山形線沿線で見かけたこんな物


山形新幹線「つばさ」が地上を走る、奥羽本線福島−山形間(愛称 山形線)の

沿線で見かけた関係施設,機器を紹介します。

目次

1.門型踏切
2.踏切支障検知装置
3.速度制限標
4.雪からポイントを守る
5.列車無線のアンテナ
6.踏切の道路標識
7.き電設備


1.門型踏切

 「つばさ」は、在来区間を最高130km/hの速度で走行しますので、踏切での危険性が
従来より高まります。

 そごで自動車側からの視認性を高めた「門型」(Gate Type)の新しいタイプの踏切が登場しました。


#78 南館踏切(山形市内,右側の白っぽい建物は山形電車区の車両基地)


#40 糠ノ目踏切(高畠町内)           夜の糠ノ目踏切

 このタイプの踏切は、踏切警報機,非常ボタン,照明設備,案内表示等が門部に取り付けられています。



門型踏切の非常ボタン

 このタイプは#7笹木野踏切(福島市内 笹木野駅構内福島方)にもあります。




 また上記タイプを簡略化したタイプがあります。

#57 第三羽州街道踏切(南陽市内)



2.踏切支障検知装置

 踏切内に取り残された車両がないかを検知し列車に通知する為、大半の踏切にループコイル式の
支障検知装置が取り付けられました。異常が検出されると特殊発光信号機(略称:特発)が
点滅するとともに指令や関係各所に異常表示が出るようなシステムになっている模様です。
 通常自動車が踏切を通過する程度では検知しないのですが、狭い踏切で大型車両が切り返しを
行う等一定時間以上検知され続けると警報が上がるようになっているらしいです。


特殊発光信号機       支障検知装置の設置案内板    検知装置用機器収納箱

 なお赤湯駅構内#51長井街道踏切は光電管方式となっていますが、冬季は積雪の為に誤報が
多いらしいです。


 支障があった場合に列車側より踏切名が分かるよう、踏切番号および名称を表示した標識が新設
されました。これは他線区で使用されていた物と同型のようです。(右側)
 道路側から見ると踏切幅のゲート部に踏切名とキロ程が明記されています。
(これは改軌前からあったものなので、他線区も同様でしょう。)


踏切番号標識    #64 高松踏切銘板



3.速度制限標

 列車の速度制限を示す「速度制限標」です。
 3枚並んでいる標識は、上から排雪列車等,719系,400系に対する
速度制限となっているそうです。


速度制限(解除)標の例

 最高125km/hという標識がありました。
 白の標識(左から2番めの上2つ)は該当する車両の最高速度で通過可である事を
示すものと思われます。
 左から3番めの標識はポイントの通過速度の制限標識です。
 一番右は「速度制限解除標」と呼ぶらしく、その名の通り速度制限の解除であり、
次の速度制限標までの間、各車両に許容された最高速度(400系で130km/h,
719系で110km/hで走行可能となるようです。


4.雪からポイントを守る

 冬季にポイントの凍結を防ぐ、いわゆる「ファンヒータ」のようです。(正式名称は不明)
 最初これを見た時、何の装置か検討もつきませんでしたが、付近に石油タンクがあったり、
外観上で大きなダクトがポイントに向かって走っているので、それだと気がつきました。
 積雪時でも燃焼用の空気を取り入れる為と思われる「煙突」が外観上の特徴です。
 寒い時に近寄ってみたら、「ゴーッ」という音がしていました。


