E3系新幹線電車「こまち」

 秋田←→東京間を一直線で結ぶ「こまち」は、「颯爽」がテーマ。最新の技術とシステム
を搭載した最速275km/時の高速性とともに、乗る人に優しいぬくもりの
ある車両空間を実現しています。(秋田新幹線「こまち」特別試乗会ポスターより)

 E3系「こまち」(秋田駅構内 編成R7 15号車)


はじめに

 1997年3月22日、待望の秋田新幹線「こまち」が走り出しました。
 秋田新幹線は、山形新幹線に続く新在直通特急第2弾でもあり、山形新幹線「つばさ」を
応援している私にとっては、妹分でもあり、またよきライバルといった感じに思えます。

 このページでは私が気がついたE3系新幹線電車「こまち」に関する情報を提供します。

 −−−−− E3系「こまち」 目次 −−−−−
1.E3系「こまち」乗車記録(在来区間編)
 1−1.大曲について「こまち」に乗り込む。
 1−2.「こまち」秋田へ向かって大曲を発車。
 1−3.「こまち」秋田へ到着。
 1−4.帰りの普通電車にて。

2.秋田新幹線,E3系「こまち」関連情報
 2−1.「秋田新幹線」在来区間列車無線の周波数
 2−2.「こまち」と「やまびこ」の併合について


1.E3系「こまち」乗車記録(在来区間編)

 ひょんな事からE3系新幹線電車(秋田新幹線「こまち」)に乗車する機会がありました。
 在来区間のみではありますが、私が乗車して気が付いた事をレポートします。

 乗車したのは、こまち19号秋田行きで、大曲(14:36発)−秋田(15:10着)間の乗車で、
在来区間の一部のみです。
 乗車日は訳あって伏せます。

1−1.大曲について「こまち」に乗り込む。

 車で大曲に着いたのが14:20頃、駐車場に車を入れて時刻表を調べたら
こまち19号に乗れそうな事がわかる。
 あわてて機材(カメラ,録音機材)の準備をし、駅前の銀行で軍資金?を降ろし、
乗車券と自由席特急券を購入し、すぐ改札に入る。

 乗車券950円,自由席特急券1150円。あれ?こんなにするんだ。
(「大曲」−「秋田」間の距離ですが、51.7kmなんですね。たった
1.7km長いだけで420円アップはつらい・・・いつも乗りなれている
山形新幹線の「高畠」−「福島」,「山形」−「高畠」が50kmに満たない為に
自由席特急券が730円なので、余計に割高に感ずるのかも。)

 すでに「こまち」は到着しておりホームへ走る。
 下調べもなにもない状態で、自由席車が何処かも知らずにいたが、一番手前の
車両(15号車)が自由席車とわかり、写真を撮る間もなく飛び乗った。
 あわてて乗った事もあり、外観を良く見られなかったのが残念。秋田到着後に
良く見ることにしよう。

 車内はまずまずの乗車率だが、シートがまるっきり空席の所がいくつかあり、
自分の席を確保できた。(13番CD席)
 大曲で進行方向が逆になる為、座席は進行方向と逆を向いている。それを知って
いるのであろう乗客の中にはボックス状に席を確保しているグルーブや,
シートの方向を転換していた人がいた。
 下りはたった一駅間なのでこれでもいいだろうけど、上りはどうしているの
だろう。大曲を過ぎてから、座席の方向転換のサービスがつくのであろうか。

(「こまち」19号 車内の様子,15号車13番CD席より前を見る)

1−2.「こまち」秋田へ向かって大曲を発車。

 発車しそうなので、走行音を録音する準備を開始。録音を開始した直後に
「こまち」は発車となった。
 「プーーーー」というインバータ音が聞こえ出し「こまち」は動き出す。
 さらに「キュィーーーーーンキュイーーーーン」とPWM音の変化が響く中、
加速していく。最初のキュィーン音を含め3回パルスモードが切り替わり
3回目のモードで通常走行となるようである。
 またPWM音が聞こえる時に速度が上下するとそれに伴って音の周波数が
上下するのが面白い。(インバータ制御なので機構上当然なのではあるが。)

 また、400系のような「ブーン」という商用交流音が耳につかないのがうれしい。
(たままた乗車した車両で聞こえないのであって、他の車両では聞こえるのかも
知れないが。)

