サポートチームには、次のような役割があります。

学校の規模、外国人児童生徒の数などの状況に合わせて役割を分担してください。

1. こどもや保護者をはじめて学校に迎える日に

(1)笑顔であたたかく迎える

初めて学校に来る日は、こどもも保護者も不安でいっぱいです。笑顔であたたかく迎え、安心させてあげましょう。こどもの母語で呼びかけてみましょう。

(2)複数で面談する

管理職・外国人児童生徒等担当教員・学年主任・学級担任・外部支援者等、複数で面談しましょう。学校として責任ある対応をとること、また学校全体で受け入れるという姿勢で接することは、こどもや保護者にも安心感を与えます。このときは、通訳できる方にも同席してもらい、時間をたっぷりとって、十分にコミュニケーションがとれるようにしてください。編入・転入に関する諸手続など、学校が伝えるべきことは正確に伝えるようにしましょう。また、生活上の支援が必要だと判断される場合は、改めて、市町村教育委員会及び市町村の関係課と連絡を取ることになります。

(3)こどもや家庭に関する情報を入手する

こどもや保護者と直接会って話ができる貴重な機会です。できるだけたくさんの情報を入手し、こどもの理解に役立てましょう。母国でどのように学んできたか、どのような進路を希望しているかなど、その後の支援で配慮が必要な場合もあります。編入学年について希望がある場合は、特に十分に話し合い、学校、こども、保護者の三者が納得したうえで決定する必要があります(コラム1参照

面談時の「個人調査票」(様式1)や各校の家庭環境調査票などの質問項目を参考にしてください。

(4)学校生活に必要な情報を伝える

学校側から伝えたいことも面談時に知らせましょう。

・新入生に配布した「入学のしおり」

・「山形のたのしい学校」(山形市総合学習センターの教員ポータルサイトにアップされる予定です)

などを参考にして、できるだけわかりやすく説明しましょう。

(現物、写真、絵などがあるといいでしょう)

・事務諸手続きについて説明する
 転入手続き、集金をともなう事項の説明と集金方法の確認
 口座振替の説明 必要に応じ学校保険の説明
 (日本スポーツ振興センターの保険や、PTA連合会安全互助会の保険など)
・購入する物(制服・当面必要な学用品など)について説明する
・スケジュールを伝える(1日のスケジュール、1週間のスケジュール、当面のスケジュール)
・当面の持ち物を伝える
・登校時刻と方法(登校班・自転車通学の可否など)について説明する
・登校初日の注意(持ち物、登校時刻、登校方法など)を伝え、
 どこに、何時に来るのか、誰が対応するのかを説明しておく。

当面は、次の日の持ち物や予定などについて、連絡帳に書くなどして、こどもと保護者に確実に伝えるようにしましょう。必要に応じて、通訳を依頼しましょう。

(5)書類の記入について説明し記入してもらう

保護者に書いてもらう書類について説明しましょう。

保護者が忙しく連絡が取りにくい、日本語が十分にできないなどの場合には、誤解が生じないよう、通訳がいる時にできるだけ書いてもらうようにしましょう。特に、編入手続き書類と緊急連絡カードは初日に書いてもらうほうがいいでしょう。

・編入・転入手続き書類(教育委員会で配付済みの場合は、保護者が記入して持参します)

・緊急連絡カード

・家庭環境調査票

・保健調査票

(6)通訳の派遣依頼について

まず、教育委員会に問い合わせてください。通訳派遣制度がない場合は、外部機関に相談するか、まわりにその国の言葉がわかる、信頼できる人がいないか探してみましょう(学校関係者の知人、保護者の知人や勤務先の人、地域の人材など)

外部機関等の問い合わせ先は「外部支援者の活用」をご覧ください。

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2. こどもを学級に迎える前に

(1)こどもの状況を把握し指導要録を作成する

教育委員会からの通知に記載されている氏名(本名)を記入します。氏名の「フリガナ」や入学前の経歴、備考欄等の詳細な記入の方法に関しては教育委員会に確認してください。

こども本人や保護者との面談を通してこどもに関する情報を収集し、「個別調査票」(様式1)を作成しておきます。「個別調査票」には、こどもに関する情報(学校生活の記録など)を継続して追加していき、ファイルにするなど、サポートチームで共有できるようにしましょう。

