CD REVIEW 3

 2005〜2009年 TOPページに掲載していたものをこちらにまとめています。   CD REVIEW

◆ Sonny Rollins ・・・・ Reel Life

 1982年の録音、浮遊感のあるツインギターリズムセクションをバックにのびのびと明るく吹きまくるロリンズ節が気持ちよい。当時学生だった私の愛聴盤でしたので、CDで手に入れたいと探していました。今回の来日を記念して再発されたものをゲットして喜んでいます。跳ねた16のSonny Side Upはその頃やってたバンド、マッハ森とGoGoGoでも演奏しましたっけ。ラストのテナーソロ、Solo Repriseはその後の記念すべきライブ盤 The Solo Albumにつながるものだったのではないでしょうか。(2008.7.7)

◆ Branford Marsalis ・・・・ Classic

 タイトル通りの久しぶりのクラシック作品、ここではソプラノとアルトを演奏しています。ソプラノの美しさを味わうのにジャンルは関係ないといった感じ。ロック、ヒップホップ、ジャズ、クラシックとジャンルにかかわらず完璧な仕事をこなしてしまうブランフォードが素晴らしい。何故かラストの曲だけケニーカークランドが参加しているレクイエムに収録されていたものであるが、どういった意味でここに収録されたのであろうか。Romances For Saxophoneを聴いて、レッスンの課題だったエチュードにも真面目に取り組まねばと思ったものでした。(2008.7.7)

◆ 今井美樹 ・・・・ 未来

 最近の作品の素晴らしさに魅せられ、2008年コンサートツアー新潟公演まで夫婦で行ってきました。SATELLITE HOURなんか演ってくれたのがうれしかったなあ。ファン熱が蘇り、聴いていなかった2000年前後の作品数枚も手に入れてびっくり、10年前の作品、未来、7曲目Let's Get TogetherにCourtney Pineのテナーがフューチャーされているではないですか。思いっきりフラジオに行ったりしてる乾いた音色が良い感じです。旦那様のこと見直しました。ナベサダ参加のAquaは今一だけど。(2008.7.7)

◆ Yoshiyuki Yamanaka ・・・・ Rhapsody

2007年春、山中良之 師匠の新譜が出たと聞いてすぐ送ってもらいました。心に染み入る深い音色、絶妙なフレージング。I thought about you、I hear a rhapsodyにA weaver of dreams・・・スタンダード中のスタンダード集で選曲も最高、サックス吹き向けの教科書としても、師匠の教本とセットで手元におきたい作品です。ツインギターというのも新鮮なサウンド、仲間のギタリストにお薦めしておいて、雰囲気を真似ようと思いながら聴き返しています。メンバーは Yoshiyuki Yamanaka (tenor sax) Yoshiaki Okayasu (guitar,accoustic guitar) Akira Shiomoto ( guitar) Teiji Sasaki(Bass) Kenichi Kameyama(Drums)(2007.8.12)

◆ Will & Rainbow ・・・・ A Song For You

 JAZZ LIFE誌マイケル特集号、少しずつ目を通してきました。ディスコグラフィー791+は圧巻ですね。これまで聴いた覚えのあるものを数えたら100枚ぐらいでしょうか。座談会記事に誘われたりして何枚か購入しました。最近だとJungle Fever (Neil Larsen) Cosmic (Harald Haerter) Bird House (Will Lee) You Can't Go Home Again (Chat Baker) Miles 2 Go (Mark Ledford) ・・・・・・数曲に参加しているというアルバムが多いわけで、iPodに入れてプレイリストでもつくればいいのですが、この4月から特に仕事に追われる毎日でそこまでできてません。そんな私を救うかのように幸せな気分にしてくれるのがWill & Rainbowのマイケル追悼盤A Song For Youです。聴いたことのない演奏が多かったこともありますが、一曲目Feel Likeから最高、カーステで毎日聴いています。Carly SimonとかJames Taylorとかボーカリスト毎にこういうの発売してくれないかなーと思います。あとディスコグラフィー791+に解説文を付けた単行本も欲しいところ、きっと近日出てくることでしょう。そのスジの方、期待しています。(2007.6.9)

