[Essay] 自分の音楽の好みに大きく影響する10枚
知人からの誘いで、自分の音楽の好みに大きく影響する10枚のアルバムを選択するというFacebookでの企画に乗ってみました。10日間連続で1日に1枚のアルバムをカバーするもの。4年前に流行った「私を構成する9枚」というのもありましたが、この機会に10枚選び直してみました。企画では説明・レビューはほぼ付けていないので,多少の説明を付け加えてこちらにまとめてみました。結論から言うと,高校時代までに聴いた音楽でその後の好みが決定しているようです。20代半ばまでで10枚完了してしまいました。その後ウン十年音楽を聴き続けているのは,どうやらこの10枚の延長のようです。
1 恋の大予言/フィンガー5 サード・アルバム 1974年10月
小学校5年生だったと思います。フィンガー5は当時興味を持ち始めたテレビの歌番組に出まくっていました。「個人授業」「恋のダイヤル6700」「学園天国」などミリオンセラーだったとのこと。自分の小遣いで初めて買ったLPレコードがこれでした。親戚からお古をもらったレコードプレーヤーで聴きながら一緒に歌ってました。「恋の大予言」のアブダカブラ~の呪文を完璧に歌えるのが自慢だったことを思い出します。米国占領下の沖縄で父親が経営する米兵相手バーでバンド活動を始め,和製ジャクソン5と言われていたなんてことは随分後になって知ったことですが,ソウルミュージックの要素をたっぷり含んだ音楽に親しんだことは,その後の音楽の好みに何かしら影響を受けていることと思います。45年を経て聴き返してみると,ベースラインやホーンアレンジ,転調等のかっこよさに改めて感心させられます。
2 10ナンバーズ・からっと/サザンオールスターズ2ndアルバム 1979年4月
デビューが1978年で中学3年生の時,テレビ番組ザ・ベストテンで観た「勝手にシンドバッド」の大騒ぎをはっきり覚えています。テレビ初出演で新宿ロフトからの中継だったとのこと。あれからライブのかっこ良さを感じ取った気がします。中学校の技術科で組み立てたラジオで聞いた「女呼んでブギ」もど田舎の中坊には別の意味で衝撃でした。3rdシングルいとしのエリーを深夜ラジオで聞いて感動したのは中学卒業の頃,このアルバムのリリースと同時に高校生になっていたようです。1980年リリースの3rdアルバム『タイニイ・バブルス』もLPを購入していたので,中3~高1の時代にけっこうな影響を受けたと思います。
3 Christopher Cross / Christopher Cross 1979年
デビューアルバムで邦題は『南から来た男』,1981年のグラミー賞5部門を独占しています。FM放送で初めて聴いたRide Like The Windに強く惹かれました。アルバムの何曲かが放送されたのをエアチェックして聴いていて,後にLPを購入しました。ジャケットデザインが気に入って付いてきたポスターを部屋に貼ったりしていました。AOR,TOTOやBoz Scaggsもよく聴きました。
4 ソリッド・ステイト・サヴァイヴァー/イエロー・マジック・オーケストラ 1979年9月
テクノカットと共に極流行りました。テクノミュージックという未知の世界にキャッチーなメロディー。ボコーダーっていったい何の世界でした。 エアチェックだったか友達に録音してもらったのだったか忘れましたが,カセットテープが擦り切れるぐらい聴いた気がします。高校生の小遣いではLPなどなかなか買えず,アルバムを入手したのは暫く後のこと。その後インストゥルメンタルな音楽にはまる入り口になったと思います。
5 My Favorite Things / John Coltrane 1960年
高校から帰ると夕方のNHK-FM放送番組「軽音楽をあなたに」を聴くのが日課でした。週5日,曜日によってロック,ソウル,ジャズ・・・多様なジャンルの音楽を流していて,FM番組雑誌を道案内に耳を傾けていました。この番組だったか忘れましたがJohn Coltrane特集があって興味本位にエアチェック,独特の浮遊感にハマったのがタイトル曲でした。ジャズ喫茶で流れていたテナーサックスにゾクゾクっと来たのがMills DavisのSo Whatだったなんていうエピソードもあって,Coltraneを意識して聴くようになりました。
6 The Man with the Horn / Miles Davis 1981年
1975年から沈黙していたMiles Davisの6年ぶりの作品ということで,FMラジオや音楽雑誌で注目されていました。志望大学の見学に出かけた際,従弟に連れて行ってもらった秋葉原で輸入盤というものを初めて買ったのがこれ。衝撃的なかっこ良さを感じました。Al Foster, Bill Evans, Mike Stern , Barry Finnerty, Marcus Miller・・・今聴いても鳥肌が立ちます。新宿野外での来日公演はNHK-TVで放送され,音だけテープに録ったのも愛聴してました。この後,時代を遡ってMilesの作品群を聴きましたし,大学時代は来日ステージも観ることができました。Milesの音楽にはかなり影響を受けていると思います。
7 Smokin' in the Pit / Steps 1981年
級友から録音してもらったカセットテープでマイケル・ブレッカーにはまりました。これも後日にCD購入,その後完全版CDとかも出てますね。Mike Mainieri, Michael Brecker, Don Grolnick, Eddie Gomez, Steve Gaddの他,特別ゲストとして参加している渡辺香津美のソロがまた素晴らしい! 大学合格したらテナーサックス吹くぞ!六本木行くぞ!をモチベーションに受験勉強に励んだものでした。1979年12月15日・16日、六本木ピットインでの録音。
8 LIGHT'N UP/吉田美奈子 1982年
大学に合格して東京へ。入学式前夜に恐る恐る軽音楽部(ジャズ研)の部室を訪ねたらStepsと同じ編成のバンドがセッションしていて感動しました。サークルで流行っていた影響でこの作品に触れ,都会的なサウンドとBrecker先生, Sanborn先生の30秒芸術(間奏ソロ)に魅了されました。美奈子様がラジオ番組で一発録音のBreckerとオーバーダブを繰り返すSanbornのレコーデイングの違いを語っていたのを思い出します。
9 Hold the Line / Steve Grossman 1984年
ド素人から始めたサックス吹きは,プロのレッスンを受けてみたりしながらなんとか続けていました。師匠から聴かせてもらったGrossmanのNYライブ音源からも感じてはいたのですが,いわゆるコルトレーン派と呼ばれるモーダルなテナーが好みで,Grossmanもその一派だと思っていたところに,Rollins好き丸出しな感じでかっこ良いこの録音に出会い「ビバップに向き合え!」と喝を入れられたかのような衝撃を受けました。その後に聴く音楽の選び方やサックスの練習方法に影響大なアルバムになっています。なので,現在発売されているCDが別のジャケになっているのはちょっと残念。Grossmanは1986年,1987年に続けて来日していて,ライブでの印象も強烈なものでした。2014年10月にも来日していますが,この時は都合で行けず残念でした。
10 Bring On the Night / Sting 1986年
Policeは高校時代にさらっと聴いていました。解散後のソロライブツアーにBranford Marsalis, Darryl Jones, Kenny
Kirkland, Omar Hakim といったスタージャズプレーヤーが参加していることを知り気になっていて,このライブアルバムの発売と同時に購入。国分寺のジャズ喫茶でみんなで聴いたのを思い出します。ライブやリハーサル風景を集め1985年に製作された同名のドキュメント映画も感動ものでした。Branfordのソロをコピーしてみたり,真似っこバンドでライブをやったりと影響を受けています。1988年10月のNothing
Like The Sun Tour 東京ドーム公演も観に行きました。