-追悼- 「敬愛するサックス奏者 BOB BERG」

 2002年12月6日の突然の訃報、学生時代から夢中になって聴いたサックスプレーヤーである。これからの活躍も期待されるのに、残念で仕方がない。ライブで聴いたマイルスバンドでの演奏、全音域を駆使して歌う、そのダイナミックな演奏に大きな感銘を受けた。これからも繰り返し聴いていくであろう彼の演奏について書いてみようと思う。エモーショナルな演奏で楽器へ向かう想いを後押ししてくれたBOB BERG氏、ご冥福をお祈りします。(2006.5.9更新)

「Steppin' Live in Europe」 Bob Berg

 1枚選べと言われたら間違いなくこれ。彼の存在を知ったころ、レコード盤でよく聴いたアルバム。循環の曲ですさまじい演奏をするタイトル曲にぶっ飛んだものだった。田舎に戻るときに、後でCDに買い換えようとレコード盤を手放してしまったが、なかなか手に入らずにいた。Amazon.comの試聴音源を時々聴きながら探していたのであったがやっと手に入れた。(SUNNY SIDEを紹介してくれたイカラシさんへ感謝)。お皿にMADE IN ITALY 2004と印刷してあるところを見ると再発したばかりのものが届いたようだ。12年ぶりぐらいに通して聴いたこのアルバムはやはり☆☆☆☆☆、ハードラバーの音色も深い。タイトル曲では時折コルトレーンのOleoでのフレーズが出てきたりする。曲目リストには載っていないが、LP版には無かったサックスソロの演奏が1曲追加されているところもうれしい。

「First set」 「Second set」 「Third set」 Cedar Walton Quartet

 1977年10月コペンハーゲンでのライブ。HORACE SILVER QUINTETのDVDの約1年後の演奏となるようだ。BoliviaなどCEDAR WALTONのオリジナルの他、Off Miner、Blue Monk、Rhythm-A-Ningといったモンクの曲を多く取り上げているのが特徴的。Bob Bergのテナーはバランス特有(だと思ってる)のシャーという鳴りに、いつもの気合の入った歌い方でいつもどおり気持ち良さであるが、上記のDVDの演奏内容以上に良くなってるのがわかる。20代半ば、どんどん進歩した頃だったのだろう。学生時代一緒にバンドやってたベーシストから、この頃のCEDAR WALTONものLPをいろいろ聴かせてもらい、かっちょいいなー欲しいなあと中古レコード屋で探してみたりしてたのをやっと自分のものにしたわけで、こうして3枚並べるととっても気持ちいい。Cedar Walton(p) Sam Jones(b)Billy Higgins(drs)のリズムセクションって、これ系のテナー奏者に良く合うなあと思う。(2006.1.4)

「The Truth」 Niels Lan Doky, Bob berg, Terri Lyne Carringtton 

 スタンダードの名曲 I Thought about Youの名演と思っているアルバム。Steppin'同様、ライブ演奏で延々と吹きまくっているのが聴ける。ドラムは若かりしテリリンキャリントン。1987年6月コペンハーゲンでの録音。

「Short Stories」 Bob Berg

 一連のDENONでの録音ではこれが好き。レコード盤でよく聴いた作品、CDで再び聴きたいのだが手に入りにくいようである(2006.5.3めでたく再発盤をゲット)。彼のオリジナルFriday Night At The Cadillac Clubはいろんなところで録音しているが、この演奏がベストである。1987年3月の録音。

「Stories」 Tom Harrell

 上記のアルバムタイトルからShortがカットされてるのは偶然か、HORACE SILVER QUINTETでフロントを共にしたTom Harrellの作品。15TENOR SOLOSにコピー譜が載っていたので、CDを探して手に入れた。そのうち丸コピしてやろうと思いながらまだしてない。1988年1月の作品。

「Cycles」「In The Shadows」「Back Roads」「Virtual Reality」 Bob Berg

 続いてDENONでの作品、Dennis Chambersら強力なリズム隊を従えていつものように吹きまくる。絶好調という感じ。 I Thought about You Autumn Leaves Someone To Watch Over Meというスタンダード曲はエレクトリックなアレンジ。15TENOR SOLOSにコピー譜が載っているAutumn Leavesのラインの組み立てはペンタトニックの使い方をお勉強すると分かるものなのか。バーガンジーのそちら方面の教本があるようなのでかじってみたい。このあたりのフュージョンサウンドとのびやかなフラジオ音は我が青春の音楽である。1988年7月、1990年、1991年4月、1992年8月の録音

「Upside Downside」「Time in Place」「Jigsaw」「Standards」 Mike Stern

 マイクスターンのアルバムのサックスといえば彼、いつも熱い演奏を聞かせてくれる。Upside Downsideの4曲目のファンク仕立てのマイナーブルースMoodSwingに酔いしれる。この曲のみジャコが参加しており、そういう空気が漂う。マイクスターンもこの先ボブに代わるテナーを見つけるのは大変なことだろう。「Upside Downside」は1986年の録音。

