E926形新幹線電気・軌道総合試験車


 撮影:2001年9月17日 高畠-赤湯間(fuji finepix1700使用)

1.east−i登場
2.甲種回送の様子
3.奥羽線試運転の様子
4.長野新幹線区間でのトラブル
5.八戸延伸区間での活躍に期待
6.東海道・山陽用700系ベースの試験車との最高速度の違い
7.気になるEM−120の今後

1.east−i登場

 2001年9月、東の新幹線に凄い車両が登場しました。

 その名も「east i」。東北・上越・長野・山形・秋田
と、規格の異なる区間のある東の新幹線。今までの車両では、
全ての区間への乗り入れは1車種では出来ませんでしたが、
この車両だけは別。

 どの区間でも走る事ができるこの万能の車両は、E3系を
ベースに、新幹線の電気・通信・通信・軌道等を点検する為に
開発された車両です。

 東のフル規格路線には200系をベース(というか、200
系の前身とも言うか・・・)にした「ドクターイエロー」という
黄色い車両が2編成ありますが・・・なにせ東北新幹線開業前に
製作された車両であり、寄る年波には勝てず、いつ故障するか
わからないという、現場ではハラハラしての運行だったそうで、
車両の更新が望まれていたとか。

 そして登場したのが、この「east i」です。
 最新の技術を惜しげもなく投入され、例えば計測時の速度も
「ドクターイエロー」は210km/hだったのが、「east i」
では275km/hも可能になり、計測の精度や応答速度もアップ、
そして計測した結果の記録方式も、「ドクターイエロー」では
紙だったのが、「east i」では光磁気ディスクと、
技術の進歩に合わせ、大幅に進化しています。

 詳細は鉄道各誌に紹介されていますので、そちらを参照下さい。


2.甲種回送の様子

 この車両、私が最初に見たのは、2001年8月29日
東北本線の白石駅です。
 実は元がE3系ですから・・・車両の大きさが在来線車両
と同じ。というわけで、台車だけ狭軌ものに交換されて、
在来線上を機関車で牽引して逗子にある東急の工場から仙台の
新幹線総合車両所へ回送されたのです。

 400系は良くわかりませんが、「こまち」のE3系以降の
新在車はこの方法での回送が行われています。
(「つばさ」用E3系の場合は、1編成(L51)はE926と同じルート
で回送され、もう1編成(L52)ははるばる神戸から東海道本線を
通って回送されてきたものです。)

 仙台総合車両所に到着後、本来の台車への交換や、種々の
整備・点検作業が行われ、9月に入りいよいよ試運転が
始りました。


3.奥羽線試運転の様子

 2001年9月17日、遂に奥羽線にも初お目見えしました。

 その時に高畠−赤湯間で撮影したのが最初の写真です。
(実は、この直後に急停車。最高速度からのブレーキ試験
だったらしいです。)
 そして山形までの往復を無事こなしました。

 9月20日にも試験運転が行われましたが、メインとなる
検測車は2両製作され、両方を試験する関係で組み替えて
2度走行されたようです。

 というわけで、新・在の2つの規格の路線への乗り入れは
問題なく?完了したのですが、その後別の所で問題が発生
し、なんと「ドクター」が客扱いしている新幹線を狂わせる
事態になってしまいました。


4.長野新幹線区間でのトラブル

 そこは一見フル規格の普通の路線なのですが、他の区間
とはちょっと違った事情がありました。
 それは・・・架線の周波数の違い。

 東の新幹線の架線に供給している電気の周波数は、基本的に
50ヘルツなのですが・・・長野(行き)新幹線はある場所より
西が60ヘルツなのです。
 実は架線の周波数による影響を受けないようにする為に、
信号関係の機器の設定が50ヘルツの区間と60ヘルツの区間で
変えてあるのですが・・・その切替えの設定にちょっとした
間違いがあったそうで、60ヘルツの区間に入った途端に
速度信号が0になり、走れなくなったというものだったようです。

 今では原因が判明し対策が済んでおり、その後の試験も順調に
行われているものと思います。


5.八戸延伸区間での活躍に期待

 2002年12月、東北新幹線の八戸延伸が開業しますが、
延伸区間も試験も同車が担当する事になり、注目される事で
しょう。

 というのも、この車両でなければ試験が出来ないという事情が
あるのです。
 実は延伸区間のATC信号の方式がデジタル化されており、
従来のものと異なっている為に、その試験が今までの「ドクター
イエロー」では対応出来ないのです。

 私の予想では、試験運転の開始は今春位ではと思われますが、
沿線からの情報を期待しているところです。


6.東海道・山陽用700系ベースの試験車との最高速度の違い

 さて話はちょっと外れて東海道・山陽新幹線に関する事ですが、
同じような時期(少し早かったかな?)に、700系をベースにした
試験車両が登場しています。
 当事者でないので正確な所は良くわかりませんが、同じ検測
技術をベースにしていそうです。(実は同時発注だったり?)

 さて、700系ベースのは最高速度が270km/hだとかで、
east iのほうが5km/h速いように見えますが、ATC信号の
表現方法が東の新幹線と異なる為で、実質同じと解釈するのが
正しいようです。


7.気になる「EM−120」の今後

 改軌した奥羽線用の軌道・架線の試験用に投入された「EM−120」
という車両があります。

 写真 :EM−120

 EM−120の詳細
 「east i」の登場により、同車の今後が気になります。


鉄道情報ページへ戻る
ホームページへ戻る

このページに対するご意見,感想は

我妻 靖 ( E-mail:jr7cwk@jan.ne.jp)
までお願いします。

Copyright (C) by Y.Wagatsuma
2002/01/27改訂(目次追加,タイトル,アドレス変更,EM-120追加)
2001/11/30新規作成