[Listen] お薦めテナーアルバム10選+1

 テナーサックスの楽しみは良い演奏を聞くことから始まると思います。これからテナーサックス、ジャズミュージックを聞いてみようという方向けお薦めテナーサックスアルバムを選んでみることにしました。一言でジャズと言っても幅広く、多様なスタイルから自分でも繰り返し聞いているナイステナーなアルバムを選び、10枚+1にまとめました。

1 サキソフォン・コロッサス ソニー・ロリンズ 1956年

 ジャズ雑誌の必聴アルバム記事を参考に、初めてLPレコードで聞いたのは高校生の時でした。最初は2曲目のバラードが随分渋く聞こえて、1曲目のセントトーマスばかり繰り返し聞いていました。次第に他の演奏に良さを感じるようになり、今でも時々無性に聞きたくなるアルバムです。若きソニー・ロリンズはテナーサックスの音色の太さ、リズムの心地良さ、ジャズらしい音の綴りなどが魅力で、演奏者のお手本としてもナンバーワンでしょう。このアルバムはラテン、バラード、ミュディアム~アップテンポ、ブルースと違った雰囲気の曲で構成されていて楽しめます。

2 カインド・オブ・ブルー マイルス・デイビス 1959年

 ジャズの帝王と言われたトランペットのマイルス・デイビスの超有名作品です。テナーサックスのジョン・コルトレーン、アルトサックスのキャノンボール・アダレイが参加しています。同じ和音が続く上でより自由にアドリブ演奏するモード手法の始まりとされる作品で、空間的な広がりを感じさせる演奏が楽しめます。ソー・ファットのジョン・コルトレーンのテナーサックスソロに魅了されこの世界にハマりました。

3 ソウル・ステーション ハンク・モブレー 1960年

 ソニー・ロリンズよりも少しソフトな魅力を持つハンク・モブレーのワンホーンアルバムです。ソフトで流暢に聞こえるアドリブラインに巧みな技が組み込まれています。このアルバムに収録されているThis I Dig Of Youなど多くの名曲を生み出しており、時代を経て多くのミュージシャンがハンク・モブレーの曲集を録音しています。

4 テイキン・オフ ハービー・ハンコック 1962年

 ピアニストのハービー・ハンコックがジャズロックスタイルのオリジナル曲を収録している人気作品です。トランペットのフレディ・ハバードとテナーサックスのデクスター・ゴードンが参加しており、どっしりとしながらファンキーな味わいのテナーを聞かせます。

5 バラッズ ジョン・コルトレーン 1963年

 ジャズというと正面から真剣に聴き入る音楽という他に、お酒を飲みながらリラックスして聞くイメージがあると思います。そのどちらにもピッタリなアルバムです。バラードの名曲を高音域で叙情豊かに歌い上げるジョン・コルトレーン黄金カルテットの演奏に浸ってください。

6 ゲッツ/ジルベルト スタン・ゲッツ 1964年

 幅広い音楽性の持ち主であるテナー奏者スタン・ゲッツがブラジルのボサノバ歌手ジョアン・ジルベルトと制作したアルバムです。アストラッド・ジルベルトも2曲で歌っており、ボーカルとテナーサックスが心地よく絡むジャズボッサの人気作品です。

7 ヘビー・ウェザー ウェザー・リポート 1977年

 1960年代末からエレクトリック・ジャズと呼ばれる電子楽器を多用したスタイルが発展しました。中でもキーボードのジョー・ザヴィヌルとテナー&ソプラノサックスのウェイン・ショーターが中心となったグループであるウェザー・リポートは高い音楽性で注目されました。その代表作品がこれです。

8 ワインライト グローバー・ワシントン・Jr 1980年

 元祖スムース・ジャズとも言えるジャケット写真から連想できるようなメロウでお洒落な演奏が楽しめる超人気盤です。曲によってテナー、アルト、ソプラノサックスを持ち替えて演奏しています。ボーカル入りの5曲目は後に多くのミュージシャンにカバーされている人気曲です。

+1 ブルータートルの夢 スティング 1985年

 10枚選定のはずでしたが、時々無性に聞きたくなるアルバムを1枚付け加えます。超人気ロックバンドポリス解散後にソロ活動を始めたスティングがジャズ・フュージョン畑のミュージシャンで固めた強力バンドでリリースした最初のアルバムです。全編でブランフォード・マルサリスのテナー&ソプラノサックスが聴けます。

9 テイルズ・フロム・ザ・ハドソン マイケル・ブレッカー 1996年

 マイケル・ブレッカーは圧倒的なテクニックと表現力を兼ね備え、ジャンルを問わず幅広い活躍で人気ナンバーワン、その後のテナー奏者に大きな影響を与えています。リーダー作品の中で代表的なこのアルバムはグラミー賞を受賞しており、作曲者としての力量の高さも示しています。

10 ユニティ・バンド パット・メセニー 2012年

 1970年代後半からジャズシーンを牽引するギタリスト、パット・メセニーがサックス奏者を入れて録音した数少ないアルバムの一つです。サックス奏者世界ナンバーワンといわれるクリス・ポッターの超絶テナーが聴けます。

2024年01月03日