[LIVE] UNLIMITED MILES - Miles Davis at 100 2026 4 22

feat. John Beasley(p key) Sean Jones(tp) Mark Turner(ts ss) Kurt Rosenwinkel(g) Ben Williams(b) Terreon Gully(drs) ブルーノート東京


ジャズ界で注目を集めるテナーサックス奏者、マーク・ターナー。彼の演奏を生で聴ける貴重なチャンスということで、ブルーノート東京公演2日目セカンドセットのチケットを予約した日から心待ちにしていました。

今回のプロジェクトを率いるのは、1989年のマイルス・バンドのツアーにも参加していたキーボード奏者のジョン・ビーズリーです。実際にマイルスの傍らで演奏してきた彼によるであろうアレンジは、どれも素晴らしいものでした。

今回のライブは、私自身のジャズ遍歴を辿るような意味も持っていました。高校時代に「復活マイルス」のアルバムを聴いて衝撃を受け、大学進学後、実際にマイルスバンドのコンサートにも数回足を運んだことが私の音楽体験の原点にあるからです。そこからマイルスの過去の作品へも遡りながら、ジョン・コルトレーンやボブ・バーグといった所謂マイルススクールのテナー奏者達に深く傾倒していきました。そうした背景を持つ私にとって、ビーズリーが構築したセットリストは心に響くものでした。

幕開けの「Seven Steps to Heaven」から変拍子を交えたアプローチが光り、異なる年代の楽曲を自在に組み合わせるアレンジの妙に終始惹きつけられました。

お目当てのマーク・ターナーは、どこか昔の郵便局員を思わせるような素朴な佇まいでステージに現れましたが、楽器を手にすると期待通りに圧倒してくれるプレイでした。CD等で聴いてきた中ではリックを使わないストイックなイメージがありましたが、この日は時折コルトレーンやブレッカーを彷彿とさせるフレーズが飛び出し、そんな意外性も楽しめました。

また、ギタリストのカート・ローゼンウィンケルも強く印象に残りました。ギル・エヴァンス編曲の「So What」のイントロを引用して他の曲へ繋ぐ構成や、曲によってマイク・スターンやジョンスコを思わせるプレイもあって、マイルスバンドの歴代ギタリストへのレスペクトが伝わってきました。

エレベもメチャかっこよかったベン・ウィリアムスのスピーチがあり、英語はほとんど聞き取れなかったものの、「マイルスの『Kind of Blue』とミンガスの曲に大きな影響を受けた・・・」と聞こえたような気がした部分が印象に残っています。

この日は演奏以外にも嬉しいエピソードがありました。娘が学生時代に組んでいたアカペラバンドのメンバーだった方が、この春からブルーノート東京に就職されており、わざわざ私の席まで挨拶に来てくれたのです。非常に爽やかな青年、彼のこれからの活躍を想像しながら、ほんわり温かい気持ちになりました。

アンコールでは、80年代のマイルスを彷彿とさせるあの刺すようなオルガンサウンドが蘇り、マーク・ターナーのサックスソロと共に最高潮を迎えました。

かつてマイルス・デイビスの音楽を聴き漁った頃の想いが、現代の巨匠たちの手によって新しく塗り替えられたような感動の一夜でした。当日の演奏はライブレコーディングされていたとのことですので、アルバムとして発売される日を静かに待ちたいと思います。

公式サイトのライブレポートに初日のセットリストが掲載されています。

 

マーク・ターナーのサックススタンド

2026年05月06日