 でもこのインバータの音を聞くと300系「のぞみ」に乗車した時にも感じた
「通勤用電車」のイメージがちょっとだけ頭をよぎる。
 ある程度まで速度が上がるとPWM音は感じなくなり、モーターの回転音のみに
なってくる。

 ただ、速度が下がってくるとまた「ヒーーー」という感じの、周波数が
上がりきらない音が響く。低速域でこの様な状態になると耳障りな音が残るのは
VVVF車ならでは。特にインバータのパルスモードが切り替わる速度域(音が
上昇から急に音が低くなりまた上がり出す速度域)付近で速度上昇下降を
繰り返すようになると、「ヒーー」「ホーー」音を繰り返す感じになる。
 在来区間でも十分に速度が上がると聞こえなくなるのだが、この区間カーブが
多いせいか、100km以下の速度制限が多いようで、それに拍車をかけているのかも。
(速度制限は、帰りの701系でかぶりつきをして速度標識をあちこち見てきた。)
 また、ノッチを切った時には音が消える。

 新幹線車両での速度とインバータ音の変化の関係は300系やE1系にも
乗車経験からおおよそつかんでおり、在来区間ではちょっと苦しいかな?という
予想はしていたが、「新幹線車両」という意味ではこの音はちょっと品がない
感じは残る。(同じ最高速度130km/h運転でもE351系「スーパー
あずさ」は、車両自体の最高速度自体が低い為にずっと低い速度域にならないと
上記のようにはならないのはいうまでもない。)

 制御の原理上仕方ないですが、在来区間走行時だけでもPWMの変調周波数を
上げるような工夫が出来なかったものでしょうか。(そういえば、初期のVVVF
方式である東急9000系がこういった速度域になるとさすがにうるさく感じますね。
私は派手なので好きではあるけど、他の乗客はそうは思わないだろう。)
 そういう意味では400系の昔ながらの方式も悪くない。(騒音という見地でです。
直流モーターが保守面で不利なのはご存じの通りです。)


 ある程度音を録った時点で、車内の様子をDS-7と一眼レフの2台を駆使し撮影開始。
 車内の様子,シート,竿灯をデザインしたというブラインド,車番をDS-7で撮影。
 乗車した車両はR10編成で「E322−10」であった。

(自由席のシート)        (ブラインドの模様)

(乗車した車両の車番)     (車両の編成名 (秋田到着後撮影))

 また車内にあった「こまち MENU」を一眼レフで撮影する。(デジカメでは
解像度の問題があったので、スチルカメラの登場となった。カメラに入っている
フィルムがREALAである事をかまわずに!?)
 そういえば客室内でメニューって見る事少ないよな。(少なくとも「つばさ」
にはない)

 車内をよく見ると天井のカーブがなんとなく787系「つばめ」の天井に似ている。
 違いといえば、「こまち」は棚で「つばめ」はグローブボックスになっている点?

(「こまち」15号車車内 (降車時撮影))

 車内のミニFM放送をチェックする。5波あるようだ。が、周波数を記録する為の
筆記道具を車の中から持ってきておらず、記録できなかった。
 基本的には400系のミニFMに1波増やしたような周波数配置だったと思う。


 大曲−秋田間だが、米沢−山形間以上にカーブが多いようで、結構速度を落として
走っている。しかも山間を縫って走っているようで連続カーブが多いようにも感じた。
 もちろん米沢−福島間の板谷峠のような急カーブ,急勾配のようなひどさ?はない。
 まぁ慣れていな為に余計にそう感ずるのだろう。

 逆に直線区間は非常に長い所もあるようで、カーブが多い割には表定速度が
90kmを越えており立派である。(「つばさ」では、山形−米沢間ノンストップ運転
でやっと90km/h超)
 ただ、田沢湖線に入ると状態はどうなのかな?手元の道路地図で確認する限りは
大曲−秋田間と同じような状態が続いているように見える。
特に板谷峠のような感じのカーブは少ないのではないだろうか。

 ちょっと時間が空いたので、帰りの列車をチェック。特に秋田駅に用事があるわけでも
ないし、帰り時間の問題があり、なるべく早い列車を探す。とはいえ「こまち19号」と
交換で発車する「こまち54号」では2分しかなく時間が無さ過ぎる。というわけで
横手行き「456M」をチョイス。約28分の秋田駅滞在の予定となる。

