ラッカーが完全に乾くまで、一週間は必要だろう。その間、仕様を纏めてみた。「及ばぬ鯉の滝登り」という諺が有る、ええじゃないか、夢は大きい方が良いに決まってらぁ。
1)スタティク・ダイビングが可能であること。
2)操縦補助システムを組み込むこと。
3)安全装置を組み込むこと。
ま。こんなとこだろさ。で、問題が発生した。スラスターを付けずに、垂直安定板で旋回する計画だった。だが、考えてみてくれ、水中には方向舵が無いのだ。
浮上しているときは、どうやって旋回するのさ、、、、
ってことで、バウスラスターを試作することになった。
1) モータとドライバを選定する。
バウスラスターのモータもスクリューのモータも、回転数を精密に制御する必要が無いので、マブチモータのRS−540SHとRS−380PHの2種類を使うことを前提に検討する。
540モータは消費電流が6A、380モータは3A。マウスに使うコアレスモータと比較すると、ちょっと電流を食う。PWMで回転数を制御する予定なので、FETでドライブすることにする。
モータは大きく重いが、出力軸はDカットされていて使いやすそう、ただシャフト径が、3.17mmに、2.3mmとちょっと半端な値。インチ換算してもすっきりしない値だ、なんか意味が有るのだろうが、私には理解できない。
リーマーを買わなきゃなんないじゃないか。
HブリッジをNチャンネルのFETだけで組むと、ハイサイドのドライブが面倒だ。かといって、PチャンネルのFETは種類が少ないし高価だ。
井谷さんに、どっかでドライブICを出してなかったか教えていただいた。PチャンネルのFETを探しながら、基板の占有面積と回路 、価格も含めて検討する。
まず、購入先を探した、あちこち探した。秋月、若松、千石、オーディオQ、現品.com、エレ工房さくらい、敬誠、サトー電気、エリスショップ、フルタカパーツ、樫木総業、テクノチップス、RSコンポーネンツ。もう、泣きたくなるくらい時間の懸かる作業だった。
販売店の在庫の中から、自分の希望する性能に最も近い能力のFETを探すしかない現状では、在庫リストに簡単な性能が載っていると助かる。最も探し易かったのは、お馴染みさんの秋月電子通商だが、残念ながら希望のものが無かった。
オーディオQとサトー電気の在庫リストには簡単な性能が掲載されていた。オーディオQはオーディオ用のFETが主で、45AのコンプリメンタリのFETが有り凄い魅力だったが、ちょっと高価なので外す。
結局、サトー電気の在庫リストに掲載されているFETの中から、自分の希望に最も近いFETを探すことにした。
しっかし、面倒臭い作業だった。
潜水艦に搭載するモータドライブ回路 なのでなるべく小型に組むために、基板の占有面積の殆どを占めるFETのサイズを重点に選定作業を進めた。
PチャンネルのFETを探しながら、コンプリメンタルのNチャンネルのFETを探す。次にデータシートをダウンロードして、ピン間の距離とICのサイズをチェックするという手順。
2SJ555、2SK2586の組み合わせは、直流最大電流が60Aだが、形がTO3P型、ピン間が5.45mmなので非常に残念だが使用を諦めた。
2SJ334、2SK2886の組み合わせは、2SJ334の直流最大電流30Aに電流の上限を制限されるが、形がTO220NIS型、ピン間が2.54mm。1Aの三端子レギュレータと同じサイズ。
この組み合わせに決定する、さて、モータの突入電流はどれくらいだろうか、、、、
2) ドライブ回路を設計する。
残る問題は二つ、モータにブレーキかけるか否かだ、ブレーキをかけなければポートからの信号は2本で済む。ブレーキかけるならば、4本の信号線が必要だ。
ロジックICをかませて一工夫すれば、2本線でもブレーキをかけられるだろうが、余計なパーツをつけたくない。
もう少し考えよう、潜水艦にブレーキは必要無いような気がするのだが。
もう一つは、ハイサイドのFETを開閉するドライバの選定。使いなれた2SC1815にするか、小信号用のFETにするかだ。
ロジック系の5Vでは、ハイサイドのPチャンネルFETを閉じることができないので、モータにブレーキ機能を付ける、付けないのいかんを問わず、ドライバは付けなければならない。
使いなれた2SC1815にするか、小信号用のFETで組むかの選択になる。この際だオールFETで行こう、なんかスマートじゃないか。