◆ Michael Brecker ・・・・ Pilgrimage

 CDの背帯に追悼盤と記されている、マイケルが亡くなる2週間前に完成したというこのアルバム、ファンとして特別な想いを抱きながら聴いています。曲(全曲マイケルのオリジナル)、音色、演奏内容とも本当に素晴しいものです。楽曲や構成には、これまでとまた違った新鮮な印象がありますし、亡くなる数ヶ月前、闘病生活中のものとはけっして思えない、アイディアと力の漲る演奏です。元気でいてくれたら、さらに素晴しい曲や演奏を次々と聴かせてくれたことでしょう。メンバーの演奏も、特別な想いが込められていることが伝わる素晴しい内容です。CDにはレコーディング風景の写真が載っています。マイケルやメンバーの和やかな笑顔が印象的ですが、実際はどんな様子だったのでしょうか。素人ではありますが、体調の良くないときの吹奏感は経験的に想像できます。ましてや亡くなる数週間前、数ヶ月前、余力を振り絞るようにしてレコーディングに向かったことを想うと、これまで他の作品を初めて手にしたときのように、そのまま楽しんで聴く気持ちにはなれません。トレーンの遺作Expressionとイメージが重なります(レコーディング〜逝去〜発売のタイミングも・・・)。繰り返し聴いていると、曲によってはマイケルの身体的な辛さが伝わってくるような瞬間もあって、複雑な気持ちです。ぎりぎりの中で、このような素晴しい作品を残してくれたマイケルに驚嘆すると共に、あらためて追悼の意を表します。(2007.5.18)

◆ Ralph Bowen ・・・・ Soul Proprietor

 楽屋ライブの折話題に上がったテナー、Ralph Bowen、一枚買ってみました。その昔、マウントフジなんかに出演してたOTB(Out of The Blue)のメンバーだったそうですが、Kenny Garrettの印象が強かったせいか名前までは覚えていませんでした。アマゾンで検索して3枚ヒットした中から、Invitation等のスタンダードも取り上げている一枚を選びました。ギター、オルガン、ドラムのリズムセクションにトランペットとの2管編成、Peter BernsteinのギターはどこかJack Wilkinsを感じさせるものがあってInvitationではあれを連想する瞬間がありました。テナーはハードラバーらしい音色に現代的なフレージングで好印象、別のアルバムも聴いてみたくなるものです。藤井さんのお話によると、サイドマンとして参加している作品にも光る演奏があるということでしたので、今度また意識して探してみようと思います。(2007.5.13)

◆ Karin Krog & Dexter Gordon ・・・・ Blues and ballads

 ジャケット写真はいろんなところで見かけてきたお馴染みのアルバムですが、今回初めてまともに聴きました。ジャズ批評「女性ジャズ・ヴォーカル入門」によれば、Karin Krogは、人間の声と似ているからとテナーサックスと共演することを好んでいるそうで、アーチーシェップ、ヤン・ガルバレクなどテナー奏者と一緒の作品が多いようです。中でも代表的な作品がこれということなので、「そうだったのか、どれどれ・・・」という感じで聴いてみました。確かにいいですねー。Dexterもかなりフューチャーされています。耳になじんだスタンダードナンバー集ですが、後半、LP風に言えばB面がリラックスしたスイング感で良い感じです。ボーカルバンドやる上でも参考にしたいものです。(2006.12.15)

Richie Kamuca Quartet

 レスターの影響を感じるウエストコーストテナー、1957年の録音です。Just Friendsをキーワードに聴き比べていて出会いました。派手さのない演奏スタイルですが、味わい深い歌い方と、一音一音がキビキビと粒立つテクニックの高さに惹かれました。What's New、My One and Only Loveといったバラードも絶品です。あらためてJazzテナーサックス(ジャズ批評ブックス)を開いてみると、ゲッツとともにホワイトテナーのベスト6に選ばれていました。他のアルバムでは「West Coast Jazz in Hi Fi」が手元にありまして、Stella by Starlightが良い感じです。(2006.11.23)