 そうこうしているうちに、聞きなれたジングル(予想通り東北・山形新幹線と
同じだった)が鳴り、間もなく秋田に到着とのアナウンス。車内放送の録音も
狙っていたが車内の音も録りたい為、ミニFM経由の録音は断念した。

 それからしばらくたつと広い敷地に沢山線路が並んでいる所に入る。
 南秋田運転所のようである。羽越線乗り入れの関係もあるのか、所属する車両が
多い事があるのか、非常に広い。

1−3.「こまち」秋田へ到着。

 そして秋田駅に到着。さすがに一区間の乗車はあっという間であり、少々
物足りない。下車後、車両の外観(先頭車及び車両側面の「こまち」のロゴや、
LED式行先表示器の表示,シングルアームパンタ等)の撮影を行う。
E3の外観ですが、他のページでも書いた通りいいですねぇ。

(「こまち」のロゴ)        (E3系車両のパンタグラフ この写真では良く解りませんね。)

(LED式行先表示器「こまち 指定席」表示と「秋田 for AKITA」表示)

 また丁度上りの「こまち54号」(R7編成でした。写真はページトップ参照。)が発車
する所だったので、そちらの走行音をホームから録音。さすがに出発直後は速度があがらず、
また「音」のする車両が少ない(5両中、4両)のでちょっと物足りなかった。

 撮影及び録音が済んだところで、帰りの準備にかかる為改札を一度出る。せっかく
なので切符に無効印を押してもらい手元に残す事にする。(幹線改札のほうのインクが
濃すぎてにじんでしまったのが残念。)改札を出てから改札や駅内の様子を撮影。

(秋田駅改札前の通路)        (秋田駅改札)

 帰りの切符と、記念に残す為の入場券を購入し、売店でジュースを買い、ふたたび
改札に入る。

 少し時間があるので、構内の様子を再度チェック。まだ私が乗ってきた「こまち」の
編成が止まっていたので、在来ホーム側より撮影を行う。

(E3系R10編成15号車 秋田駅在来ホームより撮影)

 よく見れば標準軌に直してあるホームは2本のみ。山形新幹線の場合は、「つばさ」
が走行する福島−山形間間(「山形線」区間)は普通電車も全て標準軌仕様に変わり、
普通電車のホームも標準軌化されているのに対し、秋田の場合は標準軌と狭軌の線路が
併設されている事もあり、こういった具合になったようである。
(これは大曲駅も同様のようである。)

 運用上も、秋田まで乗り入れる標準軌仕様の普通電車(701系5000番台電車)は
多くないようで、普通電車のほとんどは狭軌仕様701系である。
 従って標準軌仕様普通電車は新幹線ホームに乗り入れているようである。
 見るとさきほど上りの「こまち54号」が止まっていたホームに、701系5000
番台電車が止まっていた。

(701系5000番台電車 大曲駅帰着後撮影)

1−4.帰りの普通電車にて。

 帰りの電車(横手行き「456M」)の発車時刻が迫ってきたので、電車に乗り込む。
 山形でも乗りなれた狭軌仕様の701系で、初めのうち車両の音を録音するつもりで、
M車である2両編成の後部車両に乗る。
 相変わらず、ドア開閉時の「ピンホーン」というチャイムが騒々しい。

 ワンマン運転のようで、テープによる放送が始まる。701系の車内放送をマジマジ
聴いたのは初めてのような気がする。山形線を走る719系5000番台のワンマンの
アナウンスとは降りる際のドアの位置(運転席直後のドア)の案内の方法が
ちょっと違っているのに気がつく。(このページの趣旨から外れるので、詳細は別ページ
で紹介する予定です。)
 時間になり秋田を発車。しかし、乗客が多く良い録音状態は期待できないようだ。

 四ツ小屋駅,和田駅と停車。ふと窓の外を見ると「286」の 文字のキロポストが
見えた。前からパソコンに関わっていた者としては「286」の文字は気になる数字
である。
 後部のM車に乗っていたが、線路の様子が気になりだし先頭車両のT車に行き
「かぶりつき」位置を確保した。車掌室側の仕切り板のない701系の前方は非常に
見通しが良い。