「Let's Set the Record Straight」 「The Forbidden Zone」 Tom Coster

 哀愁のヨーロッパをサンタナと一緒に作ったことでお馴染みのビアニストTom Coster。彼の都会的で緻密な正統派フュージョン作品に参加するBob Berg。ウエザー風あり、マイルス風あり、サンタナ風ありで格好よくスリリングなサウンド上で吹きまくる。お馴染みフレーズの連発でもゾクゾクさせられる。1993・1994年の録音。

「Enter the Spirit」 Bob Berg

 レーベル移籍後のタイトル通りの意欲作。チックコリアが3曲に参加している。デニスチェンのブラシワークあり、ロリンズ色の強いピアノレストリオ演奏ありでデンオン時代に比べてぐっとジャズ色が濃くなっている。結構激しい演奏もあり。バックの雰囲気はどうであろうといつものテナーサウンド健在なのが彼らしいところ。ソプラノではコルトレーン色が強い。1993年の作品。

「Time Warp」 Chick Corea

 1995年の録音、耳に染み込んだ手癖フレーズが多いのだが、Chick Coreaのバンドということで、いつもと違うメンバーでのサウンドが新鮮な感じである。The Wish 〜 Tenor Cadenzaあたりがいい雰囲気だ。Chick Coreaとの演奏は他にもあるようなのでいずれ聴きたいと思っている。

「Another Standard」 Bob Berg

 1997年の作品、Michelleなどアコースティックなスタンダード集。Coltraneの演奏が思い出されるナンバーではこったアレンジになっている。曲のよさもあってMy man's gone nowがいい。It was a very good yearのソプラノはColtraneのサウンドを思い出させる熱のこもった演奏。Bob berg少年が入院していたとき父親に「至上の愛」を買ったもらったという逸話を思い出す。スタジオ録音なのでこじんまりしているが、ライブで聴いてみたかった。

「Depature」 Toshiki Nunokawa

 1998年9月Jazz Life誌でお馴染みの我らが布川さんがニューヨークへ乗り込んでの超意欲作。1曲を除き全てが布川さんのオリジナルであるが、アースキン、マークジョンソンというメンバーでそれ風サウンドに仕上がっているのが嬉しい。

「Holding Together」 Steps Ahead

 あのステップスのバンド名で出された1999年ヨーロッパでのライブ版。NYC Recordsのネット販売でのみ入手可能なCDで、注文したら2週間ほどで届いた。StepsといえばMichael Brecker、高校生の頃、六本木ピットインのライブ版を聞いて衝撃を受けた。大学に入ったらサックスをやるんだと意気込んで受験勉強に励んだことが懐かしい。ビブラフォンのふわっとしたサウンドにのっかるテナーの感じが大好きで聴きまくった。その後STEPSとしての録音がなくなったなと思っていたところに1994年録音のVibeが出たが聴いてがっかり・・・。それから8年、この作品。サックスがBob Bergでホントバッチリの演奏なのだ。Breckerの名演が思い出されるPools、Uncle Bobといった曲もいい感じ。ヨーロッパでのライブ録音というのがBob Berg名演のキーワードかもしれない。

「The JazzTimes Superband」 Bob Berg, Randy Brecker, Dennis Chambers & Joey DeFrancesco

 2000年の録音。「Another Standard」でもそうだったがRandyとのフロント名コンビでの演奏。ぶっ速いOleoが「Steppin' Live in Europe」を彷彿させる。Freedom Jazz Danceなんてのもこの方のテナーにぴったりの曲だ。テナー奏者がオルガンと組んだ作品は名演が多いがその部類に入ると思う。

「Ballads - Remembering John Coltrane」 Karrin Allyson

 コルトレーンを愛する人はみんな友達である。ボーカリストKarrin Allyson彼女も長年に亘って彼のBalladsを愛してきたそうで、とうとうその8曲を歌ったアルバムを作ってしまったという趣味の良い方。もうすっかりファン。ソリストとして3人のサックス奏者をフューチャーしているYou Don't Know What Love isとWhat's newの2曲でBob Bergが最高の演奏をしてくれている。逆にJames Carterのテナーソロは?、この3曲もBobに吹かせてくれればアルバムとしての完成度もさらに高まっただろうに。2000年11月の録音。

「So What」 Eddie Henderson

 トランペットのEddie HendersonがMilesに捧げた作品のようだ。50年代Milesのお馴染みスタンダード集にBob Bergが参加というので期待したが、意外と出番が少なくて残念。2002年3月の録音。

「Far Out」 Antonio Farao

 ボブバーグがこの世を去ってからリリースされたアルバムで彼の最後の録音になるのかなと思っていたがそうではないようだ。ボブバーグのサックスは以前よりもちょっと円熟した雰囲気を感じさせる。面白いテーマアレンジのSeven Steps to Heavenが聴けるが、この録音(2002年10月)の2ヵ月後に交通事故で天国へ行ってしまうとは・・・。アルバムタイトルのFar Outはジャズ用語で、「斬新な, 進んだ」といった意味があるようだ。確かに意欲作であることが伝わってくる音である。リズムセクションはボブバーグの母親の故郷イタリアのトリオ。ハービーに絶賛されているというピアニストFaraoが美しいピアノを聞かせてくれる。

Cyber FusionにIボブ・バーグ追悼特集が掲載されている。

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