FETのゲートには電流が流れないので、耐圧30V、ソース・ドレイン間の電流は100mAもあればお釣りが来るはずだ。要はスイッチング時間が早ければ良いのだ。
2SK1061は耐圧60V、200mA、2SK1132は耐圧50V、100mA。どちらでも良いが、2SK1061は84円、2SK1132は42円。
2SK1132に決定、あたしゃ貧乏人なんだよっ!!!。
小型のモータのドライブに30Aも流せるHブリッジを組むのも大袈裟なので、Hブリッジを組みやすいFETモジュールを探していたが、やっと見つかった。東芝のMP4212。
ハイサイドのPchX2、ロウサイドのNchX2、60V±5A、0.19Ω、4V駆動可。便利そう、これ1個でフルブリッジが組める。おまけに4V駆動ってのが良い。
FETの型が決まったので、yahooで『MP4212』で検索をかける。上から7番目あたり、「その他」の下に、http://www2.cyberoz.net/city/satodenk/etc.html - 9k - キャッシュという文字を発見。ラッキー、サトー電気にMP4212の在庫が有るみたいだ。
380モータの電流は7.2V、2.9A、充分駆動できる。バウスラスターは380モータを使って、こいつでドライブする。速攻で在庫確認のメールを入れた。
FETを探すために、日立、ルネサス、NEC、東芝、三洋、マキシム、リニアテクノロジ、ナショセミなどのホームページを調べた。外国のメーカーは日本語のデータシートが充実しているかいないかを最初に調べてから、探すか否かを判断した。
結局、外国のメーカーのデータシートは殆どが英語なので諦めて、日本のメーカーのホームページを重点的に調べた。その結果、私には最も調べ易かったのが東芝だった。ただ、文字が小さいので、トランジスタの項目をチェクしたつもりでも、光半導体やダイオードをクリックしてしまう。
ルネサスのホームページも同じようで、ちょっと面倒臭い。ここいらはなんとかして欲しい。
サトー電気から明日(5/18)発送との連絡が来た。
パーツが揃ったら、回路を組んで動作の確認をしよう。
右の写真は、防水隔壁を造っている
右側の写真は、ホームセンターから購入した曲線定規で、艦体前方の内側の形を移し採っているところ。アクリル板で水密ボックスの壁を造る計画。アクリルは硬いので、ABS樹脂を使いたいところだ。
お客さんの会社で出した不良品の3mmアクリル板の穴の無い部分を切り取って使っているので文句は言えない。しかし、3mm厚と5mm厚のABS樹脂が欲しい。
材料屋.comとはざい屋のwebを調べたが、定尺でなければ販売してもらえない、おまけにナチュラルカラーの象牙色だ。透明なABS樹脂の販売店をやっとこ見つけたが、高価だわねぇ〜。10mm厚さで、500mm×1000mm1枚で、11200円也。はあぁ〜〜。
ABS樹脂は、アクリルほど硬くはないので加工性が良い、しかもアクリルよりも衝撃で割れるということが少ない(と説明にあった)。加えて、アクリルよりは接着が簡単らしい、あとは予算との兼ね合いだけか。
しっかし、高価だわねぇ〜。
左側の写真は、完成した後部水密隔壁。これにスクリューや舵への出力軸を取り付ける予定。駆動モータの減速比やギアの構造、スクリューとの連結などを考えるとなかなか難しい。
加えて、モータからの出力とスクリューの高さを一致させることも考慮すると、コックドベルトとタイミングプーリーの採用も検討することにする。
とりあえず、面倒くさいと難しいを楽しむつもりでやろうかぃ。
左の写真は、注文したスラスター
ちょこちょこ覗かせてもらっているRC艦隊さんのHPにスラスターが載っていた。ははぁ〜スラスターのポンプはこんな構造なのか、なるほど、と思って試作を始めた。
だが、ふと疑問がわいてきた。これ、なんで水が出るんだろ、判らん。どう考えても水が一方方向にだけ放出される原理が理解できない、全く判らない。
ベーンポンプやギアポンプ、ダイヤフラムポンプ、タービンポンプなら理解できる。ケースの中を水が回転するだけで、一方方向にだけ水が流れる理由が理解できない。
旋盤の師匠と二人で考えたが判らない。水の入り口が水車の回転軸で、出口がハウジングの外周にある、普通の水車ポンプなら理解できる。もっとも、水は一方方向にしか流れないが。