(2)名前の読み方と呼び方の確認をする

本名を名乗るのか、通り名を使用するのか、こどもと保護者に確認しましょう。また、中国・台湾や韓国などのように、漢字で表記されている氏名については、その読み方を確認しましょう。母語の発音で呼ばれたい場合と、日本語の発音で呼ばれたい場合があります。

(3)学級の子どもたちと歓迎の準備をする

学級全体でこども笑顔であたたかく迎えるために、前もって、学級の子どもたちに新しい仲間のことを伝えておきましょう。

小学校高学年や中学校では…

歓迎する気持ちを表す方法を、学級で考えてもいいと思います。

例:こどもの母語で「歓迎」を意味するメッセージを板書するなど。

だれの隣に座らせるかを決めたら、前もって、その児童生徒に伝えておいてもいいでしょう。

座席やロッカー、下足箱には、日本語と母語で名前を貼ってもいいでしょう。

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3. こどもをはじめて学級に迎える日に

(1)歓迎の気持ちを伝える

学級全体で、笑顔であたたかく迎えましょう。

子どもたちが仲良くなる機会を持ちましょう。

子どもたちがコミュニケーションする機会を設けましょう。

こどもの国のことばであいさつしてみましょう(サポートチームの役割「1. こどもや保護者をはじめて学校に迎える日に」参照)

(2)すぐに必要になる物や場所を教える

最初に教えてあげましょう。

自分の座席、ロッカー、下足箱、トイレ、職員室、保健室などは、こどもに最初に教えてあげましょう。

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4. こどもが学級に入った初期段階

(1)こどもが学校生活に慣れる

日本の学校生活のルールや習慣を丁寧に教えます。

例:トイレの使い方、教室での体育着への着替え、給食の準備、掃除など。

観察してできることとできないことを見極めます。

何ができないのか(内容)・なぜできないのか(原因)を考えます。

例:わからなくてできないのか、わかっていても能力が伴わなくてできないのか、わかっていても生活習慣の違いから抵抗があってできないのか、遠慮してできないのか、する気がないのか

(2)こどもとの信頼関係をつくる

こどもとの信頼関係づくりに努力しましょう。ことばの壁はそれほど大きな問題ではありません。

こどもと確実にコミュニケーションをとりましょう。

例:ゆっくりはっきり話します。

表情やジェスチャーからこどもの理解を確認します。

実物や絵など、言葉以外の手段も活用します。

(3)こどもが学校生活に対して喜びや意欲が持てる

学校で生活することが楽しくなるように支援しましょう。

学校生活に対して意欲が持てるように支援しましょう。

初期段階で学校が嫌になってしまうと、学校生活に対する意欲を取り戻すことはとても難しくなります。初期段階から、こどもができることを見つけて取り組みましょう。こどもの良さを認めみんなの前で褒めましょう。手助けしてくれた友だちも褒めましょう。

(4)学級の環境づくり(他の生徒との関係づくり)

教室にある身近なものに、名前をひらがなで書いたカードを貼ります。

こどもの座席は担任の近くにします。

手助けの内容を児童生徒に具体的に示します。お世話をしてくれる児童生徒を決めてもよいでしょう。

例:こどもがわからないことをていねいに説明する、勉強をやさしく教える

仲間づくりをします。

例:こどもが得意なことをみんなでやろう。自分がしてもらってうれしいことをやろう。

こどもに対するいじめや差別が見られた場合には、毅然とした態度で臨みます。

こどもがクラスメートの名前と顔を覚えられるように、座席表にふりがなを付けてこどもに渡すのもよいでしょう。

(5)学級経営の指針づくり

学級経営上の工夫や取り組み(指針)を明確にしましょう。

例:外国人児童生徒が自らの民族に誇りを持ち(児童一人一人が自分の出自に誇りを持ち)互いに理解・尊重し合える学級づくり

例:国際理解教育を推進し、国際性豊かな共生の心をはぐくむ

(6)外部支援者や保護者との連携

外部支援者の協力を得ましょう。

学習支援について決めましょう。

こどもの様子や指導の状況について、情報交換をしましょう。「日本語指導報告書」(様式4)