◆ Boz Scaggs ・・・・ But Beautiful

 AORだぜって、Middle Manとか聞いてた高校時代を思い出します。Boz Scaggsがジャズスタンダードのアルバムを出したっていうのは知ってましたが、某方から、テナーが凄く良いと聞いて買ってみました。ちょうど最近、歌バンドもやってますし・・・。それでどうかというと、確かに良いです。Eric Crystal、全11曲の中、7曲でテナー、1曲でアルト、1曲でソプラノを吹いてるようです。バラード集で、ソロスペースも結構多くて楽しめます。You Don't Know What Love Isの絡み、テナーソロが一番の聴き所、絶妙感あります。懐かしい声に、いい感じのテナー、お薦めアルバムが一つ増えました。Eric Crystal、amazon等で検索してみたところ、リーダーアルバムが1枚だけヒットしましたが品切れでした。(2006.11.4)

◆ Bob Reynolds ・・・・ Can't Wait For Perfect

 山形市内某ジャズ喫茶で聴いて気に入ったんで購入しました。お名前から察してそれ系の人かなと思うんですが、スペイン盤CDなのです。ジャケ写真を見るとかなりの若者のようです。全曲彼のオリジナル、4ビートの曲は一切ありませんが良いサウンドとテナープレイです。80年代前半ステップスアヘッドからバイブを抜いたようなサウンドにも聞えたりして、数曲ギターが入ってるのも良いです。優等生的とも言えるテナー演奏テクニックの高さ、ジャズにもフュージョンにも合いそうな音色、歌い方、初めて聴くテナーですが、かなり気に入ってます。お薦めです。どういう人物なのか知ってる方教えて下さい。(2006.7.10)

◆ Steve Grossman ・・・・ Reflections / My Second Prime

 久しぶりにSteve Grossmanもの2枚買いました。最近やってみたSoul EyesをGrossmanはどう演奏するのか聴いてみたいと思ってたところ、3曲の音源を追加して発売されたReflectionsDisk unionで発見したのでした。Soul Eyesと同じくトレーンの演奏してるAngelicaなんかもやっててうれしいCDです。内容はこの頃のGrossmanそのものの素晴らしさでして、そう言えばこれ聴いてなかったなーと中古で購入したMy Second Primeと同じ1990年ヨーロッパでの録音です。ジャケット写真のGrossmanは、1988年2月にSomedayで握手してもらった頃と比較して、かなりすっきりとした表情をしています。88年来日時はむくんだような顔をしてた印象があるのですが、その後健康を取り戻すような何かがあったのでしょうか。デクスターゴードン主演の映画のストーリーを思い起こしたりします。80〜90年代に復活といわれ大活躍している彼ですが、ヤバさも漂う80年代と大御所との共演を繰り広げる健康的な印象の90年代に分けられるような気がします。Grossman研究家の皆様、その辺どんなもんでしょうか。80年代だとHold The Line、Way Out East、Live at The SomedayなどのCDが手もとにありまして、ある種の危なさがあって、これがまた魅力です。86年1月17・18日ピットイン、86年2月8日サムデイ、88年2月19日サムデイのライブで生GROSSMANを味わいました。いまだに強烈な印象が残っています。握手してもらった手もどでかかったな〜。90年代のではLive at Caf'e Praga、My Second Prime、Reflections、Do It、In New York、Time To Smile、Steve Grossman & Michel Petruccianiが手もとにあります。エルビン、マッコイ、バリーハリスといった大御所と中身の濃い円熟した感じの演奏を残していると思います。70年代のGrossmanも聴き返してみるといいかなー。また、2000年以降のGrossmanはどうなっているのかも知りたいところです。Grossman論では極私的Steve Grossman論に優るものはないと思いますが、でかさが「男らしい」というのもあるかも。(2006.1.7)