で、悩みに悩んだあげく、とりあえず既製品を購入することにした。
購入先 (有)マルサンホビー グラウプナー社製 サイドスラスター 税込 4,750円 送料 税込 840円 代引手数料 税込 735円 税込合計 6,325円速攻で注文した。速きこと風の如し、なのだ。
今夜は水の出る原理を考えながら、呑もう。
右の写真は、駆動ユニットの部品
駆動ユニットの減速ギアが届いた。特注のギアを造るだけの能力もお金も無いので、協育歯車の標準ギアから選んだ。
ピニオンギア S50B 15K−0803 平ギア S50D 72B−0304(2枚) シャフト付きギア S50SU 16L−0805この組み合わせで2段減速して、21.6対1の減速比となる。この減速比で良いのか否かは全く見当もつかない。
モータのシャフトに15枚歯のピニオンギアを取り付けて、72枚歯の樹脂の平ギアで受ける。この平ギアをギア付きのシャフトに固定する、シャフトに付いたギアの歯数は16枚。
これを72枚歯のギアで受けて、ここから出力。これで、モータの回転は21.6分1に減速される。直径100mm、三葉のプロペラを回転させるわけだ、これくらい減速しとくとトルク不足にはならないよなぁ、、、、、。
あたしゃ自信が無い、これは経験不足以外のなのものでも無い。
減速ユニットの図面をひこうっと。
左の写真は、防水ケースに入れたスラスター
どう考えても喫水線の下にスラスターユニットを搭載することになる。そこで防水が問題になるわけだが、いろいろ考えて透明なアクリル板でケースを造って、その中にユニットを格納することにした。
アクリル板は、硬いが、衝撃ですぐに割れるので、排水パイプの通る穴、穴径16mmを空けるのは、かなり大変だった。
フライス盤のエンドミルチャックを外して、ドリルチャックを取り付ける。
割れたり、亀裂が入らないように、アクリルの端面から穴径の16mm以上離して基準線を曳く。あとは、5mmから、13mmまで穴径を広げていく。ドリルチャックは13mmまでしか咥えられないので、シャンク径10mmのノス型ドリルで16mmまで穴径を広げる。
ドリルが貫通するときに、ドリルが食い込みアクリル板が持ち上げられ回転することが多い。手を切ったり、最悪の場合は破片が眼に入ったりする危険性があるので、細心の注意をはらって作業をする。
穴空けは、どうにか無事成功、余分な部分を削ってパーツは完成。
瞬間接着剤で組みたてる。剛性は接着剤で、防水性はシリコン樹脂、お風呂の水漏れ防止剤ね、で確保。
クリアのアクリルなので、もし水が漏れても目視で確認できる。もっとも水漏れを確認できても、解体しないと修理できない構造なのが悩みの種だ。
というか、設計のセンスが無いのね、あたしゃ。
さて、結果はいかに。
右の写真は、駆動ユニットの加工途中のイメージ
下に置いてある本は、『定本・続トランジスタ回路の設計』。トランジスタやFETで回路を設計するとき、主にパワー係を設計するときの私の参考書。
電子回路をディスクリートから組みたい人には、お奨めの一冊。
週末、ここまできた。モータの軸に付けるピニオンギアは、S50B 15K−0803を使う計画だったが、旋盤で追加工中にチャックから外れて失敗、ギアの歯が壊れてしまった。おまけにバイトも欠いてしまった。
予備が無かったので、マイコンカーに使う予定だった手持ちの、S50B 20K−0803を使った。超鋼のバイトを壊したので、スローアウェイのバイトを使ったが、切れ味は最悪、このバイトは、アマチャー向きじゃない。
ハイスでバイトを造って、どうにか加工終了。初段のピニオンの歯数が増えたので、減速比は、14.4対1に下がってしまった。トルクは大丈夫だろうか。ちょっと心配だ。
ジュラコンの平ギアは軸穴の直径が4mmなので、リーマーで5mmに広げてから、シャフト付きギアに付属の割りピンで固定。ジャフト付きのギアは、ちょっと高価なので慎重に位置決めして穴を空ける。
呼び径が1mmなので、0.9mmのドリルで下穴を空けて、1mmのドリルを通す。ステンレスなので、流石に硬い。ピンの位置をきっちり合わせて、フライス盤のバイスに咥え、ゆっくり押し込んで圧入終わり。
4mmのシャフトを使ったばあい、軸径が10mm以上のピニオンを加工して、軸付きギアを自作できる可能性が高い。ただし、M2のナットを使わないと、ピッチが少ないので、緩む危険性がある。