必要に応じて通訳をお願いしましょう。

こどもの学校での様子を保護者に伝えましょう。

生理的・身体的なこと、食事・衣服・生活などについてこどもの様子に変化が見られたら、外部支援者や保護者と情報交換をしましょう。特に保護者とは十分に話し合いましょう。

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5. 学級づくり

(1)こどもと学級をつなぐ

こどもができないことについて、学級の子どもたちにきちんと伝えましょう。

宗教や母国の習慣など特別な事情がある場合→豚肉が食べられない、半ズボンになれないなど。

母国で経験がない場合→リコーダーが吹けない、泳げないなど。

学級集団とは別に、いわゆる取り出しによる「個別指導」をする場合、こどもはもちろん、まわりの子どもたちにも説明しましょう。

なぜみんなと離れて別の教室で学習するのか、何の教科をいつ誰と学習するのか、など。

外国人児童生徒だけを特例化しないようにしましょう。

例えば「Aさんはピアスを付けてもいいけど、みんなはだめ」など、一方的に子どもたちを納得させようとしてはいけません。Aさんがピアスを付ける意味(文化的意味、宗教的意味など)についてきちんと子どもたちに伝え、子どもたちの理解を得るステップを設けましょう。

こどもが活躍できる場を多く設定しましょう。

学級が外国から来たこどもに慣れてしばらくすると、できないことに目が行ってしまいがちです。どんなささいなことでも認めて褒めましょう。

例:母語で話をさせる、母国を紹介させる、学級で母国の伝統行事や料理を体験する

継続してこどもに声がけをしましょう。

ことばがわかりだすと逆に友だち関係が難しくなることがあります。どんなに些細なことでもこどもの頑張りをみんなで見つけて褒め、よい交友関係を築いて維持できるよう、声がけを継続していくことも大切です。

(2)学級の雰囲気作り

互いに教え合い助け合う姿勢を身につけましょう。

習字や水泳、スキーなどの学習は経験したことがない場合もあります。できないからといって排除するのではなく、まわりの友だちと教え合い助け合いながら乗り越えていこうとする態度を学級全体に育てることが大切です。そのために、日本人の子どもたちにとっては、友だちの気持ちや、置かれている環境をイメージできる力をつけることも必要です。

(3)学級のコミュニケーション力を育てる

子どもたちの力を大いに活用しましょう。

例えばこどもの日本語が不自然に聞こえても、こどもの発音のせいにするのではなく、それを理解できる「耳」を育てましょう。例えば言葉が十分に伝わらなくても、こどもの表情やしぐさからこどもの気持ちを読み取ることができる「目」を育てましょう。例えば言葉が十分に伝わらなくても、友だちになろうとする意志を伝えることのできる「体(身体表現能力)」を育てましょう。

(4)国際理解教育の実践の場とする

生活習慣の違いを蔑視の対象にせず、友だちの母国に興味・関心を持ち、正しく理解しようとする姿勢を育てましょう。国際理解教育の機会ととらえましょう。

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6. 評価

小中学校における評価は、原則として各学校の判断で行います。

(1)通知表について

基本的には、日本人の児童生徒と同じ通知表を作成します。保護者が外国出身の場合、所見欄には、平易な表現も用い、漢字にルビをふるなどして表記します。保護者にこどもの学習の過程や成果、進歩の状況等を具体的に伝えるために、外国人児童生徒等担当者からのコメントを添付する等の配慮も必要です(外国人児童生徒担当者からの文章での評価も大切だと思います)。

ただし、編入間もなく、日本語の初期指導を受けているこどもについては、評価を行わない教科や項目について、管理職の先生や教務主任、学年主任、担任が相談して決めます。その際、評価欄には斜線を引き、保護者に説明をする必要があります。

(2)指導要録について

指導要録には評定の記入が義務付けられているため、全教科について、日本人の児童生徒と同じ方法で評価し、記載します。「総合所見及び指導上参考となる諸事項」の欄には、「個別指導」やTT指導等の時数、学習の進路状況等について具体的に記すようにします。

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