◆ 伊佐津和朗クインテット ・・・・ Reunion Blues

 サラリーマンテナーの星である八木敬之さんフューチャリングのCDです。学生時代、新宿ピットインの山中カルテットへ飛入りのFourを聴いたときから注目している同い年テナー八木さんは、その後大手企業に勤めておられるそうで、同じサラリーマンテナー吹きに強い刺激を与えて下さる方でもあります。本BBSにて、その八木さんご本人が上記のFirst setの話題に発言してくれたことがきっかけで購入したCDです。レコーディングの様子、曲目やメンバーについては八木さんのHP「伊佐津和朗クインテット」レコーディングレポートに詳しく紹介されています。ステップス、有明バンド(学生時代サークルの先輩バンド、テナーは浦田オサムさん)など、長身テナー奏者+ヴァイブ入りバンドへは昔から憧れがありまして、そんな意味でもいい感じであります。
 八木さんのテナー、ミュディアムナンバーでは絶頂期のハンクモブレーを思わせる朗々とした歌い出しからお手本的なバッププレー、間に挟む16分フレーズはオー来たーって感じでかっこ良いです。バラッドではRCA時代のロリンズを思わせるニュアンス、歌いまわし、グロスマン的なフレージング、短いソロスペースの中で上手くまとめるもんだなと感心します。練って用意しているのか、それともその場で湧き出るもので勝負しているのか聞いてみたいところです。聴き所はOff Minor、Caravanでしょうか。擬似グロスマントリオ音源に圧倒された感じ同様の、それ系テナープレーで楽しませてくれます。やや苦しげな和音がかったフラジオも魅力的ですよ。ラスト曲のテナーソロの絶妙な入り方、バッチリ決まってますねー。このアルバム通しての格好良い大賞に選ばせて頂きます。都並さんのライナーノートにも、ボブバーグ、スティーブグロスマン、ソニーロリンズといったテナー奏者が登場して面白く読ませていただきました。(2006.1.7)

◆ Thelonious Monk Quartet with John Coltrane ・・・・ at Carnegie Holl 1957

 出ましたねー。幸せな気分に浸りながら聴き入ってる人、世界中にどれぐらいいるのでしょう。輸入版の方を予約してたのが昨日届きまして、まずその録音状態の良さに感激してます。Five Spot Discovery! の方も素晴しい内容ですが、私的録音ということで音質はあの通りでした。こちらも同様だろうと思ってたので、Traneのあの当時の音色がクリアに聴けて非常にうれしいです。1957〜8年あたりは、最初の絶頂期であるととらえておりまして、Lush Life、Blue Train、Soultraneあたりのアルバムを繰り返し聴いてきましたし、多少コピーなどもしてきました。耳慣れたこの頃の歌いまわしやフレーズのオンパレードでファンにはたまらない内容です。Monkとのスタジオ録音版の数枚も素晴しいですが、菅が入り乱れてセッションぽい内容、それに対して、こちらはバンドとしての完成度が高く、Traneも伸び伸びと吹きまくってる感じで爽快です。MonkとTraneのこのカルテットはジャズ史に残るバンドであること間違いなしですね。もう一つ意識して聴いてみましたが、Five Spot Discovery!でやってるような多重音奏法はここでは聞こえてきません。なんかの文章でTraneはMonkから得たヒントによって多重音奏法を身に付けたとか読んだ記憶があります。それが本当だとすれば、この後あたりなのでしょうか。いずれにしても非常に貴重な音源を見つけてくれたものだと思います。保存してくれていたアメリカ国会図書館と見つけてくれた人に感謝です。Early Show5曲とLate Show4曲が入ってますが最後の曲はフェイドアウトになってます。基音源はこの直後で切れているのか、音質がどうかなってるのかちょっと気になるところです。(2005.10.1)

◆ Charlie Rouse ・・・・ BOSSA NOVA BACCHANAL

 BLUE NOTE盤1500円シリーズで再発されたのを知って即ゲット、初めて聴きました。Charlie Rouseといえば、モンクの記録映画(クリントイーストウッド監督)で断片的に聴けるテナーの音色が好きです。ここではOrfeu意外はあまり聞かない曲ばかりのボサノバ集ですが、かなり本場っぽいボサノバのリズムに、端正なCharlie Rouseのテナーが良い感じで載っかっています。低域をあまり使わないせいか、ここではややアルトっぽい響きに聴こえます。SAMBA DE ORFEUはセッションでもよくやる曲、こんな感じで演りたいなーという気にさせられます。この方のテナーは今のところ名作YHAH!ぐらいしか聴いていませんが、モンクとやってるのも含めてもっと聴いてみたいと思います。(2005.6.11)