モータの軸もM2、ホーロポイントのナットで止めてある。
久々の旋盤作業、楽しかった。
左の写真は、届いたABS樹脂
アクリル板は硬くて脆いので、なんとしてもABS樹脂を使いたい。そこで、清水の舞台から飛び降りる覚悟で、3mm厚と5mm厚のABS樹脂板を注文した。しかも、豪華に定尺で。
透明のABS樹脂は諦めた。あまりに高価で手がでなかった。
女房のいないときに配達されることを祈っていたが、なんと私が重機に乗って作業している間に届いた。女房は御機嫌がすこぶる付きで良かったらしく、なんの反応も無かった。
ただ、あの冷えきった視線が怖い、、、、、、
金工用のノコギリでモータベースを切断したが、アクリルに比較してかなりらくだ。加えてクラックも入らないので切断の線が綺麗だ。
これで、切り売りしてくれれば最高なのだが。
サイズは、定尺の1000×2000を4分割してもらって、500×1000。B4のメモ用紙と比較しても、なんと大きいこと、死ぬまで使っても使いきれないな、きっと。
オークションにだしてみようか。
今夜からモーターベースの加工を始める。
右の写真は、駆動ユニットの加工途中のイメージ2
下に置いてある図面は、HONN MODEL CRAFTさんから送っていただいた、出力軸とリンケージの防水シールの図面のコピー。
心より感謝いたします。
ただ、使用部品は一部変更してある。眼が見えないので加工しやすいように取り付け部分を大きくし、山形で入手しやすい部品を選定した。後は、貰い物のステンレスのシャフト径5mmにあわせてベアリングとシールを変更しただけ。
結局、サイズが大きくなっただけのことだが、試作なので良いとしよう。
ABS樹脂はなかなか使い勝手が良い。まず、穴径がアンダーになるみたいだ。これは助かる、非常に有り難い性質だ。たとえば、アルミ板に外形9mmのベアリングの取り付け穴を空ける場合は8.5mmのドリルで下穴を空けて、8.97mmくらいのリーマーで仕上げる。
これでも、ヘボな私がやると、ベアリングはゆるゆるだ。ところが、ABS樹脂は9mmのドリルの一発加工でキッチリサイズの穴が空く。パチッと音がしてベアリングが入る、なんか気持ちが良い。
フライスで切削するときはアクリルと同じ、下向き削りなら、かなり大きく切削できるが、上向き削りでは切り込みを少なくしてもビビル。それと、アクリルと比較して柔らかいので、バイスを締め過ぎると変形する。
アクリルと比較すれば、バリがでるのが面倒臭いが、使い勝手は悪くはない。
ステンレス専門のスクラップ屋さんから譲っていただいたSUS304は流石に硬い、0.9と1.0のドリルの刃がなめてしまい、ジュラコンにすら歯が立たなくなった。
協育歯車のシャフト付きギア S50SU 16L−0805の材質も同じSUS304だが、鉄鋼用のドリルですんなりピン穴を空けることができたのだが。
ステンレスは熱を加えられると硬くなるという性質がある。ノコギリで切断したあと、切断面をグラインダーで平らにした。アルミ用のバイトをステンレス用に交換するのが面倒だったためだが、このときの熱で硬化したのかもしれない。
OSGのステンレス用のドリルとコバルト入りのドリルを使って穴加工終了。
ステンレス用のドリルは、流石に切れ味が違う、お奨めの一品。
左の写真は、駆動ユニットの加工途中のイメージ3
ABS樹脂のモータベースと出力軸の取り付けベースを4本のアルミ丸棒で結合し、カウンターシャフトの余分な部分を切断した。
これで、駆動ユニットはほぼ完成したことになる。カウンターシャフトの出力側を塞いで水が入らないように処理する作業が残っているだけだ。
なかなか面倒な作業だった。カウンターシャフトを固定するスペーサーの長さは、結合用のアルミの長さで決定される。結合用のアルミの長さは、モータ軸に取り付けられたピニオンギアと最終段のジュラコンのギアとの隙間で決定される。
ジュラコンのギアは、防水出力軸のベアリングとの間隔で決定される。面倒この上ない。
電源を繋いでみた、そこそこ廻る、ギアの音も五月蝿くない。ただ、モータの立ち上がりが遅いようだ、ギアの噛み合わせがキツイのか、それともベアリングの取り付けが悪いのか。
無負荷での消費電流を調べて、最も少なくなる位置に固定する作業は、もう少し後することにした。