高畠駅構内にあったもの           関根駅構内にあったもの

 関根駅構内の写真の中央上部にあるのは積雪計ではないかと思います。



5.列車無線のアンテナ

 山形線内を走る列車と、仙台の指令または鉄道電話との通話に使用されている、列車無線の
基地局側のアンテナです。各駅や電波の届きにくい所にこのようなアンテナが設置されて
います。
 この区間は空間波を基本(トンネル内等は漏洩同軸ケーブル・・・LCX・・・を併用)
とした無線が使用されていますが、350メガヘルツ付近という直進性の高いUHF電波である為に
電波の到達に障害となる物も多く、また基地局同士の混信・干渉等の問題や、通信対象が移動体で
ある為に電波の伝搬経路が次々に変わる等の理由で、通話状況が悪いようで、アンテナの設置位置や
方向の調整,アンテナのタイプ(素子数)の選定,機器の調整等に関係者がだいぶ苦労しているようです。
 電波の到達の支障になる新しい構造物(道路等)が次々に出来ている背景もあり、苦労はさらに
続きそうです。


置賜駅の基地局のアンテナ  羽前中山駅の基地局のアンテナ
(←米沢方  高畠方→)  (←上ノ山方   中川方→)

 なお列車無線に関する詳細は別ページにて紹介します。



6.踏切の道路標識

 400系「つばさ」が走るこの区間ですが、場所によってはこんな道路標識が
残っています。


 左は「電車バージョン」ですが、右は「蒸機バージョン」です。
(撮影場所:#43 中瀬踏切)
 あれ?ここ新幹線走るんだよな!?

 また踏切にはこんな表示も・・・

(撮影場所:#24 松原踏切)


7.き電設備

 「き電」とは、電車を動かす為の電気を架線に供給する事です。

 山形線は交流電化区間で、400系という新幹線車両を走らせますが、
その電圧は既存在来線と同じ2万ボルトです。本来の新幹線区間は
2万5千ボルトである為5千ボルトの違いがありますが、車両側で
対処するようになっています。

7−1.変電所

 電力会社からの電力を2万ボルトに変換し、架線にき電する所が変電所です。
 山形線区間の変電所は「峠」,「米沢」,「中川」,「羽前千歳」 の4個所
あります。

 米沢変電所

 各変電所の受け持ち区間は下記のようになっています。

 峠・・・福島−関根
 米沢・・米沢−高畠
 中川・・赤湯−かみのやま温泉
 羽前千歳・・茂吉記念館前−山形(鳥越(信)まで)

 変電所毎のき電区間
(奥羽本線(福島−秋田間)列車運行図表 平成4年3月14日改正 参照)

7−2.き電区分所

 架線事故等の場合に変電所単位でき電したり止めたりできるように、電気を
分離する為に「き電区分所」があります。山形線内には関根−米沢間,高畠−赤湯間,
かみのやま温泉−茂吉記念館前駅間の4個所に設けられてあります。

 また各変電所のある所もき電区分がなされています。

き電区分所

7−3.デッドセクション

 き電区分された所は、架線が絶縁されており、いわゆるデッドセクションに
なっています。

 また新幹線区間と山形線内の架線電圧が異なる為に、福島駅の新幹線ホームから
の高架を降りてきた所に、長さの長いデッドセクションが設けられています。

 列車に乗ってデットセクションを通過すると、空調が止まる(400系)とか、
トイレの所にあるランプが点灯する(719系5000番台)等の現象があるので、
注意しているとよく解ります。特に新幹線−在来間のデッドセクションは停電する
区間が長いので、400系に乗ってこの区間を通過すると「ひゅぅぅぅ」と空調が
止まり、「ぐぉん」と空調が入る独特な音が顕著に聞こえます。

デッドセクションの架線の様子

 デッドセクションを力行(ノッチを入れた状態で走行する事)で通過すると
架線とパンタの間で放電が発生し機器を傷める為に、ノッチをオフして通過する
必要があります。この為に列車側からき電区分点である事がわかるように
下記のような標識が設置されています。

デッドセクションの標識(右側にある白地に赤斜線の標識)

7−3.吸上変圧器

 き電区間の途中には、電車線(架線)から通信線への誘導障害を軽減する為に
「吸上変圧器」(BT)が設けられている。
(参考:「鉄道交流電化40周年の歩み」OHM誌 '97年5月号)

吸上変圧器(米沢−置賜間)


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'97/02/15改訂
'98/01/17改訂(「速度制限解除標」写真,踏切標識,き電設備追加等)