接続し、8V程度加えてみた。
(YP-105P基板上のC10が丁度この端子間に並列に接続される
事から、このコンデンサの耐圧10Vを超えないという事で
上記電圧を加えてみた。なお先の回路図中、コネクタの1pの
ところに「+100V」と書いているが、実際にはアンプ側から
4.5kΩの抵抗を介してこの端子に接続される為、100Vが
そのまま加わっているわけではないので注意。)
 
 この状態で電源電流が10mA程であった。

 音量調整を上げていくと、送話器に話した音が受話器側から
聞こえる事を確認した。
 さらに「放」スイッチを押すと、受話器側から音がしなくなる
事を確認した。

 以上、回路図から読み取った動作が確認出来たので、
単体での確認を終了した。

3−2.アンプに接続してみる

 現時点では接続テスト、まだです。ごめんなさい。
(問題なく動くはずですが。)


4.スピーカーについて

 2003年度の郡山工祭ではスピーカーも販売されていた。
(おそらく仙石線の103系で使用されていたものと思われる。)

 荷物とこずかいの関係で入手を断念したが、ねじが外れて
いたので中を見る事が出来た。
 驚いたのは、トランペットスピーカだったという事。
 しかもホーンを半分に切って薄型になって、2組が
背中合わせについており、中心にパイプでつながれた
ドライバーが1台のみという、いままで見たこがない
構造であった。

 やはり電車の車内という事で騒音下ではっきり聞こえる
必要がある為なのだろう。

 また、アンプ編では「ハイインピーダンス型」ではないかと
予測していたのだが、インピーダンス変換用の変圧器はなく、
ドライバーには「8Ω10W」という銘板が付いていた。

 というわけで、アンプには普通のスピーカーを接続すれば
良さそうである。


5.その他

 2003年度の郡山工祭では大量にハンドセットが出ていた。
 価格は大変安かったのだが、どうしても程度の悪いものが多く、
これといった1台をなかなか選べなかった。
 筐体が割れていたり、ボタンが欠落、煙草を押し付けたのだろうか
焼け焦げているもの、等が多数で、手荒に扱われている事だけが
良く分かった。
 搭載されていた車両の車番のテプラが貼ってあったものも
あったが、特に思い入れのある車両の番号のも無し。

 しかもカールコードが絡み合い、なかなか1台毎に分離しにく
かったが、せっかくなので銘板のあるものをという事で探していたら、
筐体に黒い塗料がついたのが汚く見えるが、筐体の割れや
部品の欠損もなく、カールコードもコネクタもきれいで、
もちろん銘板付きという非常に程度の良い1台見つける事が出来た。

 3本で1000円というコーナーにあったが、ハンドセット
ばかり3本もあっても仕方ないので、何か他のものはと
見ていたら、同じコーナーに「ビバあいづ」編成から離脱し
解体された485−1008号のナンバーのあるドアスイッチが
2台あるのを発見。
 この3台で購入を決定した。

 近く2週間の熊本出張を控えていたが、その晩のうちに一通り
回路を読み取り完了。ただパソコンで製図したのは出張から
帰ってからというわけで、2003/09/22ようやく仮公開となる。


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2003/09/22新規作成(仮公開)