 前方を見ると一見複線のように見える。あれ?さきほど「こまち」で走ってきた
線路は?と一瞬考え込んでしまったが、よくよく見れば左側にある線路は標準軌。
 横から見ている為か軌間が狭く見え、標準軌に見えないというのがミソであった。
 しかし、前方より「こまち」がやってきて、改めて標準軌である事を確認した。
 でも、普通は左側走行?である国内鉄道で、自分が乗っている電車の左側を
対向する電車が通過するのはなんか変な気分である。
(「つばさ」が走行する山形線区間でも、本線の右側に線路が分岐して列車が停車する
ような駅では、左側を対向電車が通過する光景はあるのだが、こちらは走行中である。)

 しばらくいくとスラブ軌道になっているのが見えた。この区間に入るとバラスト
だった区間より騒音が大きいようである。やはりバラストは騒音を吸収してくれる
ようだ。東北新幹線の駅で新幹線が入ってくると「ガァーーッ」という音が聞こ
えるが、なぜ速度が低いのに在来線の列車よりこんなに騒がしいのかよくわからな
かったのだが、スラブ軌道のせいであるとこの時に認識させられた。

 羽後境付近の峠に入り、連続カーブが続く。加速の良い701系でもこれだけ
カーブが続くと速度を上げられず、70km/h程度の運転が続く。標準軌側の
線路に立っている速度制限標をみても80km/h前後の速度制限が続いている。

 峰吉川に入り、自分の乗る電車が三線軌条を走る。ここから大曲の1駅手前に
ある神宮寺までが三線軌条区間である。

(三線軌条の線路)

 そして、大曲に到着。標準軌ホーム側に701系5000番台が止まっていたので
撮影し、改札を出る。
 その後手元に残す為の入場券を購入し、大曲駅を後にし自分の車に戻った。


2.秋田新幹線,E3系「こまち」関連情報

2−1.「秋田新幹線」在来区間列車無線の周波数

 大曲到着し、車に戻ったあと列車無線の周波数のチェックを行った。
 その結果、以下の2波の空線信号が確認された。どちらが何に使用されている
のかは通話を確認しておらず不明である。

・A/Bタイプ6チャンネル(指令側352.6000MHz,列車側336.1000MHz)
・A/Bタイプ7チャンネル(指令側352.6125MHz,列車側336.1125MHz)
(ちなみにA/Bタイプ6チャンネルは山形線区間で使用されている無線と同じ
チャンネルである。)

2−2.「こまち」と「やまびこ」の併合について

 別のある日、「こまち」を撮ろうと仙台駅に行った時のこと。
 たまたま「こまち46号」と「やまびこ46号」の併合シーンを見る事が出来た。

(E3系,200系K編成併合直前 200系の測距センサの窓が開いている) (併合後 200系の尾灯が消えている)

 併合作業自体は福島駅構内での「つばさ」と「やまびこ」の併合時、「つばさ」に
乗車して体験?し、パターンを覚えてしまった。(実は自分で併合シーンを見た
のは今まで一度だけなのである。その代わり、併合時の無線通話を「つばさ」の
車内から聞いている事は良くあり、通話の方法もほとんど覚えているが、
ここで公開するわけにいかない。)

 しかし、今回見た「こまち」と「やまびこ」の併合作業は、「つばさ」と
「やまびこ」の併合作業とは停車位置が違っていた。

 「つばさ」の場合の併合作業手順は以下のようになっている。
・まず、連結される200系K編成「やまびこ」が入線。
・「つばさ」が入線し、「やまびこ」の手前30メーターで一旦停車する。
・次に連結位置の約3メーター手前まで進んで停車。
・最後に連結まで進む。

 今回仙台で見たシーンは、以下のようであった。
・まず、連結される「やまびこ」(200系K編成でした。)が入線。
・「こまち」はホームに入線する直前で一旦停止。(「やまびこ」との連結位置
 から200メーター以上手前の位置。)
・次は3メーター(目測です。)手前まで進んで停車。(「つばさ」と同様)
・最後に連結まで進む

 受信機を持参しておらず、無線通話の確認が出来なかったのが非常に残念であった。


 停車位置が異なったのは、走行速度の高い新幹線の本線上での連結という為と思われる。
(そういえば、仙台駅は全列車が停車という条件なのか、ホームのない通過の為だけの
線路がない。)
 盛岡での併合シーンは見た事がないのだが、こちらは在来からの併合であるので
おそらく福島で「つばさ」と「やまびこ」併合と同じような併合作業を行うものと
思われる。


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